杏子、7年ぶりワンマンライブ「オーディエンスのみんなが完成させてくれました」
杏子の約7年ぶりのワンマンライブ<KYOKO in Billboard Live TOKYO “Welcome to the Nightmare”>が、11月20日に東京・ビルボードライブ東京で開催された。同公演のオフィシャルレポートをお届けする。
◆杏子 画像
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およそ7年ぶりとなる杏子のワンマンライブが六本木の東京ミッドタウン ガーデンテラス4階にあるBillboard Live TOKYOで行われた。実はこのライブ、本来であれば5月に実施されているはずだった。しかしご存知の通り、新型コロナウイルスによる感染症拡大の影響で一旦は中止となってしまった。思えば今年の1月、BARBEE BOYSの<突然こんなところは嫌いかい?>を国立代々木競技場第一体育館で開催し、順調すぎる1年の幕開けを迎えたところだったのだが──予期せぬ事態はエンタテインメントのみならず、我々の日常そのものにまで影響を及ぼすこととなった。しかし、そんな中でも音楽活動を継続し、6月にはデジタルシングル「One Flame, Two Hearts」を、さらに11月11日には、こちらもデジタルシングル「Welcome to the Nightmare」をリリース。中止となっていたBillboard Live TOKYOでのライブも開催されることになった。
客電が落ち、幻想的なSEが流れる中、バンドメンバーがステージイン。続いて杏子が登場した。全員白を基調とした衣装なのが印象的だ。オープニングは「上弦の月の下で-Under The Half Moon-」。今宵、11月20日はまさに上弦の月! 狙いかどうかはわからないが、都会の真ん中に浮かんだ空中庭園のような趣のあるBillboard Live TOKYOのステージにぴったりの曲だ。そして「Nobody’s Home」へという流れは、1980年代から一貫して日本のフィメール・ロック・シンガーの象徴としてあり続ける杏子のイメージをしっかりと印象付けるものだった。しかも、オルタナティヴな要素を含んだ「Nobody’s Home」では、進化をも感じさせるのだから、その鍛え抜かれたスタイルとともに第一線で体を張り続けるアーティストの凄みを感じた。
「今年の夏は思い出がないせいか憶えてないのよね。だから夏を取り戻す曲をやります!」
レモンイエローのノースリーブ・ロングベストを纏いパフォーマンスしたのは「恋するサンビスタ」だ。サンバボッサのリズムに心が躍る。今回のバンド編成は、ギター、ベース、ドラムにヴァイオリン。弦が入ることで、ミニマムでありながらも様々な表情が楽曲に加えられていく。続く2曲は、12月16日にリリースされる、オフィスオーガスタ所属アーティストによるコンピレーション・アルバム『Augusta HAND × HAND(ハンドバイハンド)』と、その完全受注生産限定盤Gift Boxにセットされるセレクション・アルバム『Augusta HEART × HEART(ハートバイハート)』の中からの選曲だ。先に披露したのは、後者に収録されている「Dear Me」。このセレクション・アルバムは各アーティストが自身の曲の中から“今あなたに届けたい、会いたいという想いを込めて”選んだ1曲が収録されている。「Dear Me」はかけがえのない思春期を歌った曲で、杏子は今この曲を届けたいと思った。そして次に披露されたのが、オフィスオーガスタ所属アーティストによるコラボレーション新録曲を収録した前者に収録された楽曲。杏子はジャズピアニストで作曲家・編曲家の大野雄二とコラボ。大野が作・編曲した、アニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』の主題歌「炎のたからもの」だ。凛とした佇まいのボーカルが印象的だった。
そして、「One Flame, Two Hearts」では最新の杏子を披露。シンセベースにダンスビート調のリズムが鳴り、ロックとR&Bの境界で揺れるようなサウンドスケープが斬新だった。MCでは、この曲をプロデュースした多保孝一とのエピソードを披露。ザ・バンドのメンバーとしても有名なリック・ダンコのソロ作品「Java Blues」と、TRICERATOPSの「Silly Scandals」のカバー2連発は、どストレートなロックンロールショーでオーディエンスの体を揺らした。
本編ラストは「青猫」。司修の『幻想童話館 青猫』にインスパイアされた歌詞が心に迫るこの曲を圧巻のボーカルで歌い上げた。後半のギターソロのところでバックヤードの幕が開き、六本木の夜景が出現。曲の世界観と重なって、息を飲むような美しさだった。
アンコール1曲目は、初披露となる最新曲「Welcome to the Nightmare」。サビでのタイトルの発語感、メロディーがとにかくクセになるロックチューンでガツンといったあとは、夜景をバックに聴けることが素直にうれしい「星のかけらを探しに行こう Again」。宝石のような都会の煌めきに勝る演出はないだろう。
「バンドメンバー、スタッフとともに作り上げてきたライブですが、オーディエンスのみんなが最後に完成させてくれました。本当に本当にありがとう。またライブができることを願っています」
真っ直ぐに音楽を届けてくれた70分。時間を巻き戻して思い出に浸るためではなく、ここから進めていくための大切な12曲だった。
文◎谷岡正浩
撮影◎岩佐篤樹
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■<KYOKO in Billboard Live TOKYO “Welcome to the Nightmare”>2020年11月20日(金)@東京・ビルボードライブ東京 セットリスト
2. Nobody’s Home
3. 秘密の花園
4 恋するサンビスタ
5. Dear Me
6. 炎のたからもの
7. One Flame, Two Hearts
8. Java Blues
9. Silly Scandals
10. 青猫
En1. Welcome to the Nightmare
En2. 星のかけらを探しに行こう Again
配信限定シングル「Welcome to the Nightmare」
https://umj.lnk.to/Kyoko_WtoN
配信限定シングル「One Flame, Two Hearts」
https://umj.lnk.to/OneFlameTwoHears
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