【ライブレポート】ONE OK ROCK、ZOZOマリンスタジアムで「ここからまた始まるんだという気持ちを持ってほしい」
ONE OK ROCKが10月11日、自身初となる生配信ライブ<ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE>をZOZOマリンスタジアムで開催した。先ごろ公開したオフィシャル速報に続いて、同公演の詳細レポートをお届けしたい。
◆ONE OK ROCK 画像
<ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE>の開催がアナウンスされたのは、今年8月のこと。コロナ禍はストリーミングライブという手段と方法論を生み、現在も多くのアーティストが試行錯誤を繰り返しながら、新しいライブのあり方のひとつとして配信が定着しつつある。配信スタイルもさまざまだ。ライブの模様をリアルタイムに生々しくストレートに伝えるものや、テクノロジーを駆使した作り込まれたもの、事前収録といった手段を用いて作品性を高めたものなど、その見せ方やこだわりにはアーティストそれぞれのスタンスがうかがい知れて興味深い。ONE OK ROCKはどんなライブを披露するのだろうか。スタジアムで実施される無観客ライブが、果たしてどんなものになるのか。開催発表から当日までの2ヵ月弱、想像は膨らんでいたが、実際のライブは、その予想を遥かに超えるドラマを作り上げた。
ライブは、今年5月にオフィシャルYouTubeチャンネルにアップされた「完全在宅Dreamer」のミュージックビデオからスタート。映像はメンバーそれぞれが自宅で演奏する姿を活かしたものだが、曲の途中でTaka (Vo)が外に飛び出し、ZOZOマリンスタジアムに向かって疾走した。そして、ONE OK ROCKのライブ映像のコラージュと共に、「心の中でムズムズしているものは、やがていろいろなネガティヴな気持ちに変わります。その前にどうか皆さん、自分のやりたいこと、自分のやってみたいことを始めてください」というTakaのMCが流れるという幕開けだ。
シネマライクなオープニングに惹き込まれると画面がZOZOマリンスタジアムのステージに切り替わり、小雨降りしきるステージに4人が現れた。1曲目は、静かな導入から一気に炸裂する「The Beginning」だ。アリーナ中央に設置されたステージに立ち、オープニングから激しいステージングを展開、力強く疾走するサウンドを響かせる4人のメンバー。演奏の合間に浮かぶ笑顔、そしてタイトなアンサンブルから、ONE OK ROCKが最高の状態でライブ当日を迎えたことが伝わってきた。
「The Beginning」で生み出した極上の空気感を保ちつつ、クールなAメロとスケールの大きなサビのコントラストを活かした「Taking Off」、多数のダンサーを交えて華やかに盛り上がる「Change」を聴かせた後、メンバー4人がメインステージへ移動。その後は「未完成交響曲」「キミシダイ列車」「One Way Ticket」「Clock Strikes」といったナンバーが続けて演奏され、スタイリッシュであり、キャッチーであり、そしてエモーショナルでありと、スピーディーに表情を変えていく流れに心地よさが溢れんばかり。メンバーの生き生きとした表情が見て取れるアップと引きの絵をバランスよく配したカメラワーク、さらにはクリアなサウンドも絶妙で、生でライブを観ているような感覚を味わうことができた。爽やかさが香る「Start Again」まで一気に駆け抜けた後、今回のライブに込めた思いを語るメンバーのインタビュー映像へ。
「自分達にとってライブというのは、このバンドを組んだときから唯一、自分達を表現できるものだった。それを取り上げられたときに、自分達はなにも表現できないんだなということを改めて感じて、無観客でライブをやろうという決断をしました。今回のライブは全く革新的ではなくて、挑戦に近い。でも、挑戦するという意味ではいつもどおりですよね。アルバムを作ったり、ツアーをすることと変わりはない。単純に、今回も無観客ライブに挑戦させてもらいますという感覚です」──Taka (Vo)
「僕らにとってライブというのは本当に特別な場所で、ずっとライブを中心としてやってきた。ライブをすることでバンドとしても、個人としてもどんどん成長することができた部分がいっぱいあるんですよ。無観客ライブがどんなふうに成長させてくれるのかはわからないけど、できることを精いっぱいやって、それが画面越しにはなりますけど、全部伝わったらいいなと思っています」──Tomoya (Dr)
「お客さんはいないけど、自分が楽しんでやっていれば、たぶんそれが伝わるかなと思う。なので、しっかりと気持ちを込めて弾きます」──Ryota (B)
「僕らには音楽しかないと思っているし、ずっと続けてきたバンドだからこそ、今できることをやりたいという気持ちがある。ずっと世界をまわってきたことが経験としてある中で、自分達ももう一回気持ちを取り戻して、画面越しではあるけど、自分達にしか表現できないものを今回のライブで発信できたらいいなと思います」──Toru (G)
「みんなに前を向いてほしい。生きてほしいですね、みんなにちゃんと。ここからまた始まるんだという気持ちを持ってほしい。画面越しでもしっかり伝わるようなパワーで、そのメッセージをみんなに投げかけたいなと思います」──Taka
このインサート映像によって、メンバーそれぞれの素顔に触れられたことに加え、通常ライブで幕間的に映像を流すようなものとはまったく異なり、メンバーをより身近に、このライブの意図を深く感じられたことはファンにとって嬉しいプレゼントだったに違いない。ストリーミングライブならではの手法を効果的に使用した演出はさすがといえる。
そしてライブは、メンバー4人がスタジアムのスタンド席に腰を下ろし、「欲望に満ちた青年団」のアコースティックバージョンへ。繊細さや人間味に溢れたサウンドと、噛みしめるように歌うボーカルのマッチングは聴き応えたっぷり。アコースティックを単なるライブの場面転換で終わらせることなく、しっかりと聴かせられるのもONE OK ROCKの実力の高さゆえであり、強みだ。さらにはバイオリニストの宮本笑里をゲストに迎えた形態でスローチューンの「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」と「Wherever you are」を続けて披露。心に響くTakaの歌声やエモーショナルなToruのギター、RyotaとTomoyaが紡ぐ柔らか味のあるグルーヴに加え、スタジアム全体を淡く染め上げたライティングなどが折り重なって生まれる抒情的かつ美しい世界観は圧巻の光景となった。
「ONE OK ROCKとか俺だけじゃなくて、“もっといろんな人達に協力してもらって、なにかできないかな”と考えたときに集まってくれるメンバーがいました。同年代で、同じアーティストで、人間に対してとても愛情深い連中。大切な仲間ができました。今日は集まってなにか救えるものを──という気持ちでつくった曲を、みんなで披露したいと思います」──Taka
このTakaの言葉と共に、Takaと清水翔太を中心に発足した[re:] projectの楽曲「もう一度」へ。Gakushiが奏でるウォームなピアノから始まり、アリーナ中央のステージに三浦大知、KENTA (WANIMA)、阿部真央、絢香、Aimer、清水翔太、そしてTakaという豪華なボーカリストの姿が次々に浮かび上がるように登場。今この瞬間、この7人が同じ場所で歌っているという事実はそれだけでも事件だが、それぞれの上質なボーカルや、「もう一度手を取り合って、みんなで未来に向かって歩いていこう」というメッセージ、繊細さと強さを同時に感じさせるサウンドなどが相まって、あまりにも大きな感動に包まれた。メンバー個々の思いがひとつになって極上の希望の歌が生まれたことを実感したと同時に、こんなにも素晴らしい瞬間を味わせてくれたことに対する深い感謝の気持ちが湧き上がってきた。
終盤ではウォームにしてアッパーな「Stand Out Fit In」、壮大なスケール感を放つサウンドとTakaの情熱的なボーカルの融合が見事な「We are」を披露。激しさをアピールしてアゲていく形とは異なり、大きさや煌めきなどでファンの気持ちを引き上げていくセットリストや、楽曲そのものが持つ力は、心地よさに溢れて心に染みる。
「頼むから生きてくれよ! いろんなことを経験して、誰かにちゃんと愛しているって伝えてやってくれよ!」──Taka
というTakaの熱い言葉を挟んで、ラストソングは「Wasted Nights」。ステージに宮本笑里、Gakushi、ダンサーなど、このライブ参加メンバーが顔を揃え、最後の楽曲に華を添えた。同曲エンディングでは何発もの花火が打ち上げられ、夜空を鮮やかに染める花火を見上げて笑顔を浮かべるメンバー。その姿からは、大きなことをやり遂げた達成感に包まれていることが感じられる。感動的な余韻を残して、ONE OK ROCK初のストリーミングライブが幕を下ろした。
挑戦という言葉がふさわしい環境で、こちらの予想を遥かに超える圧巻のライブを披露してみせたONE OK ROCK。様々なアイディアを活かし、紛れもない生ライブの熱量と、良質な映像作品を観ているような感覚を同時に味わせてくれたのは、凄いの一言に尽きる。見事な演出に加えて楽曲、演奏、ステージング、スタジアム全体を使ったライティング、サウンドといったすべての要素がハイクオリティーな一夜だった。
特にライブ中盤の流れは圧倒的。惹き込まれるという次元を超えて、心を突き動かされるような感覚に襲われるなど、魂が浄化されるという言葉が似つかわしいステージが印象的だった。無観客という、ファンとの直接的なコミュニケーションが取りづらい環境で、ここまで大きな感動を与えるONE OK ROCKのポテンシャルの高さは計り知れない。活動の場を世界に広げても、国内ファンからの支持が増え続けていることも当然の内容だった。<ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE>は、ONE OK ROCKが唯一無二の存在であることを改めて実感させるプレミアムなライブとなった。
取材・文◎村上孝之
撮影◎Rui Hashimoto (SOUND SHOOTER)/Kazushi Hamano/cazrowAoki
■<ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE>2020.10.11 (SUN)@ZOZOMARINE STADIUM セットリスト
02. Taking Off
03. Change
04. I was King
05. 未完成交響曲
06. キミシダイ列車
07. One Way Ticket
08. Clock Strikes
09. The Last Time
10. Start Again
11. 欲望に満ちた青年団
12. C.h.a.o.s.m.y.t.h.
13. Wherever you are
14. もう一度
15. Wonder
16. Stand Out Fit In
17. We are
18. Wasted Nights
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【DVD】AZBS-1059 ¥6,050(tax in)
【Blu-ray】AZXS-1033 ¥7,150(tax in)
01. Eye of the Storm
02. Take me to the top
03. We are
04. Taking Off
05. Re:make
06. Can't Wait
07. Clock Strikes
08. Head High
09. Grow Old Die Young
10. Change
11. Worst in Me
12. Be the light
13. In the Stars
14. Instrumental
15. Push Back
16. キミシダイ列車
17. じぶんROCK
18. Giants
19. The Beginning
20. Mighty Long Fall
21. Wasted Nights
22. Stand Out Fit In
23. 完全感覚Dreamer
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