【詳細レポート】My Hair is Bad、「始まりの場所、上越で」
My Hair is Badが地元・新潟県上越市で収録された無観客によるライブ映像作品『Youth baseball』を配信した。先ごろ公開したオフィシャルレポートに続いて、詳細レポートをお届けしたい。
◆My Hair is Bad 画像
高田城址公園野球場の内野で円形のフォーメーションを描いて立っている椎木知仁 (G, Vo)、山本大樹(B, Cho)、山田淳(Dr)。各々のポジションでセッティングを済ませた3人の姿を捉えたドローンは、その後、バックスクリーンの向こうに広がる新潟県上越市の風景を映した。My Hair is Badの地元で収録されたこの無観客ライブは、どのようなものとなるのか? 我々視聴者の期待を煽るかのように椎木が鋭く鳴り響かせたエレキギターの音色。そして山本と山田の演奏も合流して「優しさの行方」がスタートした。収録された映像でありながらも、伝わってくるサウンドが生々しい。地面を震わせる音がグラウンドの土の香りを含みながら迫ってくるかのような気もしてくる。彼らを360°から捉えている複数のカメラ、時折挿入されるドローンによる上空からの映像も交えながら、ライブの模様を臨場感溢れる形で届けてくれたオープニングであった。
「彼氏として」「運命」「教室とさよなら」、次々と曲が届けられる毎に、ますます熱を帯びていった3人のサウンド。互いに向き合っているので、通常の形態のライブよりもアイコンタクトを交わす機会が多いのだろう。少し照れくさそうでありつつも嬉しそうな彼らの表情は、心温まるムードを醸し出していた。そして、最初に迎えたMCタイム。
「みなさん、こんにちは。My Hair is Badです。よろしくお願いします! どこ向いて喋ったらいいのかわからない(笑)。お久しぶりです。本日はこの野球場で……何ヶ月ぶりだろう? 8ヵ月ぶりぐらいに、お客さんは入れてませんが、ライブをしております。観てくれてどうもありがとうございます。配信は初めてですけど、どこでも、いつ観てもMy Hair is Badにしか出せない音というか、グルーヴというか、質感というか。My Hair is Badが画面の中でもMy Hair is Badでいられるように全て出し切っていきます」──椎木知仁
と意気込みを語った後、ギターを弾きながら歌い始めた椎木。すぐに山本と山田の音も加わり、熱く高鳴り始めた「君が海」は、青春映画の一場面のような煌めきを帯びていた。そして、「微熱」「虜」「いつか結婚しても」も届けられた頃には、あらゆる視聴者が完全に引き込まれていたのではないだろうか。それぞれの曲の中に深く刻み込まれている物語を、柔らかな陽の光に包まれながら演奏する3人の姿を通して噛み締めることができた。
再び迎えた小休止。自然光を浴びてはっきりと見える互いの表情は、やはり本人たちにとって照れくさいものだったのだろう。
「笑けてきちゃうわ、まじで」──山田淳
「3人こっち向いてライブするの初めてだよね?」──椎木知仁
「俺はいつも真面目にやってるから! 俺の真面目が面白いわけ? ツボなの?」──山本大樹
和気あいあいと語り合っていた彼らは、新鮮な形でのライブを大いに楽しんでいる様子だった。そして、「このまま雨が降らなければいいですけど。もう夏が終わっちゃいましたけど、夏を思い返す曲が多くて……」と言いつつ、椎木が歌い始めた「真赤」。白いTシャツを着ている椎木と山本、地元のライブハウス・上越EARTHの黒いTシャツを身に纏っている山田が、肌に汗を滲ませながら演奏している姿は、過ぎ去った今年の夏の日々のことも、ふと思い出させてくれる熱量に満ちていた。
起伏に富んだ展開を遂げながら駆け抜けていった「青」。ポエトリーリーディングのような歌唱スタイルも交えつつ、言葉と想いを激しく溢れ返らせていた「戦争を知らない大人たち」。「何もない町から何もない町に行って、駐車場か車の中で朝を見ていました」という言葉を椎木が添えてから演奏が始まった「白熱灯、焼ける朝」。雄大に響き渡る様が、穏やかな風のような波動を生み出しているのを感じた「幻」。日没が近づき、徐々に薄暗くなっていく中で耳を傾けた曲たちは、とても胸に沁みるものがあった。サウンドが激しさを増せば増すほど切なさを滲ませていた「卒業」と「悪い癖」も印象深かった2曲として思い出される。My Hair is Badの音楽の根底にある抒情性を再確認できるひと時であった。
「この球場でこうやって3人でライブをしていて、良い思い出も悪い思い出もいっぱいあるこの町でバンド組んでから13年後。俺が野球の試合をやっていたのは小学校の頃だから……そこからMy Hair is Badを組んで、今日、ここでライブをしています。誰が何と言おうとMy Hair is Badの始まりの場所、上越でこの歌を歌います」──椎木知仁
という言葉が添えられた「最近のこと」は、ドローンで上空から捉えた上越の町並みとサウンドが重なり合っていく様が美しかった。そして、「2020っていう近未来的な、ほんとに夢の中にいるような2020年になった気がしていて。ずっと部屋の中にいて、目の前のことを描いた曲を」という椎木のMCを経て披露された新曲「白春夢」。シングル『life』に収録されているこの曲は、2020年の春先の空気を自ずと思い出させてくれた。
「すっかり暗くなりましたね」と椎木が言った後、「ウェーイ!」という声を上げつつ、テンション高めな様子だった山本と山田。こうしてライブができている感慨を3人は改めて語り合っていた。「これが日常だったんだけど。3人で誰かの前で演奏するのが日常だったのにね。形は変わりましたけど会えてよかったです。観てくれてありがとうございます。球場でいつかお客さんを入れてやれたらいいね? この周りにお客さんがいてくれたら、どんだけ心強いか。もっともっと夢中になれるような気がします」という椎木の言葉を聞いて、山本と山田も深く頷いていた。そして、「集中して頑張ります! 俺が(笑)。俺が集中して頑張ります!」という椎木の言葉と共にスタートした「宿り」。すっかり日が暮れたグラウンドで照明を浴びながら演奏している3人の姿を見つめていると、幻想的な世界の出来事と向き合っているかのような不思議な気持ちにもなった。
ナイトゲーム用のライトも点灯したグラウンド内で、実に気持ちよさそうに「ドラマみたいだ」と「惜春」を演奏していた3人。そして、「夏が過ぎてく」が、このライブのラストを飾った。2013年にリリースされた1stミニアルバム『昨日になりたくて』に収録した曲を地元の特別な場所で鳴り響かせるというのは、彼らにとっても感慨深いことだったのだと思う。3人が交し合っている表情が、一際明るく輝くのを感じた。「My Hair is Badでした! また会えますように!」という言葉と共に演奏が終了した時に漂った余韻は、ドローンが映し出した上越の夜景と融け合いながら終演を美しく彩っていた。
無観客、野外、思い出の地での演奏……という特別な要素が満載だった『Youth baseball』。“ライブ映像作品”として配信されたのも非常に納得させられるシーンの連続であった。“観客の前で演奏するライブの代わりになるものなんて絶対にないんだから、映像作品として届ける価値のあるものを追求しよう”という、ライブで叩き上げられてきたロックバンドとしての姿勢と矜持が全編に漲っているのを感じた。『Youth baseball』での経験は、My Hair is Badの今後の活動にも何らかの形で反映されていくのだろう。そして、2021年の4月10日および11日に開催されるさいたまスーパーアリーナ公演<ブレイクホームランツアー>では、溜め込んだエネルギーが最大限に爆発するに違いない。
取材・文◎田中 大
撮影◎藤川正典
■ライブ映像作品『Youth baseball』セットリスト
02. 彼氏として
03. 運命
04. 教室とさよなら
05. 君が海
06. 微熱
07. 虜
08. いつか結婚しても
09. 真赤
10. 青
11. 戦争を知らない大人たち
12. 白熱灯、焼ける朝
13. 幻
14. 卒業
15. 悪い癖
16. 最近のこと
17. 白春夢
18. 宿り
19. ドラマみたいだ
20. 惜春
21. 夏が過ぎてく
■CDシングル「life」
UPCH-80549 ¥1,100+税
1. 白春夢
2. 心はずっと
3. 子供になろう
■配信シングル「love」
※iTunes、レコチョク、Apple Music、LINE MUSIC、Spotifyなどの音楽配信サービスで配信
1. 味方
2. グッド・バッド・バイ
3. 予感
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・クーポン配布方法:シングル「life」を対象店舗で購入された方へ対象店舗にて先着で配布。
・クーポン利用方法:対象店舗レジにて対象商品と一緒にクーポンをご提示ください。
・クーポン利用期間:2020年12月22日(火)~2021年1月11日(月・祝)
内容:シングル「life」お買い上げ1点につき、次回のお買い物で使用できるMy Hair is Bad 限定500円割引クーポンを1枚プレゼント。
▼クーポンが利用できる対象商品
・アルバム『woman’s』(UPCH-29228 / UPCH-20430)
・アルバム『mothers』(UPCH-29271 / UPCH-20464)
・アルバム『boys』(UPCH-29333 / UPCH-20518)
・Blu-ray/DVD『My Hair is Bad ギャラクシーホームランツアー 2018.3.30,31』(UPXH-20068 / UPBH-20222/3)
・Blu-ray/DVD『My Hair is Bad ファンタスティックホームランツアー 2019.4.16,17 横浜アリーナ』(UPXH-20081 / UPBH-20246/7)
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※対象商品1枚につきクーポン1枚まで利用可能です。
※クーポンは使用後店頭にて回収されます。
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<ブレイクホームランツアー>
open16:30 / 開演 18:00
2021年4月11日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
open15:00 / 開演 16:30
※全席指定
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