伝統の日本茶とアンビエント音楽が出会う、宇治香園創業155年記念『Reflection』
京都の老舗茶問屋「宇治香園」は、お茶の楽しみを広げる試みとして音と光で茶を表現する「Tealightsound」シリーズに取り組んできた。
◆『Reflection』 関連画像
創業155年を記念する年となった2020年、DJとしても活躍するCOMPUMAとKIRIHITOの竹久圏による、茶園でのフィールド・レコーディングとギターの音色を素材として制作されたアンビエント・アルバム『Reflection』。そのCDと同社のベストセラー商品である煎茶「清風」のティーバッグをセットにし、画家五木田智央によるアートワークがデザインされた特別なギフトボックスが発売になる。ぜひこの機会に、その深く美しい味わいをセットで楽しんでほしい。
■Reflection に寄せて
当園では毎年、創業を茶の起源再考の機会として、光と音で茶を表現するTea+Light+Sound=「Tealightsound」というコンセプトのもと、茶を感じるクリエイターの方々に作品を制作していただいています。茶のすばらしさ、魅力を体感していただくには、実際に茶葉にお湯を注ぎ、そこから滲み出した雫を口に含んでいただくのが一番です。しかしそこには、地理的、空間的な制約が生じます。光(アート、写真、デザイン、映像)や音(音楽)は、そうした制約を超え、その存在を伝えることができます。
また一方、茶は飲料、植物、精神文化の拠点となるような多面的存在ですが、日々茶づくりを行う中で、実はもっと巨大な何かなのではないか、と感じるようになりました。そうしたことを、茶と似た質を持つ光と音と共に伝える試みが「Tealightsound」です。
この「Tealightsound」という概念は、平成二十七年の創業記念作品、COMPUMA feat. 竹久圏/『Something in the Air–the soul of quiet light and shadow layer-』制作時にぼんやりと思い描いていたことを、徐々に言葉にしてゆく過程で生まれました。いわば『Something~』は、「Tealightsound」の原点なのです。それから五年の歳月を経て、COMPUMAさんと竹久圏さんに、改めてその原点に向き合っていただく機会を得ました。『Something~』は、とある茶園に捧げるレクイエム、と当時のCOMPUMAさんは書いておられますが、実際その茶園は録音直後に放棄されて廃園となり、その言葉が(偶然)現実化しました。
今、茶業界では急須で飲むお茶離れから若い生産者が減少し、重労働を伴う山間茶園の手入れが難しくなって、放棄される所が急増しています。いったん放棄されるや自然の力はすさまじく、雑草が生い茂って以前の姿に戻すことは極めて困難です。このすばらしい力を秘めた茶の魅力をもっと広く伝えることで、茶に興味を持つ人が増え、茶園に若い力が戻ってきてほしいと、切に願います。
本作『Reflection』は、廃園と化して五年を経た茶園に再訪し、フィールドレコーディングを行うことから制作をスタートしました。かつて美しかった茶園がジャングルのように変貌した姿を前にして、お二人には様々な思いが去来したことと思います。そうした諸々を含めての『Reflection』。何が変わり、何が変わらなかったのか。ぜひ『Something~』と聴き比べていただきたいと思います。
また本年は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が世界を覆い、様々な価値観を塗り替えたことで記憶される年になろうかと思います。『Reflection』は、そんなコロナ禍のさなか、緊急事態宣言解除後の六月より制作が開始され、十月に完成しました。作品は、望むと望まざるとにかかわらずその時代を映し込みますが、今作は五年後、そして十年後に、どのように聴かれるのか、とても興味深いです。お茶にエージング(熟成)があるように、音楽にも別の形のエージングがあるのかもしれません。これから今作とともに歳月を重ね、それを味わい、確かめてゆきたいと思います。 この作品を、すばらしい音楽、アートワーク、写真、デザインの集まりとして体験していただくとともに、茶そのものにも興味をもっていただき、茶の世界に足を踏み入れるきっかけにしてもらえましたら、とてもうれしく思います。
令和二年十月二十二日
宇治香園 茶師
小嶋宏一
『Reflection』CD+煎茶ティーバッグ ギフトボックス
3,662円(税込)
※2020年12月28日正午よりオンラインショップにて予約受付開始
https://ujikoen.co.jp/
◆「Tealightsound」 オフィシャルサイト
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