【インタビュー】リンキン・パーク、20周年記念盤『ハイブリッド・セオリー』を語る「これまでの旅路やサプライズの数々に感謝している」

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■最初は僕達の音楽に怒りがあって
■最終的に共感に置き換えられた

──過去20年を振り返って、どんな感慨を覚えましたか? そしてこの旅路で、あなた方が最も感謝していることがあるとしたら、それは何でしょうか?

ブラッド:俺はこの旅路そのものに感謝してる。ある1曲とか、あるコンサートとか、レコード契約を獲得した時とか、さまざまの特別な瞬間だけでなくね。このメンバーと一緒に歩んできた旅路、全ての山と谷と曲がり道とサプライズの数々に感謝してる。振り返って、このアルバムは特別な遺産であり、楽に感謝できるよ。もちろん当時は、本当に厳しい時もあった。『ハイブリッド・セオリー』のツアーは2年半ずっと続いたんだ。少しだけ家に帰る時間があったけど、家にいて友達や家族と過ごす生活から、気持ち的には2年半ずっとツアーに出て人前で生活するようになるというのは、本当に大変で孤独だったし、辛かったし、嬉しかったし、最高でもあった。誰もが「経験してる間に楽しみなよ」って言ってたけど、俺にとってはカオスで、地に足をつけているのが精一杯だった。だから、感謝は後から湧いてきたんだ。そして今振り返って、“なんて驚異的なロケットに乗ってたんだ”って思える。それをこのメンバーでやれたことに感謝しているよ。

マット(司会):ボックスセットに収録された初の<プロジェクト・レヴォルーション・ツアー>のライヴ映像のことだけど、あの年、確か君達はデフトーンズの「マイ・オウン・サマー」をカバーしたよね?

ブラッド:俺達にカバーの歴史はあまりなくて、他のバンドが僕達をカバーした時のほうが優れていたと思うよ。俺達がカバーしようとしたのは楽しかったけどね、珍しいから。

フェニックス:僕達がやったカバーは数曲しかなくて、その曲は覚えてる。いつも演奏するのが楽しかった。多分、他にやったカバー曲はナイン・インチ・ネイルズの曲だったんじゃないかな。僕達はそもそも、何をカバーするかで意見が一致することが殆どなかった。そして、稀にやることになった時は、一か八かなんだ。


マット(司会):2001年のフィルモア公演のDVDも入っていて、これが素晴らしい。当時のライヴ映像を見返してどう思った?

マイク:子供の時、タレントショーか何かに出演した時の映像を見ているみたいな気分で。見てて恥ずかしくなったよ。覚えてるのは、凄くプレイを重ねたから、バンドが成長して凄くタイトなサウンドになってたこと。それから、『ハイブリッド・セオリー』は40分以下だったんだけど、フェスティバルでヘッドライナーに近い時間に出るようになって、最後から2番目とかになると、観客は60分のセットリストを見たがるんだよ。

ブラッド:90分ぐらいプレイしてくれって言われたからな。

マイク:ああ、ヘッドライナーになったら、そう言われたね。

ブラッド:それで俺達、「どうしろって言うんだよ?」って。同じ曲を3回やるの?って。

マイク;ははは。それに、当時チェスターと僕はステージ上でのペルソナというか、キャラクターを探ってて。チェスターも僕もMCが普段の話し方とは違ったんだよね。その理由のひとつはステージ上での居心地の悪さを隠すためで、いつもと違うペルソナの裏に隠れていれば、“何千人もの観客に見つめられている”っていう事実を認識せずに済むと思ってたからなんだよ。みんな覚えてる? プレス用の写真を撮る時の一番の問題は、“手はどうしてたらいいのかな”とかで(笑)。僕達は若く、それぐらい経験が浅かったんだ。雑誌の表紙撮影で、「この手はどうすりゃいいんだ、バカっぽくみせたくない」とか「大丈夫だよ、ただポケットに突っ込んどけ」とかヒソヒソ話してた。

ブラッド:思い出したよ。『ローリング・ストーン』の表紙撮影で、俺以外の全員が表紙に出てて、俺は上の帯に隠れてて、手だけ出てたんだよ。帯を開かないと俺の全身が見えないんだ。でも、あれが俺の一番好きな表紙の写真。俺達が漁師みたいな設定だった。

ジョー:あれ、“一番売れなかった『ローリング・ストーン』だ”って最近聞いたよ。

マット(司会):それはないよ(笑)。

ブラッド:俺が表紙に出てないからだ。

マット(司会):今日は時間を作ってくれてありがとう。最後に言いたいことはある?

フェニックス:僕達のファンにありがとうを言いたい。僕達は最初から恵まれていて、大勢の人達が支えてくれて、ファンベースを作ってくれて、僕達がやろうとしてるアートに繋がってくれて、友達とシェアしてくれて、前線に立って僕達が音楽をリリースすることを助けてくれた。今でもそうだよ。20年経過して、大勢の人達が今もそこにいてサポートしてくれている。スペシャルなことだし、ユニークなことでもあるし、ファンだけでなく僕達も一緒に祝うべきことだと思う。それこそ僕達が活動する理由だから。小さな部屋に集まってレコーディングしていた時から僕達が本当にやろうとしてたのは、誰かと繋がって僕達の楽曲を共有して、人々との繋がりをシェアしたいってことだった。これまでの全ての過程で、僕達には本当に特別なファンベースがあった。何よりもそのことに感謝しているよ。

ジョー:これを実現してくれたチームのみんなと、ファンにありがとうを言いたいね。バンドを始めた当時、僕達の音楽には怒りがあって、それが最終的に、共感に置き換えられて、僕達のコミュニティーが築かれた。だからみんなに、そのことを覚えていて欲しいと言いたい。自分たちを大事にして、物事が凄くシリアスになっても深刻に捉えすぎないで、お互いに助け合って欲しい。そうすれば、なんとかなるよ。

マイク:みんなが全部言ってくれたと思う。付け加えることはないよ。このメンバー達に感謝してるし、チームにも、ファンにも感謝しているよ。僕達のこれまでの旅路を振り返れて嬉しかったよ。

文◎鈴木美穂

■『ハイブリッド・セオリー:20周年記念盤』

2020年10月9日(金)リリース
【国内通常盤】WPCR-18363/64 2,980円+税
【スーパーデラックス版】※日本国内ではワーナーミュージックダイレクトで予約販売中
http://store.wmg.jp/shop/linkin_park


▲『ハイブリッド・セオリー:20周年記念盤』通常盤

▼CD1:ハイブリッド・セオリー
01. PAPERCUT / ペイパーカット
02. ONE STEP CLOSER / ワン・ステップ・クローサー
03. WITH YOU / ウィズ・ユー
04. POINTS OF AUTHORITY / ポインツ・オブ・オーソリティ
05. CRAWLING / クローリング
06. RUNAWAY / ラナウェイ
07. BY MYSELF / バイ・マイセルフ
08. IN THE END / イン・ジ・エンド
09. A PLACE FOR MY HEAD / ア・プレイス・フォー・マイ・ヘッド
10. FORGOTTEN / フォガットゥン
11. CURE FOR THE ITCH / キュア・フォー・ザ・イッチ
12. PUSHING ME AWAY / プッシング・ミー・アウェイ
▼CD2:Bサイド・レアリティーズ
01. ONE STEP CLOSER (ROCK MIX) / ワン・ステップ・クローサー (ロック・ミックス)
02. IT’S GOIN’ DOWN (FEAT. MIKE SHINODA AND MR. HAHN) BY THE X-ECUTIONERS / イッツ・ゴーイン・ダウン (feat.マイク・シノダ and ミスター・ハーン) by エクセキューショナーズ
03. PAPERCUT (LIVE FROM THE BBC) / ペイパーカット (ライブ・フロム・ザ・BBC)
04. IN THE END (LIVE BBC RADIO ONE) / イン・ジ・エンド (ライブ・BBC・ラジオ・ワン)
05. POINTS OF AUTHORITY (LIVE BBC RADIO ONE) / ポインツ・オブ・オーソリティ (ライブ・BBC・ラジオ・ワン)
06. HIGH VOLTAGE / ハイ・ヴォルテージ
07. STEP UP (1999 DEMO) / ステップ・アップ (1999デモ)
08. MY DECEMBER / マイ・ディッセンバー
09. A PLACE FOR MY HEAD (LIVE AT DOCKLANDS ARENA, LONDON) / ア・プレイス・フォー・マイ・ヘッド (ライブ・アット・ドックランズ・アリーナ、ロンドン)
10. POINTS OF AUTHORITY (LIVE AT DOCKLANDS ARENA, LONDON) / ポインツ・オブ・オーソリティ (ライブ・アット・ドックランズ・アリーナ、ロンドン)
11. PAPERCUT (LIVE AT DOCKLANDS ARENA, LONDON) / ペイパーカット (ライブ・アット・ドックランズ・アリーナ、ロンドン)
12. BUY MYSELF (MARILYN MANSON REMIX) / バイ・マイセルフ (マリリン・マンソン・リミックス)


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