【配信レポート】 ビッケブランカとナオト・インティライミが届けた希望の歌

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ビッケブランカとナオト・インティライミが、8月6日21時より生放送されたFM802のスペシャルプログラム『802 LIVE GARDEN』にて共演した。

◆番組画像

この放送はFM802初の試みとして公式YouTubeチャンネルで同時生配信も行われ、4,000を超える視聴者が集まった。時刻になり進行役のFM802 DJ大抜卓人が登場。「奇跡の夜、幕開けです」と告げて主役を紹介すると、白いTシャツに頭にはキャップ、足元はサンダル姿のビッケブランカ、爽やかなブルーのシャツに紺色のハットを被ったナオト・インティライミ、夏らしい装いの二人が姿を現した。

親交はあるものの実は共演は初めてという二人は、初のコラボレーション、またライブの機会が減少している中でのこのライブを楽しみにしてきたと話す。早速生演奏の準備にとりかかるビッケブランカにナオトが「行ってブランカ」と声をかけ、ビッケブランカが「待てよインティライミ」と返すなどの軽妙なやりとりもあり、ライブ前から2人の息はぴったり。仲の良さを伺わせ、賑やかなスタートとなった。


スタジオライブは、ビッケブランカのメジャーデビュー曲「Slave of Love」で幕を開けた。ピアノのゴージャスでキラキラとしたイントロが響く。YouTubeの配信では、電子ピアノを弾く彼の手元までしっかりと映し出された。軽快にそれでいて力強く鍵盤を叩くと、魔法のようにたちまちカラフルな世界が広がっていく。ビッケブランカの最大の持ち味でもある透明感のあるファルセットボイスがひときわ美しく響いた。

変わっては、エキゾチックで情熱的なギターの響き。ナオト・インティライミによる「あの素晴らしい愛をもう一度」だ。エネルギッシュにアコースティックギターをかき鳴らし、ボイスパーカッションや高速のスキャットを放り込んだりと、自由自在に全身で歌う。カメラへ目線を合わせるファンサービスも忘れない。

曲の終盤にはアドリブでビッケブランカと大抜の二人をコーラスに誘い、ナオトワールドへ引き込んでいった。突然のセッションに、番組序盤にしてライブのクライマックスのような盛り上がり。海外で演奏してもウケがいいというこの曲で、世界各地で奏でてきたナオトだからこそのバイブスを本領発揮した。

ここでトークは二人の出会いの話へ。出会いは去年の夏、FM802が主催する夏のオムニバスイベント<FM802 MEET THE WORLD BEAT>でのこと。リスナー14,000名が無料招待されるこのイベントで、初対面ながら「ビッケ〜」と明るく気さくに声をかけてきたナオトに「太陽が歩いてきた」と思ったと話すビッケブランカ。

オープンマインドな姿勢と、お互いの音楽への関心とリスペクトもあり、一気に打ち解けたという。その後ビッケブランカがナオトのライブを観るため広島まで足を運んだりと、親交を深めてきたそうだ。

アーティストとしての魅力について尋ねられると、ビッケブランカはナオトのサウンドを「常にシャッフルリズムで跳ねている。ただ明るいだけでなく心の底を熱くする曲づくり」と解説した。

そして演奏は、ナオト・インティライミ。10月7日にリリースとなる新曲「オモワクドオリ」を披露。「恋人同士の喧嘩の3分間を歌います」と添えて、複雑な男心を表現した歌詞を感情豊かに歌う。リバーブまで忘れずに演出。芸が細かい。ビッケブランカが直前に描写した通りの跳ねたリズムで、中毒性のあるサウンドを聴かせた。

続いて「夢に向かって一歩ずつ着実に歩いているというテーマの曲」と紹介し、ビッケブランカが「WALK」を演奏。久しぶりの演奏だというこの曲の音色を噛みしめるように、時に目を閉じて“歩こう”と優しく歌い上げた。スタジオの照明も落とされ、しっとりとした空気に包まれた。

ビッケブランカの演奏を終え、今度はナオトが彼の魅力について尋ねられると「メロディがクセになる」「強いファルセットが武器」「言葉遊び、言葉のはめ方が天才的」と分析。インディーズ時代のアルバムの曲などを例に挙げながら熱弁した。

「共通点も感じているし、違う部分へのリスペクトも感じている」と語った。ナオトがいかにビッケブランカを評価しているかに加えて、他のアーティストの音楽をいかに真摯に見つめているかが垣間見えた瞬間でもあった。

さて、そんな波長が合う様子の二人。交わることによるケミストリーへの期待は徐々に高まる。そこで、お待ちかねのスペシャルセッションへと流れた。なんと今回ビッケブランカが演奏するのは、ピアノではなくアコースティックギター。これまでエレキギターを触ったことはあっても、アコースティックギターを公に演奏するのは全く初めてのことだという。


サンダルを脱いでラフに床に座り込み、アコギを抱える姿は新鮮そのものだった。「せっかくこの二人が集まったのだから、何か作ってみよう」と、FM802のジングルを即興で作ることに。ビッケブランカが思いつきでギターを鳴らし歌を乗せる。

それを受けてナオトがレゲエ調にアレンジしてみせる。自然発生的にハモる二人。完全なるフリーセッションだ。コード進行を確認しあいながら、みるみるうちにジングルが完成。二人で音で遊ぶようにして、軽やかに作り上げてしまった。まだまだアイデアが湧いてきそうな様子の二人だった。

そしてもう一つのスペシャルセッションが控えていた。ビッケブランカが、自身が現在FM802でDJを担当する番組『MUSIC FREAKS』内でも何度と紹介しオンエアするなど、ナオトの曲での中で「一番好きな曲」という「LIFE」をリクエスト。

イントロから異なる二つのギターの音が重なる様には痺れた。交互にボーカルをとりハーモニーを作り出す。間奏ではビッケブランカが印象的なフレーズをエモーショナルに弾いて魅せた。後からナオトが「ギタリストのギターではない。シンガーソングライターのギター」と評したように、歌うようなギターソロだった。

そんな様子に目線を送りながら笑顔を向けるナオト。ラストのフレーズ“たった一度きりのLIFE“を熱く伸びやかに歌い上げ、情熱的なセッションが完結。二人のパッションが融合して新しい “人生賛歌”が誕生した。

そしてライブも終盤へ。ラストはそれぞれの曲を演奏した。この貴重な機会を楽しんで一生懸命演奏したいと宣言し、ビッケブランカは冬のナンバー「まっしろ」をチョイス。スタジオには涼しげなブルーのライトが照らされ、ひんやりと冷たい空気に包まれていく。あっという間に暑い夏の夜が雪の舞う冬の空へと色を変えた。柔らかいボーカルには温もりが宿る。改めてこの曲のメロディの美しさに酔いしれる。ただ足元は裸足、表情にも力がこもり、宣言通り全身全霊で歌い上げていた。この歌は未来を見つめる希望の歌だ。


最後のバトンがナオトへ渡る。ビッケブランカが作り上げた神聖な空気を壊すまいと、「まっしろ」のサビのフレーズをなぞる形でギターを爪弾きながら、静かに話し始めた。コロナ禍での大変な状況の中、やりきれない思いを抱える人々をいたわるメッセージを届け「必ず輝かしい未来はやってきます」「逆境の中戦っているあなたの明日の一歩が少しでも軽くなりますように」と伝え、歌い始めたのは「未来へ」だった。

“あたりまえだと思ってた日常が、あっという間に姿を変えて”という歌い出しが、現状に重なる。“負けるもんか”と力の限りに声を振り絞り、うなずきながら、時折未来を探し出すかのように一点を見つめながら、一心に歌う姿が印象的だった。優しいメロディにナオトのボーカルが力強く寄り添い、私達は“光り輝く未来へ“進む勇気を分けてもらった。

時にハイテンション、時に叙情的に、非常に緩急のある1時間だったが、最後には今届けるべき歌として、希望の歌を届けてくれた二人。二人の思いが多くの方の心を癒したはずだ。二組のマエストロが共鳴してハーモニーを奏でた奇跡の夜は、こうして幕を下ろした。またすぐにでもこの二人の生み出すケミストリーとハーモニーに出会いたい。

本番組の模様は、無料アプリ「radiko」のタイムフリー機能を使って一週間楽しむことができる。

文◎深町絵里

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