【コラム】SuperM、初のフルアルバム『Super One』は現代に贈る“7人のヒーローからのギフト”

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アメリカのCapitol Music Groupと韓国の最大手事務所・SM ENTERTAINMENTが総力を挙げて全世界へ送り出す7人組グループ“SuperM”が9月25日、初のフルアルバム『Super One』をリリースした。SuperMといえば8月にテレビ朝日系音楽番組『ミュージックステーション 2時間SP』に新曲「100」を携えて登場し、日本のテレビ番組初出演にして、同新曲初パフォーマンスで話題をさらったばかり。そんな彼らが満を持してリリースした最新作『Super One』に、今、日本のリスナーが大きな関心を寄せている。

◆SuperM 画像 / 動画

先日の『ミュージックステーション 2時間SP』から簡単に振り返っておくと、当日は韓国からの中継。日本の錚々たるアーティストやアイドルが次々に登場する中、SuperMは番組の大トリで登場した。最初のトークパートからその高すぎる顔面偏差値に衝撃を受ける視聴者が続出し、期待高まる中で始まったパフォーマンスは、巨大LEDスクリーンに流れる鮮やかな映像を背負ってスタート。ひとりずつバトンを繋ぐように世界基準のパワフルな歌とダンスを披露し、全員でシャウトする破壊力を持ったサビでは盛り上がりが最高潮に。1秒1秒が躍動する圧巻の約3分半は、日本のお茶の間層に“今まで見たことのない鮮烈なステージ”を印象付けた。番組終了後はSNSも大いに盛り上がり、“SuperM”関連のワードが30位以内に9個もトレンド入りする事態に。メンバーも「みんなで思いっきり力を出したパフォーマンスができた」(テミン)、「パフォーマンスもだけどトークが一番緊張しました」(テヨン)とコメントを公開し、まさにSuperM一色の夜となった。


さて、そんな勢いに乗る中で世界同時リリースされた『Super One』。全15曲さまざまなカラーの楽曲が収録されているが、まずは1枚を通して伝えられている大きな1つのメッセージを私たちは受け取る必要がある。アルバムのプロジェクトが始動した際、メンバーから発信された以下の言葉を見てほしい。

「僕たちはみんな特別(Super)な存在としてそれぞれ(One)のパワーを持っており、僕たちが直面している大変さをひとつ(One)のパワーで一緒に克服していこう」

9月25日に行なわれたSuperM初のオンライン・グローバル公開インタビュー会では、これについてカイが言及。「今、私たちは大変な時期ですよね。ですが、みんなで一緒に、ひとつになって乗り越えていこうというメッセージと希望を(アルバムに)込めました。たくさん聴いて希望と多くの関心を持っていただけたけたら嬉しいですが、リラックスした気持ちで聴いて、小さな幸せを感じていただけたら」──そう、『Super One』は今この時代に贈る、7人の“ヒーロー”からの“ギフト”なのだ。そう思って再生ボタンを押してみるのもいいかもしれない。


▲オンライン・グローバル公開インタビュー会

アルバムの幕を開けるM1のタイトル曲「One(Monster&Infinity)」は、本作に収録されている異なる2曲をひとつにして誕生したハイブリッド・リミックス曲だ。“怪物”を連想させるような強烈なエネルギーを放つM3「Monster」と、アグレッシヴなボーカルで“無限に突き進む”という意思を伝えるM2「Infinity」が見事に融合されている。苦難を恐れず、むしろ乗り越えてより高いところへと進もうという決意を示した歌詞は自信に満ち溢れ、1ミリのブレもない。SuperMが得意とする強烈かつ壮大なビートをベースに、途中にはエモーショナルな展開も効果的に挟まれ、その強弱に揺さぶられる約4分間はあっという間だ。それぞれ単体の曲(「Monster」「Infinity」)と比較して聴いてみても楽しいかもしれない。

ちなみに「One(Monster & Infinity)」のMVは、2つの楽曲が合わさって生まれた音楽的背景とヒーロー映画のような世界観をベースに“衝突と合体”のイメージを表現。CGや特殊効果をミックスし、ワイヤーを利用した撮影や雨のごとく降りかかる火花など、その瞬間瞬間を強調するダイナミックなビジュアルがインパクト絶大。繊細な表現力も求められる振り付けはとにかく激しく、撮影中はメンバー数名のズボンが何度も破けて着替えに時間がかかった、というエピソードも。どの衣装かは特定することが難しいが、MVに登場するカラーの異なる数種類の衣装はどれも洗練されていてスタイリッシュ。細かな装飾まで注目してほしい。


1曲でも確かな存在感を放つ「Monster」と「Infinity」についても解説していこう。テミンが「『「Monster』と『Infinity』はどちらもリード曲にしてもいいくらいの曲」と言うくらい、両方ともかなりハイレベルな仕上がり。「Monster」はどこかダークでミステリアスな空気の中、ディストーションされたベースリフが印象的に響く。自分を“怪物”にたとえて、SuperMだけの方法で苦難と逆境を乗り越えていく……という歌詞を、メンバーが時に熱く、時にしなやかな歌声で紡いでいる。「Infinity」は壮大な金管楽器のオーケストレーションで始まる荘厳な導入がシビれるほどカッコよく、マークとテヨンのスピーディーなラップも含めて冒頭から耳を持っていかれること必至。中毒性の高いトラップと、今イギリスの音楽シーンを席巻中しているUKドリルのジャンルをSuperMなりの解釈で表現している。

もちろんゴリゴリに攻めたてるナンバーばかりではなく、レゲエのゆったりしたリズムが心地よいダブサウンドの「Wish You Were Here」、軽快なトロピカルハウス「Big Chance」、懐かしいカントリー調のピアノ&温かいゴスペルが映えるビッグバラード「Better Days」など、ほかにもバラエティ豊かなナンバーが今作には収録。異性関係の高まる緊張感を挑発的なボーカルで歌うヒップホップ「Drip」、一人の魅力的な女性に虜になった男の心境を描いた「Dangerous Woman」、相手のために悪役を買って出る男性の本音が綴られたスロージャム「So Long」といった恋愛モチーフの作品は、彼らのセクシーでスリリングな歌声に胸を掴まれる。


そして、本稿前半で述べた“今この時代に贈る1枚”という部分だが、そこをダイレクトに意識して作られた楽曲も存在する。ファンキーなベースラインのR&Bディスコナンバー「Together At Home」は、非対面でのコミュニケーションが主となった現代で、これまでになかったオンラインの新方式で再び一緒に集まって素晴らしい時間を作っていこうというメッセージを投げかけている。先行公開されている「100」や「Tiger Inside」の、ポジティヴで思わず体が疼き出すようなエネルギーも、今だからこそ多くのリスナーに響くものがあるだろう。世界中に影響力を持つ彼らがこういった作品をリリースすることは、人々の励みになり、希望へと変わるに違いない。

SuperMは、10月2日に放送される『ミュージックステーション3時間SP』に出演することが決定している。日本で初披露となるリード曲「One(Monster & Infinity)」を引っ提げて『ミュージックステーション』に二度目の登場を果たす彼らの規格外のパフォーマンスに、再び日本中の熱視線が注がれることだろう。

文◎川倉由起子









■1st Full Album『Super One』

2020年9月25日(金)リリース
https://lnk.to/SMSO
▼トラックリスト
01. One (Monster & Infinity)
02. Infinity
03. Monster
04. Wish You Were Here
05. Big Chance
06. 100
07. Tiger Inside
08. Better Days
09. Together At Home
10. Drip
11. Line ‘Em Up
12. Dangerous Woman
13. Step Up
14. So Long
15. With You

■シングル「Tiger Inside」

2020年9月1日(火)13:00リリース
https://umj.lnk.to/SMTI



■シングル「100」

2020年8月14日(金)13:00リリース
https://umj.lnk.to/SM100


■テレビ朝日系『ミュージックステーション』

放送日時:2020年10月2日(金) 19:00~21:48
※3時間スペシャル

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