「Maybe I」で示す、70億の人々とつながるSeven Billion Dotsの旅路

バンド名にある「70億」は世界の人口を意味し、その名のとおり世界中の人々と繋がっていきたいという意志を持つスリーピースバンドSeven Billion Dots。

Masafumi（Vo）、双子であるKen（G）とLyo（Dr）により2018年に結成。半年足らずで、オーディション『出れんの！?サマソニ』や『RO JACK for COUNTDOWN JAPAN18/19』を勝ち抜いて＜SUMMER SONIC 2018＞、＜COUNTDOWN JAPAN18/19＞などの大型フェスへ出演し、その実力をいきなり音楽シーンに示してみせた。翌2019年にEP『Stay With Me』でメジャーデビューを果たすと、同曲のMV再生回数は170万回を突破。さらに、2020年8月からMasafumiはAbema TVの人気恋愛リアリティショー『オオカミくんには騙されない』に出演し、その飾らないキャラクターでも注目を集めている。音楽性の幅を広げながら新たな分野にも挑戦し、多方面で進化真っ最中の彼らが、ファーストシングル「Maybe I」をリリースした。

爽快なギターサウンドで幕を開ける表題曲「Maybe I」は、TVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のEDテーマ曲として放送されていたエモーショナルなミディアムナンバーだ。どこまでも広がっていくような浮遊感のあるサビで「Maybe（多分）」と繰り返したあと、最後に「たった一度だけ叫ぶよ／I CAN」と言い切るところが、バンドとして未来への道を歩き始めた彼らと作品の世界観がリンクしてグッとくる。「見えた光がかすかでも その先へ進み続けたい」とあるように、「その先」という言葉は、Seven Billion Dotsの楽曲に共通する大きなキーワードだ。


一転して、「Play all night long」は疾走感溢れるシンプルなビートながら、シンセのアレンジが華やかなロックナンバー。歌詞には「独り耐え続けた夜の涙／受けきれなかった言葉の刃／見つけたNew Sound／新しい僕の道標／もう惑わされないから」と、自らがロックと出会った衝撃を熱く刻み、絡み合うシンセとギターのテンションに呼応するように「高鳴る鼓動が示す先へ」向かっていく高揚感たっぷりの展開がたまらない。

シングルを締め括るのは、ストリングスの壮大なアレンジとのびやかなメロディがSeven Billion Dotsの真骨頂とも言える「By Your Side」。そして、「長い夜にも夜明けは必ず来るから／昇る陽の光を見に行けるんだ　僕らは」と、やっぱり彼らの目線は常に「その先」を見据えている。華々しいスタートを飾りつつも、同時に不安や迷いを抱えて、でも一歩ずつ進んでいくのだという意志が、曲調の違う3曲すべてから伝わってくる1枚だ。

そんな等身大の想いがまっすぐ届くのは、Masafumiのナチュラルなボーカルスタイルによるところが大きい。ニューヨーク帰りという彼は英語が堪能なだけでなく、バンドアンサンブルと一体になって響いてくるメロディのグルーヴ感も独特。色気のある中音域の声が多彩なサウンドを柔軟に乗りこなし、自然に耳に溶け込んでくるのだ。今作で示したスリーピースという枠に囚われないアレンジと相まって、まだまだ未知数の可能性にわくわくする。

ストリーミングサービスなどで世界中の音楽に触れられる今、洋楽と邦楽の境目はどんどんなくなっているし、Seven Billion Dotsがルーツとして挙げるThe1975がバンドという概念を越えた表現を生み出し続けているように、ロックシーンそのものも進化しようとしている。そんな時代のただ中に立って、彼らが「世界中の人々と繋がる」ための旅路は始まったばかり。Seven Billion Dotsが自分たちのスタイルで描く未来が楽しみでならない。

文◎後藤寛子


◆Seven Billion Dotsオフィシャルサイト