ボブ・ディラン、『ラフ&ロウディ・ウェイズ』収録「偽預言者」のリリックビデオを公開
ボブ・ディランの最新作『ラフ&ロウディ・ウェイズ』の輸入盤CD並びに配信が6月19日に先行発売となり、世界各国から五つ星の高評価を得ている。その『ラフ&ロウディ・ウェイズ』の収録曲「偽預言者」のリリックビデオが公開となった(https://youtu.be/aIF0gkqvaQ0)。
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』日本盤には、菅野ヘッケル、萩原健太による解説、中川五郎の歌詞・対訳をまとめた52ページのブックレットが付属。さらに購入者の中から抽選で「ボブ・ディラン直筆サイン」が入ったロビーカードが1名に当たる。またLP盤(輸入のみ)の発売は7月17日の予定で、イエロー、オリーブ、ブラックの3色のヴァイナル盤が用意されている。
■萩原健太による解説(日本盤に収録)から
「偽預言者」
黒人R&B/ロックンロール・シンガー、ビリー“ザ・キッド”エマーソンが1954年、メンフィスのサン・レコードに残した「イフ・ラヴィン・イズ・ビリーヴィング」という強烈なブルース・チューンを原型とするディラン作品だ。これもアルバムに先駆け5月8日に先行公開された。ディランはC→FとF→B♭を繰り返す「イフ・ラヴィン・イズ・ビリーヴィング」の基本的なコード展開と、アイク・ターナーによる元祖ヘヴィ・メタルとでも言うべきギター・リフとをほぼそのまま流用している。が、一般的な12小節のブルース様式に則ったビリー“ザ・キッド”エマーソンのヴァージョンに対して、ディランのほうは4拍子×7+2拍子×1+4拍子×2の10小節形式。ちょっと変則的な構成でありがちなブルース様式に新鮮な感触を呼び込んでいる。
と、そんなふうに「イフ・ラヴィン・イズ・ビリーヴィング」に強く影響された楽曲ではあるが、そこはディラン、歌詞の内容はまるで違う。エマーソンのほうは愛を歌っているのだけれど、ディランは強烈。“俺は裏切りの敵。争いの敵。罪滅ぼしのための無意味な人生の敵…”と、シニカルに達観を綴ったかと思えば、“誰にも負けない、俺は最上の人間の最後のひとりだ。他のやつらは埋めてしまえ”と、とんでもないことを自慢げに吼えてみたり。その不敵さときたら。たまらない。「ハロー・メリー・ルー」(リッキー・ネルソン)、「オンリー・ザ・ロンリー」(ロイ・オービソン)、「ハロー・ストレンジャー」(バーバラ・ルイス)といったポップ・ヒットのタイトルが歌詞に見え隠れしているところも、また気になるポイントだ。
そして、何よりも。バンドのタフなグルーヴに耳がそばだつ。すごいバンドに成長したものだ。
リリース情報
Bob Dylan ? Rough And Rowdy Ways
2020年7月8日発売
●E式W紙ジャケット
●解説・歌詞・対訳付
●SICP6341-2(CD2枚組)
●定価:¥3,000+税
<収録曲>
DISC ONE
1.アイ・コンテイン・マルチチュード
2.偽預言者
3.マイ・オウン・ヴァージョン・オブ・ユー
4.あなたに我が身を
5.ブラック・ライダー
6.グッバイ・ジミー・リード
7.マザー・オブ・ミューズ
8.クロッシング・ザ・ルビコン
9.キーウェスト(フィロソファー・パイレート)
DISC TWO
1.最も卑劣な殺人
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