【インタビュー】10-FEET、TAKUMAが語る「限りのある時間の中で生きているっていうこと」
■常に増幅させなくちゃいけない向上心を
■差し伸べてくれる手や思いが大きくしてくれた
──『IV』を発表した2008年に、実質的初回となる<京都大作戦>を開催しました。ドキュメントで感じた人間味と、<京都大作戦>への道のりがリンクしていて、ものすごくドラマを感じたんですよ。
TAKUMA:<京都大作戦>というのは、10-FEETというバンドマンやロックンローラーに憧れている自分らが、バンドの先輩、Hi-STANDARDがやっていたフェス<AIR JAM>に憧れて、バンド結成10周年のときに1回だけやってみたいと企画したもので。僕たちがあんな大きい規模のものを運営していけるわけがないので、1回だけ、いろんな人やお客さんに頭を下げて、「やってみたい」って声掛けして実現したわけなんです。でも1年目の2007年が台風で中止になって、2008年から開催できるようになって。初年度に出演してくれる予定やったアーティストみんなが、僕らみたいなバンドのために、1年先のスケジュールを空けてくれていた、仲間やからって。しかも1DAYだった予定が2DAYSになって、お客さんも“待ってました!”ってあんなにたくさん来てくれて。初めて開催するフェスやのにソールドアウトにしていただいて。2008年の<京都大作戦>が終わったら、10周年企画だけじゃなくて“来年もやれ、毎年やってほしい”と言っていただいて。
──行った誰もがそう思いましたから。
TAKUMA:みんながいてくれて、みんなが予定を空けてくれるおかげで続けられるようになったんです。お客さんが来てくれて、すごい仲間が出演してくれるからこそ、成立するフェスで。開催されたときにはお客さんが盛り上がってくれたり、出演アーティストが素晴らしいライブをしてくれたり、会場でケガ人が出えへんようにみんなで助け合ったり、ときにはゴミも拾ってくれたり。そういうのもあって<京都大作戦>というものが、さらに評判いいものになったり、お客さんが自発的に自分たち自身でもより楽しめるようにお互いに協力し合ってくれるようになったり。
──来た人がみんなで作り上げている感じも、素晴らしいんですよね。
TAKUMA:そうなんです。そういうのを見ていて、「<京都大作戦>はすごいですね」と言ってもらうのは、僕らの身に余るんです。だから身に余らんように走り回って、努力して、頑張らないといけない。そうしなければ僕らはまたゴミになるって精神が、<京都大作戦>でまた出てきたんですね。一生懸命にやっていないと、こんなたくさんの人たちにライブを観に来てもらえないし、こんな多くの出演者やスタッフが協力して盛り上げてくれないんだぞって。みんなが力を貸してくれているという思いを、常に目の前で感じさせてもらえているんで、僕らはサボることなく、慢心することなく、一生懸命にできるんじゃないかなって。自分の中で常に増幅させていかなくちゃいけない向上心というものを、みんなが差し伸べてくれる手や思いが、大きくしてくれたんだと思います。時期的にも、バンド結成10年でしたからね。曲を作ってライブをしてきたそれまでの10年間があって、そこからまた初心に戻るにはとてもいい時期やったと、今思えばそう感じますね。
──今年の<京都大作戦>はコロナ禍によって中止になってしまいました。ただそこで披露する予定だった10-FEETのセットリストを、オフィシャルLINEアカウントや<京都大作戦>特番で公開してましたね? そこに“新曲”って書いてあったんですが。
TAKUMA:はい。
──どういうことですか?と。
TAKUMA:はい(笑)。新曲は、機会があれば<京都大作戦>でちょくちょく披露してきたので。今回もできたら披露したいなとは思っていました。
▲<京都大作戦2019 -倍返しです!喰らいな祭->@京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ |
TAKUMA:まあ、ネタとしてはある程度生まれていると思います。その中からライブでできそうな楽曲をチョイスしてメンバーに送ってるっていう感じですかね。
──メンバー2人にも聞いたんですけど、どんな感じの曲ですか?
TAKUMA:なんて言ってました?
──「やってそうでやっていなかったような曲調」だと。
TAKUMA:う〜ん、なるほどね。
──あと、「元気なやつ」。
TAKUMA:うん、はっはっは(笑)。「元気じゃないやつ」とか言われたら困りますけどね(笑)。なるほど。曲作りに集中していたとき、テンションは高かったですよ。すごく斬新な音楽性であったりとか、新しい音楽性をミックスしていたりとか、逆に1980年代や1990年代の往年のロックンロールじゃないかなって楽曲アプローチに対しても、向上心とテンションが上がっているんで、恥ずかし気なく向き合えたというか。つまり今の10-FEETがやっても、新し過ぎるよねとか、10-FEETじゃないよねとか、古臭いよねってことにも、物おじせずに取り組める環境と思いがあったんです。恐れずにチャレンジして作曲する期間が、実は今までそんなになかった。だからそういうふうに取り組めたのは良かったと思いますね。それをバンドに持ち帰って、みんなでああだこうだ言いながらやってみる。そんなアレンジ作業もしていました。
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