【コラム】SuperM、破格の“K-POP界のアベンジャーズ”が全世界を魅了する理由

“SuperM”というグループをご存じだろうか？　簡単に説明すると、東方神起、少女時代、SUPER JUNIORなどアジアを代表するスーパーグループを次々と生み出してきた韓国最大手事務所・SM ENTERTAINMENTの“本気”を感じずにはいられないアメリカのCapitol Music Groupとタッグを組んだグローバル・プロジェクト。SHINee、EXO、NCT 127、WayVという人気グループから豪華すぎるメンバーが集結したドリームチームなのだ。

◆SuperM 画像 (全34点)

メンバーは、SHINeeのテミン、EXOのベクヒョン＆カイ、NCT 127のテヨン＆マーク、WayVのルーカス＆テンの7人。すでにデビューして人気を博しているグループのエース級による連合チームで、確かなパフォーマンススキルはもちろん、ビジュアルも最高峰レベル。全世界的に“K-POP界のアベンジャーズ”と例えられるほどだ。グループ名の由来は、“音楽のマトリックス＆マスター (MATRIX＆MASTERS) である優れたアーティストたちによるSuperな相乗効果”を意味しており、そのネーミングからもグループとしての実力がうかがえる。








そんな彼らが誕生したのは2019年秋。10月2日に韓国でスタート記者会見を行ない、翌3日(現地時間)はロサンゼルスで記者会見とプレミアイベントを開催。アメリカの有名メディアがこぞって現場に駆けつけ、“新人”グループとは思えない注目度の高さを証明してみせた。なぜ彼らが遠いロサンゼルスまで訪れたかというと、SuperMが予定している活動のメイン舞台はアメリカ。契約レーベルもアメリカユニバーサルミュージックの傘下である“Capitol Music Group”で、10月4日に“Capitol Music Group”から1stミニアルバム『SuperM』をリリースし、翌5日(現地時間)にはハリウッドで野外ショーケース＜SuperM : Live From Capitol Records in Hollywood＞を成功させた。

そう、SuperMは単なるグループの垣根を超えた事務所のコラボレーションユニットではない。SMが自信を持って送り出す精鋭チームで、ポップスの本場・アメリカにいざ乗り込もうというわけだ。全てが規格外のSuperMに対し、結成当初からグローバルな活躍に期待する声も多く上がった。



全世界リリースされた前述のデビュー作『SuperM』は、米ビルボードのメインチャートである“Billboard 200”や“Artist 100”など合計8つのチャートで1位を獲得。特に“Billboard 200”のデビュー作1位はアジアアーティスト初の快挙！ 十分すぎるほどの手応えを感じるロケットスタートを切った。

ちなみに全5曲収録の『SuperM』はどれも驚くほどクオリティが高く、K-POPファン以外の耳にも自然と溶け込む1枚だ。ほぼ英語詞のタイトル曲「Jopping」はスタイリッシュなサウンドに7人の多彩なボーカルが絡み合うドラマティックなナンバー。MVの壮大なスケール感と鮮烈なダンスシーンも絶対に見て損はない。力強い太鼓の音とエスニックなフレーバーがクセになる「I Can’t Stand the Rain」、韓国語詞と英語詞が混ざったエモーショナルなミディアム「No Manners」など、1曲1曲の工夫と存在感が際立つ、濃度の濃い作品群となっている。


その後、11月からはアメリカとカナダの主要都市およびメキシコ、フランス、イギリスを回る計13公演のワールドツアー＜SuperM We Are The Future Live＞を開催。その初日となる11月11日(現地時間)、アメリカのテキサス・フォートワースにあるディッキーズアリーナ(Dickies Arena)公演では完成度の高いステージと感覚的な演出が合わさった公演で“スーパーシナジー”を届けた。

『SuperM』のリード曲「Jopping」をはじめ「I Can’t Stand The Rain」「Super Car」「2 Fast」「No Manners」などアルバム収録曲を含む計16曲約2時間。ステージ終盤には「ファンのみなさんと素敵な想い出を作ることができて嬉しい」「ファンのみなさんのおかげで、ビルボード1位になれました。これからも良いアルバムでみなさんに楽しさを感じてもらえるようなアーティストになります」と感想を伝える場面も。さらには新曲「Dangerous Woman」「With You」が初公開されたほか、各メンバーの個性と魅力の際立ったソロステージなど、堂々たるツアー初日を楽しむことができた。



また、マディソン・スクエア・ガーデン公演ではK-POPグループで初となる単独公演を成功させたことも話題に。新型コロナウイルス感染拡大防止のため開催見送りとなってしまったが、今春には東京ドームで一夜限りの日本公演も予定された通り、日本ファンも彼らの姿を生で見るのを心待ちにしていた。

ここ数ヵ月の彼らの近況でいうと、無観客スタイルで行なう新たな形のライブコンサートストリーミングサービス＜Beyond LIVE＞の初回公演に出演 (4月26日)。カメラワークと実際の空間を連動させるAR合成技術 (Live Sync Camera Walking)やリアルタイム3Dグラフィックスなどの新技術を活用し、視聴者をクギヅケにするダイナミックなパフォーマンスを披露した。初公開の新曲「Tiger Inside」ではARで表現された虎が登場し、ラスト曲「Jopping」は巨大なコロシアムとペンライトの波が出現。さまざまな工夫を凝らしたステージはNAVER「V LIVE」を通じて全世界109か国に配信され、同時観覧者数は7万5千人を記録した。世界の視聴者の中から抽選で選ばれたファンとビデオトークでコミュニケーションを取る場面もあり、“お茶の間最前列”の時間をたっぷりと楽しんだ人も多かったことだろう。



さらに先日飛び込んできたのは初のフルアルバムプロジェクト『Super One』始動のニュース。その最初のシングルとして、8月14日13時にシングル「100」がリリースされた。クリエイターとしての才能も持つNCT 127のマークが作詞作曲に参加した「100」は、ダブステップの要素を取り入れたビートが心地よい1曲。同曲に続き、9月1日には「Tiger Inside」、25日にはアルバム『Super One』がリリースされていく予定だ。これら楽曲について、SuperMはこんなメッセージを寄せている。

「僕たちはみんな特別(Super)な存在としてそれぞれ(One)のパワーを持っており、僕たちが直面している大変さをひとつ(One)のパワーで一緒に克服していこう」

ポジティブなメッセージが込められたSuperMのエネルギッシュな音楽とパフォーマンスを感じられる作品が届けられそうだ。オフィシャルSNSでは現在、新プロジェクトのニュービジュアルやメンバー別のティザーフォトが公開中。洗練された彼らのクールな姿をチェックしつつ、続報を楽しみに待ちたい。

日本での活動は、8月21日(金) 20:00〜21:54放送のテレビ朝日系『ミュージックステーション 2時間SP』に新曲を携えて初登場。日本のテレビ番組初出演＆初パフォーマンス披露ということもあり、インパクト抜群のビジュアルとパフォーマンスで、もともとのファンはもちろん、一般視聴者の間でも大きな話題になることは間違いない。そして初のオンライン開催が先日決定した＜a-nation online 2020＞にも出演が決定。グローバルグループの階段を着実に上がっている彼らが、日本の夏も熱くしてくれそうだ。

取材・文◎川倉由起子