【インタビュー】DURANが語る、新曲に込めたアイデンティティ「プレイヤーではなくアーティスト」
■全部それなりにいけるってより
■なにかひとつ飛び抜けてればいい
──同じ会話で盛り上がる同世代ミュージシャンっていますか?
DURAN:あまりいないっすね、そう思うと。
──ほら。どうしてそんな感性が育ったかな(笑)。
DURAN:父親がミュージシャンなんで、小っちゃい頃から観てたからかな。ビデオや今はなきレーザーディスクで1960〜1970年代のロックを観てたし、プリンスやマイケル・ジャクソン、ブラックミュージック系も僕はたくさん聴かされてたから。それかなぁ?
──あのロックシーンの佇まいが、深層心理に刻まれているんですね。
DURAN:ステージ上の舞台袖とかにも、わけのわからない人にいてほしいっすもんね。<ウッドストック>とか昔の映像を観ると、“誰だこれ!? ”みたいな人がステージ脇とかに映ってるでしょ? “誰? なんで?”みたいな人たち。あれ、すごい憧れでした。
──スタッフなのかミュージシャンなのかわかんない人がPAの横にいますよね。
DURAN:そうそう、酒飲んでワーみたいな、ああいうバカな感じがいい。近年、ライブってきちんとしてるというか、やっちゃいけないことが多いじゃないですか。ステージが自由じゃなくて、オーディエンスがどう自由になれるんだろなぁとも思うし、オーディエンスをどう楽しませようってのが先行になってるけど、ステージ上の僕らがまず一番に楽しんでないとね。あとは勝手に付いてきてっていうか。もちろんみんなではないですが、そこを忘れてる気がする。もっと自由がいいなぁ。
DURAN:楽器が巧くなりたいっていうか、それがやりたかったから。高校は海外のインターナショナルスクールに留学したんだけど、いじめられてたこともあって。それを救ってくれたのが音楽だった。学校でライブする機会があって、その日から僕を見る目が変わったのをはっきり覚えてる。楽器は、ピアノを3歳からやりつつも当時は無理矢理で。“ピアノとかダサい”と思ってたし、スポーツをやりたかったので、ピアノレッスンから逃げたりしてた。14歳のときにバンドでドラムを演ったんだけど、ドラムって学校にもどこにも持って行けないでしょ。でもギターはどこにでも持って行けて、カッコつけられるなと思ったっていう。
──ギターの上達にピアノの経験は役に立ちましたか?
DURAN:はい。音感がついたから、耳コピがすんなりできたのもピアノのおかげだなと思う。とにかく音楽がやりたくてしょうがなくてってところは、今となにも変わってないかもしれない。仕事にしたいともあんまり思ってなくて、好きだからやりたいとしか考えてなかった。
──健全なミュージシャンシップですね。
DURAN:だからね、逆に断わることもできる。お金をめちゃくちゃ貰えたとしても、やりたくなかったらやらない。なんか偉そうなスタンスになっちゃうんですけど、そこも含めて自分のギタリスト像/アーティスト像なので、それが壊れることは絶対に嫌だなって。例えばプリンスやジミ・ヘンドリックスが、“え!? ”みたいなところでギターを弾いてたり、“そんなことやっちゃうんだ…”みたいな姿って見たくないじゃないですか? そんな感じ。
DURAN:アイデンティティは大事。例えばの話、誰かの横で弾くときも「この曲はレスポールで弾いてくれ」とか「この曲はリッケンバッカーでお願いします」とか言われても「僕はストラトしか弾かないんで。ごめんなさい」って感じです。
──ギタリストの個性や特性よりも、楽曲の再現性が求められる現場ね。
DURAN:20代前半の頃は、誰かのサポートでも「他のギターありますか?」とか「ハムバッカーありますか?」とか訊かれたこともありました。なので、もう最初っから「ストラトしか使いません」って自分から言うようになって、それから来なくなった話もあるし(笑)。今はもうそんなこと言われませんね。逆もあって「この音楽に僕のギター使う意味ってある?」みたいなものも。
──音源通りにやって欲しいというお願いならば、「じゃあ俺に頼むなよ」って気がする。
DURAN:もちろん音源通りを求めるのも、注文された通りの音を出すのも、なにも悪くない。むしろそれはそれで凄いなって。だけど僕の場合は違う。
──ミュージシャンの個性がぶつかるから楽しいんであって、設計図通りのサポート/セッションなんてつまんないよね。
DURAN:そう。僕の場合はそういう場所だとハマると思ってます。なんでも全部それなりにいけるってより、なにかひとつ飛び抜けてればいい。
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