【インタビュー】BLINDMAN、11/11・11曲入り・11枚目のアルバム『EXPANSION』は「バンドとして最高の状態」
結成25周年を迎えた国内正統派ハードロックバンドBLINDMANが通算11枚目となるニューアルバム『EXPANSION』を11月11日にリリースする。幾度のメンバーチェンジを経て各自が最高のポテンシャルを発揮できるバンドとなり、常に骨太な王道サウンドを軸に進化し続ける姿勢で放つ真骨頂と新境地。現体制でのメンバー、中村達也(G.)、Ray(Vo.)、戸田達也(B.)、實成峻(Dr.)、松井博樹(Key.)の5人全員によるインタビューが実現した。
──まずは結成25周年おめでとうございます。これまでを振り返ってみていかがですか?
中村達也(以下、中村):やっぱり長いですよ。最近思うのは最初の頃の事は記憶として微かなものになっていますね。現体制になって5年近く経つけれど、この5年はあっという間だったかな。
戸田達也(以下、戸田):今のメンバーになってからは、ある意味で違うバンドになったよね、新しいバンドのようにも感じます。変化があるのは面白いし、この5年はとても楽しくやっていますよ。
松井博樹(以下、松井):25年のうち11年居るので私も長いかな。自分は名古屋在住なので、毎回高速に乗って来る度に未だワクワクしているので楽しく続けられていますし、それが無くなったら辞め時かな?とも思います。あっという間の11年でしたけど、ここ最近は更に早く感じていますね。
中村:まっちゃん(松井)が加入してからはしばらく他のメンバーの出入りも多くて今の体制になるまで毎回アタフタしてたよね(笑)。
實成峻(以下、實成):僕はそんなにたくさんのバンドは経験していないんですが、気が付けば自分がやってきたバンドで一番長く居ます。でもそんなに経ったの?って感じですし、リハーサルひとつにしてもツアーにしてもとにかく楽しく出来ています。僕が加入当時はバンドは21年で、そこから新しいお客さんって更に増えるんだ?と思いましたね。とても大事な瞬間を見させてもらっていますね。
Ray:僕はプロジェクトBLINDMANから始まって、そこからは6年経つかな? 最初はヴォーカルってバンドのフロントマンとして直接的にバンドのカラーを決定付ける立ち位置でもあるので、前任者が強烈なフロントマンだったし、正直自分でもその幻影というか、過去やってきたものに対してどうアプローチするか?に凄く囚われていた時期もありました。最初は前任者の影が常にチラついてましたし、それと比較してどうだみたいなね、葛藤がありましたよ。でも2枚目を作ったあたりから段々となくなって、ようやく自分の歌がBLINDMANと胸を張って言えるようになったかな。今回の3枚目は自分の出来る表現をきっちりと出せたと思います。バンド自体も進化しているし、現状で満足せずに常に次のステップに進んで行くようなところがとても楽しいですね。向上心もあって、新しい音楽性にもチャレンジ出来て、この歳でもそれが出来るというのが貴重な場ですね。
▲中村達也(G.)
──今が一番リハーサルをするとも聞きましたが?
中村:そうなんです(笑)。厳密に言うと最初期の方がリハーサルの回数は多かったと思うんだけれど、それは20代だったし、それなりにみんな暇だったの(笑)。
戸田:時間があるし、燃えてるから毎日スタジオに集まる環境が出来ていたのね。
中村:そうだね、僕と戸田くんと当時のドラマーのルイス(Louis Sesto)はもの凄く近くに住んでいたし、その近くのスタジオだったし、キーボードの均ちゃん(遠藤均)もそう遠くなかったのでリハーサル日じゃなくても普通に集まっちゃっていたよね。ただ、しっかりリハーサルをやりますよと決めてしっかり集まるのは今が一番良いと思うよ。
──7月に行われた感染防止対策をした新スタイルでのライブは実際にトライしてみていかがでした?
中村:この形、このままではいけないよね、とは思った。実際、あれをやる事で批判的な声も貰ったし、疑問視する方もいらっしゃったし、チケットは購入したけど来場されなかった方もいました。難しい問題ですけど、何かやらなきゃいけないと思った。何もやらない事が一番良いに決まってるでしょ?でも何かしら動かさなきゃいけない。メンバー、会場のスタッフが行った対処は、これでライブが出来ないならもう今後出来ないねという状態だったので僕らはやるべきだと判断しました。この先の事もわからないけれど、少しでも元に戻して行こうという考えでいますよ。
▲Ray(Vo.)
──やり辛かったですか?
中村:そんな事はなかったですよ。もちろん人数制限もして着席スタイルだったので、パフォーマンスというよりは演奏会に近い感じでしたけど、あとで記録した映像を観たらめちゃめちゃ上手いんだよ(笑)。ですよね?
全員:(笑)。
中村:こういう感じでやるとこのくらいのクオリティになるんだというのがわかったのは収穫だったね。
Ray:それにやっぱり生の音を出してのライブは良いもんだなと再確認出来たよね。お客さんの求めてるものもヒシヒシと伝わってきたしね。
中村:お客さんの数が少ない事は全然気にならなかったよね。みんなの気持ちはとても伝わったしね。
──さて、通算11作目となるニューアルバム『EXPANSION』が完成しました。前作2枚を超えた力作ですね、皆さんの手応えはいかがでしょう?
中村:良かですよ。単純に比較出来るものではないけれど、僕自身はこのバンドの幅を広げる、拡張すると言うタイトル『EXPANSION』になっていますけど、そういうものに挑戦したつもりです。結果としてそれが上手く行ったし、これハードロックバンドに聴こえるのか?と思うものもちゃんとハードロックになったと思うし、ひとつの作品として上手くまとまったと思えますね。
實成:前作の『Reach for the Sky』も思い入れは強かったんですけど、今回は更に絶対にBLINDMANでしか出来ないでしょうと思える作品ですね。同じデモを渡されて、どこか他のバンドでこれ出来ますか?って言えるくらい、このメンバーでしか出来ない自信があります。
──今のバンドの音楽には峻くん(實成)が合っていますよね。
中村:そうでしょ?峻ありきですよ、頼むから辞めないでくれ(笑)。やっぱり作品聴いてそう思ってくれたでしょ?本人が凄く考えてくれているし、彼なら出来るだろうと思って曲を書いているしね。それはソングライターとしたら凄く解放してくれている事なんです。例えば今回で言えば「Tonight」とか「Never Say Never」「Love Drifter」あたりは峻ならカッコよくやってくれるという前提。もちろん毎回その時その時のメンバーを想定して作るわけだけど、峻のおかげでこちらの制限がとても少なくなっているよね。
松井:もうね、どんどん曲が難しくなってきてます(笑)。
▲戸田達也(B.)
──鍵盤も更に目立っているように思います。
松井:どんどん敷居が高くなって、レコーディングのジャッジも厳しくなってきていますよ。
中村:特別、鍵盤を出した意識はないんだけど、あまりギターをメインに張らない曲が増えてるのかもしれない。どちらかと言うと、リフがガツガツなのは3曲くらいしかないし、特に決めていないけれどね。ミックスのバランスもあるかな?今回は鍵盤とギターのオーバーダビングを極力少なくしたので、2パートが同時に鳴ると言う事がほとんどないですね。だから5人でライブを演っている状態に凄く近いです。インストなんて4人一本ずつだもんね。
戸田:ほんとにライブだよね。レコーディングではドラムの次にベースを録音するんですけど、まずドラムが何演ってるかわからないので(笑)、先に聴かせてって言ったくらい。最初聴かずに始めたら、「おお、こう来る?こうなる?」ってなっちゃって、やっぱり一回まずドラム聴こうかって(笑)。
松井:自分もそうでした(笑)。
中村:毎回「ちょっとそれは…」くらいは言うんだけど、今回峻にはダメ出ししていないもんね。本人がよく考えてくれているから、いっぱい色々な事をやってくれているのが全部曲の為になってるんだよね。ただ自分がやりたいだけなら却下してます。
Ray:それに今作は次にどんな曲が来るのか予想出来ない、バリエーションに富んだ内容なので飽きずに一気に聴けますよね。ハードロックには違いないけど、これはBLINDMANというジャンルかなと。
──もともとはミニアルバムで、との事でしたが、無理くりに曲を増やした感じは全くないですね。
中村:無理くりに増やしたんですけどね(笑)。そこは僕の手腕です(笑)。逆に最初からフルアルバムを作ろうと思っていたらこうなっていなかったかもしれない。元々は、『ちょっと違った曲を集めたミニアルバム』というコンセプトから始まって、結果的に良かったね。最初からフルアルバムだったら出なかった曲はあったかもしれない。ちょっと違ったタイプが5曲くらいあったので、あとは自分なりに素直に良い曲を書けばいいのかなと。
──それにコロナ禍での制作でしたから、普段とはまた違う想いが詰まっていますか?
中村:そうだね、みんな不安だったと思うし、この先もわからない。でも曲作りはコロナが始まった頃から追加曲を書き始めて、在宅の時間も増えたのでチャンスかなと。世の中にとっては大変な事だし、あまりポジティブに捉えるのもどうかと思うけれど、僕にとってはたくさんギターを弾いて曲を書いて、作品に向けてこの曲をどう仕上げるかのイメージを作る時間が取れたので有意義な数ヶ月でしたよ。9月前半にマスタリングまで終わったんだけど、それまでの数ヶ月間は実に濃かったし、その後はもう廃人ですよ(笑)。
松井:もう曲は書けませんとメールが来ましたよ(笑)。
◆インタビュー(2)へ