安田レイ、翼にいくつもの色彩を重ね持つ鳥のように様々に表情を変えるボーカリスト
安田レイは、翼の中にいくつもの色彩を重ね持つ鳥のように、見る角度によって様々に表情を変えるボーカリストである。13歳で「元気ロケッツ」に参加した時は、フューチャリスティックなハウスミュージック。20歳でソロデビューを果たしてからはポップなR&B、ファンキーなダンスミュージック、メロウなバラードなど、時代に合わせ楽曲に合わせ、しなやかにメタモルフォーゼを繰り返してきた。
日本とアメリカの血を半分ずつ持ち、ネイティブな英語詞の歌唱はもちろん、パワフルでポジティブ、繊細で叙情的、いくつもの要素を備えたキャラクターも、J-POPのニューウェーブとして魅力的だった。そして、これまでにリリースしたアルバム3作、すべてがiTunesにてJ-POPチャートTOP10入りを果たし、YouTube再生数1000万回を超える「Mirror」(TVアニメ『魔法科高校劣等生』セカンドエンディングテーマ)を筆頭に、「あしたいろ」(TVドラマ『結婚式の前日に』主題歌)や、「アシンメトリー」(TVドラマ『モトカレマニア』オープニングテーマ)など、8年に及ぶ活動の中で、印象的なヒットチューンをいくつも放ってきた。
コロナ禍に翻弄された2020年も、その躍動は止まらない。TVアニメ『白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE』エンディングテーマになった「through the dark」は、これまで以上にアダルト、フェミニン、壮大な世界観を描くミドルテンポのエレクトロ/ポップチューンで、またしても新たな一面を見せてくれた。それに続くニューシングルが、2021年2月に出ると聞いた時は、今度はどんな表情が見られるのだろうと、自然に期待が高まった。
期待は裏切られなかった。安田レイ、ニューシングル「Not the End」。1月17日放送開始、日本テレビ×Hulu共同製作ドラマ『君と世界が終わる日に』の挿入歌になっているこの曲、2月7日に先行配信&ミュージックビデオ解禁と同時に一気に注目を集め、わずか1か月ほどで「Mirror」に次ぐ再生数を叩き出し、今なお評価を高めている。そして2月24日リリースのシングルCDには、「amber」(映画『おもいで写眞』主題歌)が収録され、ここに最強の2曲が並び立った。安田レイ、新たな代表曲誕生の瞬間だ。
▲「Not the End」【初回盤】
▲「Not the End」【通常盤】
深く澄んだピアノの音色と、エモーショナルなハイトーンボイスで劇的に幕を開ける「Not the End」は、歪んだエレクトリックギターの響き、重厚なドラムとベース、流麗なピアノと弦が絡み合い織り成す、スケールの大きなミディアムロックバラードだ。歌の背景を彩る飾りではなく、舞台装置そのもののような、ずっしりと重いサウンド。その上で堂々と、まったく負けずに迫力ある歌声を響かせる、ボーカリスト・安田レイの底力。「through the dark」からさらに一段、レベルアップを果たした姿が、「Not the End」の中に確かに見える。
彼女自身の手になる歌詞も、「不安」「孤独」「悪夢」といったキーワードを軸として、「サバイバル×ラブストーリー×ミステリー」を標榜するドラマ『君と世界が終わる日に』の世界観に寄り添いながら、コロナ禍に揺れる現実の世界とを重ね合わせ、人の心の影と光とを生々しく描き出す。“願いが一つだけ叶うなら/怖くても守りたいよ/君との明日を”――リリシストとしての成長と、ボーカリストとしての成長を重ね合わせ、5分40秒のドラマは深い余韻とともに幕を下ろす。
一方で、「amber」は、ロックバラード的なバンドサウンドの迫力はそのままに、さらに明るい広がりを感じさせる曲だ。映画『おもいで写眞』の、不器用で、素直に生きるのが下手な主人公に自身を重ね合わせ、大きな愛しみを持って歌う声の、なんと優しく力強いことか。これまで以上に豊かな包容力を増した、ボーカリストとしての進化は、この曲からも確かに感じ取ることができる。
そして、もう1曲ある。一発撮りのライブパフォーマンスで人気を集めるYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の最新版として、安田レイとH ZETTRIOとのコラボで「Brand New Day」を披露した映像が、3月5日からオンエアされ、再生数を伸ばしている。自由闊達なジャズ・アレンジに生まれ変わった「Brand New Day」の、互いの愛とリスペクトを感じるスリリングでスポンテニアスな演奏は、新たなファンを獲得する素晴らしいきっかけになるはずだ。
ちなみに、ガレキの中にたたずむ彼女の姿が印象的な、CDシングル「Not the End」のジャケット写真と最新アーティスト写真は、彼女自身のアイデアで、スクラップ工場で撮影され、「壊れてしまった物の中からでも大切な物を大事にしていきたい」という思いが表現されている、とのこと。言葉、歌、サウンド、ビジュアル、すべてにおいて着実に、マイペースで成長を続ける安田レイは、追うのが楽しいアーティストだ。あと2年、デビュー10年を迎える頃には、どんなに大きな存在になっているだろうと、また一つ期待のレベルを上げてくれる、「Not the End」はそんな作品だ。
文:宮本英夫
配信情報
■「amber」配信
https://smer.lnk.to/KlfMxbZZ
リリース情報
・2/24(水)CD発売
・2/7(日)先行配信スタート
■初回盤:CD+Blu-ray Disc 1,800円+税
<Blu-ray収録内容>
・「Not the End」Music Video
・「Not the End」Behind The Scenes
■通常盤:CD 1,200円+税
<収録曲>
M1.「Not the End」
(日本×Hulu 共同製作ドラマ「君と世界が終わる日に」挿入歌)
M2.「amber」
(映画「おもいで写眞」主題歌)
M3.「Not the End -piano ver.-」
M4.「Not the End -Instrrumental-」
M5.「amber -Instrumental-」
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