【インタビュー】GRANRODEO、絶妙な距離感で15年を駆け抜けるKISHOWとe-ZUKA「たかが15年、されど15年」
GRANRODEOが11月4日に15周年記念ベスト盤『GRANRODEO Singles Collection "RODEO BEAT SHAKE"』をリリースする。TVアニメやゲームのタイアップに起用されたシングル曲がずらりと並ぶラインナップに書き下ろしの新曲「welcome to THE WORLD」も収録。初回限定盤にはライブ音源をパッケージしたCDと、今年の7月に全世界で配信された無観客ライブ<GRANRODEO 15th ANNIVERSARY Startup Live ~たかが15年~>の映像などを収録したBlu-rayも同梱されている。互いに信頼しあい、つかず離れずの絶妙な距離感をキープして月日を駆け抜けてきたKISHOW(Vo.)とe-ZUKA(G.)が15周年イヤーを迎えて「まだまだ満ち足りない」と語る想いの根底にあるもの、そして“GRANRODEOらしさ”について掘り下げたロングインタビューをお届けしたい。
■まだ全然知られてない。もっといっぱいの人に聴いてほしい
■そういう気持ちがモチベーションにもなっているんです
──15周年おめでとうございます。今年はコロナ禍で思うような活動ができなかったとは思いますが、3月に開催予定だった<GRANRODEO 15th ANNIVERSARY Startup Live ~たかが15年~>(のちにオンラインライブとして世界同時生配信)には“たかが15年”というサブタイトルが付けられていました。周年をそういう心境で迎えた感じだったんでしょうか?
KISHOW:そうですね。大げさに祝って“15周年、どうよ?”みたいなのは恥ずかしいと思ったんじゃないですか? たかが15年、されど…っていう。20年だと重みが違うと思うんですけど「15年って10年と20年の間だよね」という感覚が僕個人的にあったんですね。スタッフサイドは「15周年だから」っていうのがあったのかもしれないけれど、「たかが15年だよね」って思ったから、僕がその言葉をタイトルに持ってきたんです。
──20周年だったら盛大に祝いたいという気持ちがあるけれど。
KISHOW:ええ。10年単位っていう。とはいえ、GRANRODEOは5年目で日本武道館をやらせてもらったので、5で区切るのもいいのかなと思ったので、たかが15年、されど15年というところですよね。
e-ZUKA:同じレーベルのJAM Projectは20周年ですからね。15年ごときじゃ祝ってられないですよ(笑)。「20年はさすがだな」と思います。僕らが何者になれたのかはわからないですけど、気がついたら15年たっていたってことです。イベントとかフェスに出てもトリにされちゃったりとか、年が上なものでベテランみたいに扱われることもあるんですけれど、気持ちは今も新人っていうか、まだ誰にも知られてないんじゃないかぐらいな。
──(笑)いや、いや、いや。
e-ZUKA:そういう気持ちはずーっとありますよね。
──男女問わず幅広い年代に聴かれて、大会場でライブを開催してもですか?
e-ZUKA:そうなんですけどね。それも自分のこととして今も思えなかったりして。もちろん、状況やまわりの方に感謝はしているんですが、正直、まだまだ満足できていないんですよね。
──もっとこういう存在になりたいとか、もっとこんな楽曲を作りたいという欲求のほうが強いということでしょうか?
e-ZUKA:まぁ、作りたい気持ちはあるんですが、できないという(笑)。頑張ればできるけど、頑張れないみたいな、面倒くさい人間なんですよ(笑)。でも、やり始めると楽しくなるんです。そういうことを繰り返して15年たったから、“たかが15年”っていうのは合っているんだろうなって。
▲『GRANRODEO Singles Collection "RODEO BEAT SHAKE"』【完全生産限定】
▲『GRANRODEO Singles Collection "RODEO BEAT SHAKE"』【通常盤】
──気がついたら15年とおっしゃっていましたが、10周年のタイミングでメンバーとスタッフでセレクトしたベストアルバム『DECADE OF GR』をリリースしましたよね。5年前と心境の変化はありますか?
KISHOW:8周年のときにあと2年待てば10周年だったのに初めてベストアルバム『GRANRODEO GREATEST HITS ~GIFT REGISTRY~』を発売したので、今回でベストを出すのは3回目なんですよ。確か、10周年はけっこう盛大に祝っていただいたような。
e-ZUKA:幕張メッセでライブやったんだっけ?
KISHOW:そうだ!
──演出も派手でしたよね。
e-ZUKA:ロビーからお祭り感があってアミューズメントパークみたいなね。
KISHOW:たくさん集まってくれたなぁ。記念の曲「バラライ」を作ったりしてね。世の中的には今、こういう状況になってしまいましたけど、自分たちの気持ちとしては変わったつもりはないんですよ。僕も「まだまだだな」と思っているし、満足できない部分はあるけど、それは10周年のときも5年たった今も同じですね。ありがたいことにそういう気持ちがモチベーションにもなっているんです。「まだ全然知られてないじゃん。もっともっといっぱいの人に聴いてもらわないと」って思っているので。
──それはGRANRODEOを始めたときから思っていることですか?
KISHOW:僕はそうですね。「さあ! やるぞ!」モードだったので。個人的には結成当初より温度感は安定してきましたけど、落ち着くのはイヤなんですよ。「GRANRODEOはここが限界だから、あとは長く続けていこうよ」っていうやり方には「まだまだ。何言ってるの?」って心のどこかで思っているので、e-ZUKAさんと僕の間にはそういう意味で温度差はない気がしています。まだまだ根拠のない自信を持っていたいので。
──根拠のない自信って原動力ですからね。
KISHOW:でも、やればやるほど根拠が出てくるんですよ(笑)。「これ以上、歌うまくならないかもな」とかね。
──そう思うから、上に行けるんだと思います。
KISHOW:同時に「絶対、こんなものじゃないよな」って思いながらやってますからね。
──2人の共通の思いは、多くの人に聴いてもらいたいと思っていることだと思いますがどうなっていきたいなどありますか?
KISHOW:どうなったらいいかっていうのはちょっとわからないですけど、自分たちの肌感覚で「足りてないな」っていうのがあるので、満ちるところまで来ればいいのかなと思うんですけどね。
──世界で成功するとか?
KISHOW:なかなかな話になってきましたね(笑)。ただ本当に15年やっても満ち足りてないんですよ。
e-ZUKA:うん。
──だからGRANRODEOは続くんだと思いますよ。2人の関係性も変わらないんでしょうか?
e-ZUKA:変わらないですね。
KISHOW:そう、そう。いい意味で変わらないです。僕はこれは非常に重要なことだと思っていて、もっと距離が近くなって「本当はこういうこと言い合いたかったんだよ」ってガッツリ2人でスクラム組んだりしたら、ちょっと気色悪いなって(笑)。つかず離れずで15年やってきて成立しているから、これから先も今の関係でいいんじゃないかと思っていますけどね。よっぽど何かあったら距離がグッと縮まるのかもしれないけど、まわりから「どうしたの? あの2人」って驚かれますよ(笑)。15年、喧嘩もモメることもいっさいないので、不思議ではあるけど。
──言い合いもなく? そんなことあるんですか?
KISHOW:あるんです。まわりのスタッフの気遣いもあるのかもしれないですけどね。普通、バンドってセッションして「ああでもない、こうでもない」って言って「今の音、違うからBメロからやり直そうぜ」、「えーっ。さっきの俺のテイクよかったのに。タハーッ!」みたいな場面があるんでしょうけど、なかなかドライな2人組なので(笑)。
──役割分担がハッキリしていて、信頼しあっているからなのでは?
KISHOW:役割分担ですね。カッコよく言うと補い合えている。e-ZUKAさんができないことを僕がやって、僕ができないことをe-ZUKAさんがやってくれてるっていう。僕のほうができないこと多いですけど(笑)。簡単に言うと僕は歌ってりゃいいんですもんね。
──作詞もしているじゃないですか?
KISHOW:歌ではアイディンティティを確立していると思っていますけどね。GRANRODEOに歌を捧げてますから。
──そういえば、KISHOWさんは歌詞をガラケーで書いて送っているらしいですね。
KISHOW:(笑)(机に出して)確かにガラケーは持ってますけど、電池の減りが早いんですよね。
──相当、年期が入った携帯ですね。
KISHOW:年期も気合も入ってます(笑)。そんな僕を見かねて最近、スタッフがiPadなるものを授けてくれたんです(笑)。さらにLINEというものも覚えて今は歌詞をスタッフに送っています。確かに以前はe-ZUKAさんとスタッフ2~3人にガラケーで送っていたんですよ。でも、e-ZUKAさんはLINEをやらないので今は送れないんです(笑)。
e-ZUKA:ははははは。
──e-ZUKAさんはDTMで使うソフトがどんどんヴァージョンアップされていくので機材まわりは大変なんですよね。
e-ZUKA:でも、どっちもどっちですよ。俺もLINEやってないし(笑)。よく「LINE教えてよ」って言われるんですけど、「誰でもやってるって思うなよ」って(笑)。
──自分も遅れているので共鳴します。
e-ZUKA:だから、まぁ、しょうがないですよ(笑)。
──ははは。では、いよいよ15周年記念ベスト盤『GRANRODEO Singles Collection "RODEO BEAT SHAKE"』の話を聞きたいんですが、新曲も収録された2枚組で1stシングル「Go For It!」から最新シングルから「情熱は覚えている」まで1曲1曲が濃いし、TVアニメやゲームのタイアップがズラリと並んでいて、改めてすごいことだなと思いました。
e-ZUKA:これだけのシングルをリリースさせてもらえているということは、確かにすごいことだなと思いますよね。初めて「Can Do」がオリコンチャートのベスト10内に入ったときは嬉しかったし、ありがたいですよね。ベストにはノンタイアップの曲も何曲か収録されていますけど、「恋音」や「Darlin'」や「We wanna R&R SHOW」はアルバムやライブのために作った曲だったんですよ。いい曲だからシングルカットしようっていうことになったんですけど、シングルカットって昭和ですよね。
──懐かしい響きですよね。
e-ZUKA:(笑)そう、そう。そういうことをスタッフがしたかったんでしょうね。
KISHOW:はははは。
──数曲を除いてすべてタイアップシングルですもんね。
e-ZUKA:FLOWのTAKEちゃんに「またタイアップなんですね」ってうらやましがれたりしたことはありますね。でも、彼らはバンドだから四六時中、一緒というか運命共同体的なところがあってそれはそれの良さがあるし。僕なんか本職は声優みたいなところなので(笑)。
──(笑)それはKISHOWさんです。
e-ZUKA:そう考えると「恵まれてるな」と思いますね。
◆インタビュー(2)へ
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