【対談】一聖(BugLug) ×ダイナマイト・トミー「やりたければやる。それがロック」

■ロックバンドが自分に嘘ついたらダメ（トミー）

──BugLugは「自分たちでやりたい」と思って“絆プロジェクト”をやったわけですが、「周りがやっているからやる」「やりたいと思ってないけどやる」という思いで配信ライブをやってるバンドもいると思います。

トミー：どうなんですかね。周りのバンドがやってることをやってもパイの奪い合いにしかならないじゃないですか。わざわざそんなことで無駄な競争してもバカを見るだけだと思うんですけど。

一聖：なるほど……俺はどっちかっていうと、そういう周りの動きを見て「こういうやり方もあるんだ」って影響されがちなんですよ。

トミー：それはダメだよ。もしそういう考えで何かやろうとしても、その案は会社で通らないよ。競争するのしんどいもん。

一聖：そうですよね。でも「他のバンドはこういうことやってるんだ、じゃあ俺はこっちで」って、違うところを目指すこともあります。

トミー：それが誰もやってないことだったら、すぐに「やれ！」って言うよ（笑）。


──トミーさん自身はバンド時代に、みんながやってることに手を出して失敗した経験はありますか？

トミー：「やってくれ」って頼まれてやったことはたくさんあるんですけど、そういうのはどれもろくなことにならなかったですね。そもそも僕の気持ちが乗り気じゃないんだから、失敗して当然というか。だから一聖も「やりたくないけどやらなきゃいけない」ってことは絶対にやらないほうがいい。あと「人からこういう風に思われたい」「こう見られたい」から「こうしたい」というのも却下。「自分以外の誰か」が物事の主体になると、自分自身がなくなるから。

一聖：そっか……。今回、トミーさんと対談したいっていうのは俺の希望だったんですけど、それは俺の中でトミーさんって、アルティメットアナーキストなんですよ（笑）。

──究極のアナーキスト（笑）。

一聖：これまでも何度か話す機会はあったんですけど、今日ここまで話を聞いて、もっとありのままの自分でやればいいんだなって思いました。今の時代、日々いろんなコンテンツがバズってるのを見て、俺らもそういうことをやってみた方がいいんじゃないか？とか、もっと自分はこういう発想を取り入れるべきなんじゃないか？とか思ったけど、自分を信じて我が道を行くほうがいいんだって、思いました。

トミー：もし緊急事態宣言のときにライブやってたら知名度だけは抜群だったかもね。その知名度を生かしてYouTubeやったらさらに炎上して、それで「Rock Band Is Not Dead」みたいな歌を歌ったら気持ちが伝わって支持を得たかもしれない。

──それはいわゆる炎上商法なのでは？（笑）。

トミー：やりたいと思ったらやればいいっていう話なんで何と言われても良いんですけど。それで炎上したり、非難されたとしても、やりたければやる。僕はそれがロックだと思うし、それを本人が正しいと思っていたなら最高じゃないですか。

一聖：そうっすよね。

トミー：ロックって嘘ついちゃいけないと思うんですよ。嘘ついてたら伝えたいことなんて伝わるわけないじゃないですか。ステージが嘘で曇ってしまう。だから会社の代表である僕も嘘をついてたらダメじゃないですか。ロックバンドをやってるみんなも僕のことを信じてくれなくなり、やっぱりステージ上が曇る。よく周りから「会社の社長なのに」みたいなことを言われるんですけど。

──どういうことですか？

トミー：例えば会社を経営していくのに、本音と建前を使い分けるのが当たり前みたいなんだけど、僕は公の場でも本当に思ってることを言うんですよ。「なるべく税金を払いたくない」とか。そういうことを言うと周りから問題視されるんだけど、みんな本音は僕と同じで。つまり、みんな嘘をついている。でも僕は嘘はつかないのは、バンドをやってたし、ロックバンドが自分に嘘ついたらダメだと思ってるからなんで。


──今の話を聞いて一聖くんはどう思います？

一聖：もっと話を聞きたいなと思いました。俺もブレないで、もっと本音を歌っていきたいです。

トミー：もっと言いたいことを言っちゃえばいいと思うよ。ロックは自由なんだから。

一聖：頑張ります……！

取材◎樋口靖幸
撮影◎野村雄治



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