坂本真綾、『独白↔躍動』配信開始 Acoustic Liveツアー最終日のレポートとプレイリストも公開
坂本真綾が、NEWシングル『独白↔躍動』の12月9日のリリースに先駆け、ストリーミング&ダウンロード配信を開始。各配信サイトではプレゼントキャンペーンも組まれている。さらに、Acoustic Liveツアーのセットリストもプレイリストとして公開した(https://jvcmusic.lnk.to/maaya_live_talk2020)。
11月29日にZepp Tokyoにて開催されたツアー最終日のレポートを以下に紹介しよう。
11月1日から全国6カ所をまわったツアー『坂本真綾IDS!presents Acoustic Live & Talk 2020』が、11月29日にZepp Tokyoにて最終日を迎えた。コロナ禍における対策として着席スタイルで客数も大幅に減らしての開催。事前のインタビューでは「皆さんが来た時よりも帰りにニコニコしてくれていたらいいな」と意気込みを語っていた。会場では検温や接触確認アプリのチェック、間隔を開けての場内入場など対策は徹底していた。ツアーグッズも事前にネット通販されていたので、開演前も混雑している様子は見受けられない。ヴィジョンには本人手書きの、今日のメンバー紹介や注意事項などが映し出され、9月に出演したミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~』や、『劇場版Fate/Grand Order-神聖円卓領域キャメロット-前篇 Wandering; Agateram』の予告映像、さらに解禁されたばかりの「独白」MV(2Chorus Only Ver.)などが流れ、思わず見入ってしまいながら開演を待つことができた。このレポートでは最終日2回目の模様をお届けする。
開演時刻ぴったりにメンバーと坂本真綾がステージに登場。1曲目は「宇宙の記憶」で、ウッドベースとピアノの音色が素敵なアコースティック・アレンジに乗せて、会場は一気にジャジーなムードに。スリリングな旋律を歌いこなすと、間奏では華奢な体を揺らして踊る姿もとてもキュート。「ようこそお越しくださいました!」と挨拶すると、「今日は鬼の3公演!2日で6公演!」と笑った。一人でも多くの方に安心して観てもらいたいという想いから70分×1日3公演というハードなことになっているが、秋にミュージカル(3時間×昼夜2公演)を経験しているからそんなに大変に感じないというのだからさすが。今年でデビュー25周年だが、彼女の歌声はまだまだ進化する。この日も生き生きとした美しい声を放ち、特に高音のファルセットが豊かで気持ちがいい。その声で〈今しかできないことをすぐにやらなくちゃ〉と歌う「Million Clouds」や、〈会いたい日は会いたいって言おうよ〉なんてフレーズが光る「幸せについて私が知っている5つの方法」など“今聴かせたい曲”を次々と披露していく。彼女自身、「お客さんの前で歌うと、音楽をやっているなって気がします」と言っていたが、音楽は、作ってリリースして、それで終わりじゃない。こうして今を生きている人に直接届け、直接受け取ることでしか味わえない喜びがあるのだ。世界中が不安に包まれているこの時代に、聴こえ方が変わってしまった音楽もあるだろう、でもそれをネガティヴに捉えるのもポジティブに捉えるのもアーティスト次第。その後も「私へ」など、今年の7月にリリースした25周年記念アルバム『シングルコレクション+アチコチ』をあらためて聴き直しながら、彼女自身が今の感性に触れたという曲を届けてくれた。
そこからは『Fate/Grand Order』関連のナンバー「逆光」と「躍動」を2曲続けて。12月5日より全国ロードショーで公開される『劇場版Fate/Grand Order–神聖円卓領域キャメロット−前編Wandering; Agateram』の主題歌「独白」を含むシングル『独白↔躍動』が12月9日にリリースされる。このシングルのFGO盤のカップリングに収録されている「逆光−unplugged session-」は、今回のライブのバンドメンバー(扇谷研人/Pf、福長雅夫/Per、藤谷一郎/B、外園一馬/Gt)でレコーディングされたというだけあって、この日もドラマチックな熱量を帯びて駆け上がっていくような演奏で届けられた。ロックバンド、ユアネスとコラボして生まれた新曲「躍動」(こちらはスマートフォン向けゲーム『Fate/Grand Order』第2部後期主題歌)は、アコースティックではないバンドサウンドで披露され、心が暴れ出しそうな凄まじい気迫をエモーショナルに響かせてくれた。
続いては今回のツアーの目玉と言っても過言ではない、全8曲16分25秒に及ぶ「免疫アップメドレー」!〈ありがとう今ここにいてくれて〉という歌い出しで涙腺崩壊の「スピカ」から始まり、萎れかけた心にたっぷりと水を注いでくれるような「ユッカ」、聴くだけで元気になれそうなアップナンバー「CLEAR」、歌声の透明感で浄化もしくは殺菌効果さえありそうな「Gift」、みんなを守りたいという祈りが込められているような「tune the rainbow」、優しく神々しいムードで届けられた「光あれ」……と息もつかせぬ、めくるめく展開。いつの間にか、誰もがひれ伏す人気ナンバー「プラチナ」が聴こえてきたら再び号泣必至、マスクの中で泣いて、心の中で大合唱するしかない2020年ならではのメドレーだった。
最後は坂本自身が自粛期間中に作詞・作曲した新曲「いつか旅に出る日」(こちらはシングル『躍動↔独白』のMAAYA盤カップリングに収録)を、鍵盤のみの演奏で披露。旅が大好きな彼女が、クロアチアで見た美しい朝陽を思い出しながら書いたというこの曲を、今回のツアーではその時に撮影した写真をヴィジョンに映し出す演出で聴かせてくれた。クロアチアの美しい街並みと城壁。海に輝く朝陽のきらめきを感じながら聴いた優しいメロディ、まるで一緒に旅をしているような、音楽にしかできない極上体験だった。
そしてこの日の3回目となる最終公演では、来年の3月20日と21日に横浜アリーナでコンサートが開催されることが発表された。デビュー25周年の節目のラストを最高にハッピーな形で締めくくってくれるのではないだろうか。音楽は人を元気にする力を持っている。そのことを再確認させてもらった今回のツアー。「また会いましょう、お元気で!」と笑顔でステージを去った坂本真綾。尚、本公演は後日の配信が予定されている。また3月にはさらに多くの人と、この感動を分かち合えたらと願う。
文:上野三樹
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