【トークセッション】Sakura × LEVIN × shuji、「リズムを歌うことがドラムを演奏する楽しさ」

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ドラムメーカー“パール楽器製造株式会社”が4月2日、創立75周年を迎える。Sakura (Rayflower/ZIGZO/gibkiy gibkiy gibkiy)、LEVIN(La’cryma Christi)、shuji(Janne Da Arc)といった同時代を駆け抜けてきた3者は、全員が実績や経験に裏付けられた技量を持つPearlドラマーであり、現在ではサポート等でも引く手あまたであるなど共通項も多い。昨年末にオンライン開催されたSakura主催によるドラムイベント<Busker Noir in 暗黒秋櫻>では圧巻のドラムセッションを繰り広げ、画面越しのオーディエンスは3者の共演に心ときめかせたはずだ。

◆Sakura × LEVIN × shuji 画像

トークテーマは、ドラマーがメインキャストとなる<Busker Noir>やドラムのためのオリジナル楽曲「Drums Song」シリーズについて、さらには3人の関係やドラマー個々のキャラクター分析、ドラムという楽器の楽しさについてなど、多岐にわたった。Pearl75周年直前であり、Sakuraシグネチャースネア初リリースなど、アニバーサリー感にも溢れたトークセッションは、ドラマー初心者から上級者までが楽しめる実に有意義なものとなった。

   ◆   ◆   ◆

■トップドラマーが譜面をガン見するライブって
■僕らには恐怖ですよ(笑)

──Sakuraさん主催<Busker Noir in 暗黒秋櫻>が2020年11月20日に開催されました。<Busker Noir>はドラマーが主役となる恒例イベントですが、その2020年公演はSakuraさんの誕生日イベント<暗黒秋櫻>と結合した特別な一夜となりました。まずSakuraさんから、ドラマーにスポットをあてたイベント<Busker Noir>について、改めて紹介していただけますでしょうか。

Sakura:最初は<Busker Noir>というイベントタイトルではなかったんですけど、2013年、最初にドラムに重きをおいたイベントを始めたんです。当時、ドラムだけで成り立つ楽曲というものに非常に興味を持っていて。僕は一時期、仙波清彦(パーカッショニスト)さんに「オレカマ」っていう打楽器だけで成り立つ楽曲を教えていただいたことがあったんですね。それをロックドラマーたちのために、ロックバンドのボトムを支えるプレイとは違うアプローチの、何か新しい形の楽曲を作れないかと思ったんです。

▲Sakura (Rayflower/ZIGZO/gibkiy gibkiy gibkiy)

──Sakuraさんがドラムのために作る楽曲「Drums Song」シリーズは、そういった発想から生まれたんですね。

Sakura:ただ如何せん、ドラムにはメロディがないじゃないですか。いや、実はドラムには、我々ドラマーが認識しているメロディがあるんですよ。でもそれって、一般の人たちにも分かるような、いわゆる12音階で表現できる明解なメロディではない。だから、イベントでは歌モノも交えつつ、ドラムだけで演奏する曲も少しずつ入れていくことで、ちょっと大げさな言い方をすれば、“ロックドラム・エンタテインメントを作りたい”と思ったんです。これが、そもそものきっかけでした。そして2015年から<Busker Noir>というイベントタイトルにして、何回か開催していく中で、LEVINくんとshujiくんの2人にも出演してもらうようになりました。

──Sakuraさんとお2人との出会いは?

Sakura:LEVINくんは、僕がL'Arc-en-Cielで活動していた時期に、彼もLa'cryma Christiでデビューしていて、しかも同じパールドラマーだという接点もあって、お互いの存在は当然知っていました。それから何年か経って、僕のライブにも出てもらったりして、いろいろと話すようになったという。それで<Busker Noir>のアイデアが浮かんだ時に、パールの担当者さんに「こういうイベントをやりたいからLEVINくんの連絡先を教えて欲しい」とお願いしたんです。その時にもう一人、気になるドラマーがいて。それがshujiくん。まだ会ったことはなかったけど、Janne Da Arcという存在はもちろん知っていて、「彼にも声をかけたい」とLEVINくんに紹介してもらったんです。

shuji:LEVINさんから、最初に<Busker Noir>の連絡をもらった時のこと、覚えていますよ。

LEVIN:僕はSakuraさんに誘っていただいた時に、<Busker Noir>のことは知っていて。いろんなミュージシャンとセッションしていて楽しそうだなって思ってた記憶があります。バンドをやっていると、いろんな人とセッションする機会って、意外と多くありませんから。

shuji:僕もSakuraさんがそういうイベントをやってらっしゃるということは知っていて、どんな感じなのか興味があったんです。それで一度、高円寺で開催された<Busker Noir>を観に行かせてもらったんですよ。

▲LEVIN(La’cryma Christi)

Sakura:2015年かな。その時って、5人ドラムだったよね。Toshi Nagaiさん、五十嵐公太(ex.JUDY AND MARY)さん、力武(誠)くん、それに篤人(eStrial/Angels)くんだったかな。

shuji:そうしたら、みんな譜面をガン見しながら叩いていて。“うわぁ、これは大変だぞ”と(笑)。

LEVIN:そのクラスのトップドラマーが譜面をガン見するライブって、僕らには恐怖ですよ(笑)。

Sakura:曲を書いた僕自身が、譜面から目を離せなかったからね(笑)。

shuji:それでイベント後にみなさんと話したら、「譜面から目を離せないよ」って。“こりゃ大変だ”というのが最初の印象でした(笑)。

──実際に「Drums Song」シリーズを作って演奏していく中で、Sakuraさん自身も新しい発見や、改めて感じたドラムの楽しさなどはありましたか?

Sakura:「Drums Song」を書くにあたって、最初は各ドラマーでリズムを分散させることにこだわってたんですよ。でも何度かやっていくうちに、ユニゾンのほうが面白いことに気が付いて。お互いに複雑なリズムを組み合わせるよりも、呼吸を合わせる面白さっていうか。そのほうが、観てくれているお客さんにも分かりやすいだろうし。これがもし、例えばAパターンを5人で叩いて、Bパターンを5人で叩くような大編成スタイルだとリズムを分散させても音楽的に成り立つんですけど、3人のドラマーにすべてのリズムを分散させると、ただ音符が埋まっている曲になりがちで。だから初期に書いたものは、“うるせぇ曲だな”っていう気がしなくもない(笑)。

shuji:あははは(笑)。

▲shuji(Janne Da Arc)

Sakura:そこから最新の「Drums Song #7」は、ユニゾンのリズムを活かした曲になっています。“最新”と言っても、作ったのはかれこれ2年くらい前。「Drums Song」シリーズって、<Busker Noir>くらいでしか、なかなか披露することができないんですよ。それで今回、自分の誕生日と、パールから自分のシグネチャースネアをリリースすることの記念として、久しぶりに<Busker Noir in 暗黒秋櫻>をオンラインでやろうということで、2人に声をかけました。LEVINくんとshujiくんは、通算すると4回目の出演で。

LEVIN:えっ、もう4回も?

shuji:そのうち1回は篤人と一緒にやりましたよね。

LEVIN:ああ、そうか。2018年には大阪でもやって。

Sakura:そう。その後に東京でもやって、それで今回。僕的にはこの2人とは、同じフィールドで同じ景色を見てきているから、共通する部分が広くて。もちろん、これまでに出ていただいたToshiさんや公太さんともすごく面白かったけど、世代という意味ではこの2人はより近いし。だから、いろいろと頼みやすいというか、音楽の話をした時に“分かってもらえる”という安心感もあって。それで2人に頼っている面も多々ありますね。

LEVIN:最初に<Busker Noir>に呼んでいただいた時、僕は相当練習したんですよ。その記憶が強くて、あの時にあれだけ練習したんだからきっと覚えてるだろうと今回のリハに臨んだら、まったく叩けなかった(笑)。2年ぶりなんですけど、2年でリセットされるんだって痛感して、そこから猛練習しました(笑)。

shuji:僕は逆に、譜面を見たら身体が想い出すみたいなところがあって。最初に出た時は本当に大変でしたけど、それ以降、ここ何回かは「Drums Song」を叩くのが楽しくなってきて。特に今回は、リハの時から楽しんでプレイできました。

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