小泉今日子、筒美京平の卓越したメロディーセンスを改めて感じさせる名曲揃いの配信ライブ
小泉今日子が、3月21日に、2020年8月以来2回目となる配信ライブを開催。筒美京平へのリスペクトを込め<唄うコイズミさん 筒美京平リスペクト編>と題し、アコースティック編成のバンドスタイルにて、メドレーを含む全13曲を約60分に渡って披露した。
この配信ライブで披露された楽曲は、小泉今日子がこれまでにリリースしてきた30曲以上にも及ぶ筒美京平提供曲からシングル曲の「なんてったってアイドル」「まっ赤な女の子」「ヤマトナデシコ七変化」「夜明けのMEW」「魔女」といったヒット曲はもちろん、ファンの間でも人気の高いマキシシングル曲の「夏のタイムマシーン」、全曲筒美京平提供曲のアルバム『Betty』から「今をいじめて泣かないで」「バナナムーンで会いましょう」、そして今回の配信ライブで初披露となったシングルカップリング曲の「Kiss」「ガラスの瓶」というレアな楽曲も含む、まさに稀代の作曲家筒美京平の多才で卓越したメロディーセンスを改めて感じさせる名曲揃いの配信ライブとなった。
●<唄うコイズミさん 筒美京平リスペクト編>ライブレポート
小泉今日子配信ライブ〈唄うコイズミさん〉の第二回は、〈筒美京平リスペクト編〉。彼女にとって39回目のデビュー記念日である3月21日に、彼女が数えきれないほどのレコーディングを行なってきた、いわばホームといえるビクタースタジオの〈301スタジオ〉から配信された。
昨年10月に亡くなった作曲家、筒美京平さんは、83年5月の5thシングルで、アイドルとしても大きな転機となった「まっ赤な女の子」以来、小泉今日子のシングル、アルバムで30曲を超える楽曲を提供してきた。シングルA面だけでも10曲に及ぶ。こうして筒美楽曲だけでライブする機会があったとしても、全曲を自分の持ち歌だけで統一できる幸運を持ち合わせている人は、他にはいない。
そんな記念すべき夜、最初にどの曲を唄うのか。まずは呼吸を整えるように鳴り出したのはシェイカーの音。心地よく波打つリズム。そしてコーラス「Don't you cry, never mind, don't you cry, never mind..」。その曲は、1984年のアルバム『Betty』(全曲の作曲を筒美さんが手がけた)に収録されたひそかな人気曲「今をいじめて泣かないで」だった。アコースティックなアレンジが、2021年の彼女にやさしくフィットする。銀色夏生さんが歌詞で描いた十代の女の子の心の揺れも、この不安な時代に暮らすいろんな人たちにかけてあげたい言葉みたいに思えてくる。次の「Kiss」もシングル「水のルージュ」(87年2月)のB面曲。この冒頭の2曲は長年のファンにはうれしいプレゼントだし、ヒット曲を中心に彼女を知っている人にはかなりのサプライズでもあったはず。続けて「魔女」を歌った彼女は、筒美さんが手がけたヒット曲の数々を「宝物」と表現し、「一緒に歌ってくださいね」と画面の向こうに呼びかけて、めくるめくヒット曲が並ぶ“粋なメドレー”がはじまった。
「水のルージュ」「まっ赤な女の子」「半分少女」「迷宮のアンドローラ」「ヤマトナデシコ七変化」……、そして熱くなってきたタイミングで「なんてったってアイドル」。「Yeah!」のシャウトにあの頃の小泉今日子の姿がダブる。「なんてったってアイドル」を唄い終えると、呼吸を整えるように「何十年ぶりでしょうか? アイドルは、やめられない?」とMCして照れ臭そうに笑った。メドレーの最後はアカペラからはじまる「夜明けのMEW」。息もつかせぬ構成だったけど、誰かに急かされるのではなく自分のペースで生きている実感がこもった十数分だった。
ひと息ついて、次は「ガラスの瓶」(95年11月)。筒美さんと作った最後のシングル「BEAUTIFUL GIRLS」のカップリング曲で、両面とも作詞は小泉今日子。筒美さんに音楽人生が大きく変わるきっかけをもらった女の子が、作詞パートナーに成長して再会した曲でもある。この曲をライブで唄うのは初めてじゃないかなと彼女は言っていた。そこから「夏のタイムマシーン」への流れにもグッとくるものがある。
「16歳のときにデビューして一歩前に出てがんばったから今の私がある気がするし、今の私ががんばったら過去の私も前に進むんだろうな」
「昔はよかった」的なノスタルジーじゃない。さりげなく、だけどきちんと、自分がもらった名曲という宝物に今の自分が息を吹き込む。<唄うコイズミさん>でやりたいことって、まさにそれなんだろうな。この夜を締めくくる最後の曲を彼女は、こう紹介して唄いはじめた。
「意外かなあ? 好きな人も多いかなあ? どうだろう?」
その曲は、アルバム『Betty』のラストナンバー「バナナムーンで会いましょう」。次はみんなと実際に会えたら、もっと楽しい。今夜のドラマはこれでハッピーエンド。だけど、きっとこのエピソードには続きがある気がする。
文:松永良平
見逃し配信は3月22日(月)より~3月28日(日)23:59まで視聴可能。視聴チケットはイープラス、ぴあにて3月28日(日)18:00まで販売中だ。
また、ライブMCでも紹介された「唄うコイズミさん」オリジナルグッズの新作となる小泉今日子デザインによるスペシャルTシャツ2種、小泉今日子自身も愛用しているというリーディンググラス(老眼鏡)の購入予約も受け付中。
■小泉今日子ライブMCコメント
筒美さんにとてもたくさん曲をいただいていたのですけど、
しばらく歌っていない曲もたくさんあって、こんなにいっぱい宝ものを持っているのだから
宝箱をあけてキレイに磨いてみなさんにお披露目できたらなと思って今日があります。
考えてみたら私の転機となる時に必ず筒美さんのメロディーがありました。自分が子供の頃に夢中になって観ていたTVの中で歌手の人たちが歌っていた歌の中にも筒美さんの曲で好きな曲がたくさんあって、子供心に歌って楽しいなぁ、歌うことは好きだなぁ。と思ったあの頃、既に色々なものを筒美さんからもらっていたんだと感じています。
撮影:岩澤高雄
【セットリスト】
1. 今をいじめて泣かないで [1984年] AL『Betty』収録
2. Kiss [1987年] Sg「水のルージュ」カップリング曲
3. 魔女 [1985年]
メドレー
4. 水のルージュ [1987年]
5. 真っ赤な女の子 [1983年]
6. 半分少女 [1983年]
7. 迷宮のアンドローラ [1984年]
8. ヤマトナデシコ七変化 [1984年]
9. なんてったってアイドル [1985年]
10. 夜明けのMEW [1986年]
11. ガラスの瓶 [1995年] Sg「BEAUTIFUL GIRLS」カップリング曲
12. 夏のタイムマシーン [1988年]
13. バナナムーンで会いましょう [1984年] AL『Betty』収録
<公演概要>
<視聴期間>
見逃し配信:2021年3月22日(月)10:00?3月28日(日)23:59
<販売期間>
イープラス、ぴあにて販売中(3月28日(日)18:00まで)
■イープラス https://eplus.jp/utaukoizumisan/st/
■ぴあ https://w.pia.jp/t/utau-koizumi/
視聴料金
3000円(税込)約60分のアコースティックライブ
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