【インタビュー】YUKKEが語るMUCCの現在地「新曲のベースにはSATOちへの想いを込めている」

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■“何かが止まる年”ではないと思っている
■次のMUCCをちゃんと見せられる1年

──「明星」の歌詞には“夢の続き” “夢の終わり”という言葉が出てきます。形を変えながらもMUCCという“線路”は続いていくと思うのですが、“夢”という言葉に対して、今YUKKEさんはどういうイメージを思い浮かべますか?

YUKKE:一番分かりやすいことを言うと、ずっと考えていた夢の先にSATOちはいたんです。その光景、未来予想図的なものにね。でも、そうでなくなってしまったことも現実だし、やっぱり夢を見ながらでも現実を受け容れなきゃいけないと思っていて。まだ漠然としていて“これ”という具体的なことではないですけど、これから先、なるようになりながら、自分が笑顔でいられること、それが続くことが夢かもしれないですね。もちろん、苦労しながら、大変なことも乗り越えながらですけど、ずっと笑えていればいい気がします。

──では、YUKKEさんが笑っていられるために一番重要なことって何でしょうか?

YUKKE:これからのMUCCが、ちゃんとMUCCとしてあることかな。まぁ、何年かあと、他のことのほうが笑える自分になってるかもしれないし、それは分からないですけどね。その時その時、自分に正直に生きていける人になれたらいいのかな。それが今まではずっとMUCCだったし、そこは変わらないと思う。

▲YUKKE (B)

──長く活動されてきていることは本当に尊いことだと思いますし、そうなってくると、バンドの活動や歴史に対して、長く応援して来られたファンの皆さんの人生や夢も乗っかってきますよね? その重みというのも感じていらっしゃいますか?

YUKKE:そうですね……23年やっていると、何歳から聴いてくれているかは分からないですけど、そのファンの人生と一緒に歩んできているというか、そういうものだと思うんです。その責任というか重みはもちろん感じるし、すごくありがたいことだと思います。人生にずっと寄り添っていられるバンドをやっているということが。形は変わるかもしれないけど、MUCCというものはあるし、これからもあり続けるので、その人の何パーセントかにいられたらいいんじゃないかなと思います。

──SNSなどを見ていると、ファンの方々も、メンバーそれぞれの幸せを願っているように感じられて。もはやそういう域に達しているんだなと。

YUKKE:だと思います(笑)。

──愛を感じます。

YUKKE:発表から時間が経って、お客さんの心境の変化も見えるところがあって。ちょっと整理できた、という人も多いんじゃないかな。武道館もそうだったし、この先決まっているツアーもそうだし、この4人の最後の瞬間を楽しもう、というみんなの気持ちがすごく伝わってきます。

▲MUCC

──そして、ベストアルバムも『明星』というタイトルでリリースされます。どんな内容になりそうですか?

YUKKE:基本的に、SATOちがこれまで作ってきた曲を収めた内容です。アルバムトータルのバランスも考えながら、リードトラックに「明星」が入る。今まであまり出したことのないタイプのアイテムになりますね。

──レコ―ディングし直す曲もあるんですか?

YUKKE:4曲、新たに録り直しました。

──録り直しに際して、アレンジも変えたのでしょうか?

YUKKE:いや、アレンジが激変したというものでもなく、今のMUCCサウンドで録り直したという感じですね。過去のものは当時の音源を持っていれば聴けるじゃないですか。今回はミックスも含めて新しい音で聴けるので、楽しいんじゃないかな。

──ホールツアー<惡-The brightness world>は2月28日の福岡サンパレスからスタートします。いろいろなことがコロナの状況次第かとは思いますが、SATOちさんが参加する最後のツアーですから、特別な、これまで以上に1本1本が大事なものになりますね。

YUKKE:1本1本が大事ですし、久しぶりに地方にも行けるので、SATOちと夜ご飯を食べに行って、<スーパー銭湯に行くラストツアー>もやらなきゃなんだよな~と思ってます(笑)。

──スーパー銭湯ツアー納め(笑)。各地に行きつけがあるんですか?

YUKKE:あります(笑)。嫌がるSATOちを無理やり誘って行くんですよ、「行こう行こう!」って……あ、それが嫌だったのかもしれないです、もしかしたら(笑)。

──ははは。5月5日および6日の地元・茨城県立県民文化センター2DAYSでファイナルを迎えますが、どんなムードのツアーになりますかね。

YUKKE:アルバム『惡』収録曲も、まだそんなに何回もライヴで演奏できているわけではないですし、生で、地方でできるのがまず嬉しいですよね。アルバムってきっと、ツアーで披露してなんぼのものでもあるので、“早く、もっと、やってあげたいな”って、レコーディング後はいつも思っているんです。ツアー開催って、去年の頭ぐらいまでは当たり前のことだったけど、今回のツアーが完遂できたら、世の中的にも大きな一歩を進めることができる感じがしますよね。……最後のツアー、どういう空気になるんだろう? でも、すごく楽しいと思いますよ。みんなでしっかり準備を頑張って、SATOちも頑張って。本番は楽しめばいいかな。

▲MUCC

──2021年のYUKKEさんの目標、MUCCとしての野望などがあれば教えていただけますか?

YUKKE:2020年はバンド的にも世の中的にも経験したことのない1年間で、それを受けて2021年もやっぱり初めてのことが多い年にはなると思います。MUCCとしては、これまでの体制から変わる年だというのが、まず一つ。そこから先のMUCCというものも、考えを進めていかなきゃならない。ただ、“何かが止まる年”ではないと思っているんですね。SATOちが脱退して、“メンバーが1人抜けた1年だった”ではなく、次のMUCCをちゃんと見せられる1年であり、その準備をする1年であり。2021年が終わった時に、「いやぁ、今年も大変でしたね。いろいろあり過ぎましたね」と笑って言えてるのが自分たちらしいとは思うし、そうであればいいかな。

──2021年は、MUCCにおいてYUKKEさんの存在がより大きく重要になってくる年でもあるんじゃないですか?

YUKKE:それはメンバー各々が感じていると思うんです。1人1人がいろんな場面でもっと強くなっていかなきゃいけない。それは、SATOちの脱退を受け容れた瞬間からすごく感じたかな。この先の3人のMUCCにおける自分の立ち位置を想像すると、もっといろんな場面で強い自分が必要とされるなって(笑)。それは分かっています。

──覚悟は決まっているということですね?

YUKKE:そうですね。だからといって、すごくギスギスするわけでもなく(笑)。バンド内に、現場に、いい空気が流れるようになるといいなぁと思ってます。

──SATOちさんは、「脱退後にMUCCのライヴをお客さんとして観てみたい」とインタビューで語られていました。YUKKEさんとSATOちさんとの関わり方はどうなっていくとイメージされていますか?

YUKKE:分かんないですけど、普通に連絡は取ると思うし、変な画像が撮れたら送信すると思うし(笑)。

──あはは!

YUKKE:そういうアホなあたりは変わらない気がするんですよ。ライヴを観に来て楽屋に居る感じとかも……まぁ、それはまだあんまり想像つかないけど(笑)。お互いピリピリではないはずなので、いい関係を続けられたらなとは思ってますよ。

取材・文◎大前多恵
ライヴ撮影◎田中聖太郎/Susie

■<MUCC TOUR 202X 惡-The brightness world>

▼2021年
2月28日(日) 福岡サンパレス
3月07日(日) 仙台サンプラザホール
3月25日(木) 愛知県芸術劇場大ホール
3月27日(土) 大阪オリックス劇場
4月03日(土) 新潟テルサ
4月15日(木) LINE CUBE SHIBUYA
4月29日(木・祝) 中野サンプラザホール
5月01日(土) よこすか芸術劇場
5月05日(水・祝) ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール(茨城県立県民文化センター)
5月06日(木) ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール(茨城県立県民文化センター)
▼チケット
全席指定 ¥9,600(税込)
※未就学児入場不可 ※営利目的の転売禁止
一般発売日:2021年2月14日(日)
【プレイガイド3社合同先行】
2021年1月27日(水)12:00~2月2日(火)23:00
※イープラスは2月2日(火)21:00までの受付
・イープラス:https://eplus.jp/sf/detail/0036930007?P6=001&P1=0402&P59=1
・ローチケ:https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=362876
・チケットぴあ:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2169549

■ベストアルバム『明星』

※リリース日等の詳細は後日発表


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