【メールインタビュー】小柳ゆき、13年ぶりオリジナルAL完成「とても感慨深いです」

■みなさんにお会いできるのを楽しみにしています！

──では、その他の楽曲についても聞かせてください。今作はまず、とても妖艶な「IT’S SHOW TIME」で幕を開けますね。

小柳：アルバムとライブでのオープニングの曲として、Lantanさんに制作をお願いしました。何度も何度も話し合い、生バンドを入れ、Mixが終わって形になった時の喜びは相当なものでした。オーロラの向こう側は宇宙空間で、そのカーテンの先は未知だけど夢があって。美しいオーロラ、美しい地球、美しい日本の四季。そんな彩る生命と賑やかに幕を開けられたらという曲です。

──「クオンタムメカニクス」は、前出の矢野まきさんが作曲されています。

小柳：矢野まきさんが作る曲はとにかくスカッと気持ち良く、松岡さんのアレンジと演奏も相まって勢いがあり最高です。「絶対」って宇宙の外れの地球人が考えたものさしで作ったものだとしたら、いまの不可能は可能になるかもなぁと思って書きました。

──切なくもロマンチックなランデヴーをイメージさせる「Pluto」についてはいかがですか？

小柳：「Pluto」つまり冥王星って、名前もダークなものをつけられ、終いには太陽系惑星から外されてしまって。それでも変わらず遠いところから静かに見守るように廻り続けているという、なんだかとてもいじらしいなと思って書きました。ドラム、ベース、ピアノ、チェロという、シンプルな編成でとても心地よい曲です。

──「サイドウェイ-並行世界-」は、まるで組曲のような展開。すごく存在感のある曲ですね。

小柳：これは姉のHIROMIに制作を依頼して、3年前から温めていた曲なんです。日本の童謡とチンドン屋の音というキーワードから広げてもらいました。並行世界が存在していたら、選ばなかった未来はどんな世界だろうという想像から生まれた曲。藤原道山さんの尺八の音色が素晴らしく、過去を背負って歩いていく辛さと決意を感じさせてくれます。3年経ってようやく形になり、とても感慨深いです。

──「ハジロホシ」は、小柳さんご自身の作詞・作曲です。

小柳：実は元々作っていたものは全然違う曲で、コンセプトの意味合いも違いました。ですが、アコギ1本で歌いたいと思い途中で方向転換。曲も書き直したので、仕上がるのがレコーディングギリギリになってしまったんです（笑）。テーマは、亡くなった祖父への感謝の想いを歌いました。

──ボーナストラックである「あなたのキスを数えましょう〜You were mine〜2020ver.」。たくさんの方が今なお愛している小柳さんの代表曲のひとつだと思いますが、今回のアレンジ、ご自身のボーカルなど、どのような手応えを感じていらっしゃいますか？

小柳：20年という年月を、この曲と共に歩んできました。その「今」の息遣いのようなものを今回のセルフカバーに収めたくて。金子隆博さんにアレンジをお願いして、生のバンドと生のストリングスで美しく情熱的な作品にして頂きました。歌RECではじっくりとこの曲と向き合い、客観的に見る事ができ、発見が沢山ありました。そして改めて「いい曲だな〜」とヒシヒシと実感しました（笑）。



──では、初回限定盤のDVD『20th Anniversary Live “DON $ YOKU”』の見どころをお願いします。

小柳：ゲストが凄すぎるんです！野沢雅子さん、デーモン閣下、Bro.KORNさん、NOKKOさん、大黒摩季さん、姉のHIROMI。ゲストの皆さんがそれぞれステージに立つだけで、会場中をオリジナルの世界に変えてしまうパワー。そんな圧巻なステージ上で、私もコラボさせて頂いたりコーラスしたり。夢のような一夜でした。ゲスト全員が歌う「Johnny B.Goode」も最高！とにかく、ワクワクニヤつきながら観て頂きたいです。

──「ベスト付き盤」のCD『20th Anniversary Selection』についてはいかがでしょうか。小柳さんご自身のヒット曲からカバーまで、全12曲が収録されています。

小柳：「小柳ゆき」の歌を知って頂くきっかけになった、大切な曲達です。そして有難いことに、年月を重ねて大人になるにつれ、私の捉えかたとして深みを増していくなと感じる楽曲ばかりです。ライブでもよくカバーをさせてもらいますが、お客さんの反応を見ていると、名曲のパワーって本当にすごいなと思います。カバー曲を歌う時はどこか語り部のような感じでもあるのですが、私自身とても楽しんで歌わせてもらっていて、思わずよだれが出そうになることもあるくらいです（笑）。

──それでは最後に、アルバム『SPHERE〜球宇宙〜』を携えて行われる全国ツアーへの意気込みをお願いします。

小柳：アルバムを携えてというのも久々なので、『SPHERE〜球宇宙〜』を中心に、みなさんに知って頂いている曲達も勿論演奏したいと思っています。なにはともあれ16、7年ツアーでは行けていないところにも行けるという事で、本当にみなさんにお会いできるのを楽しみにしています！

──外出自粛期間中も小柳さんの歌声に励まされ、アルバムやツアーを心待ちにしながら過ごされた方がたくさんいらっしゃると思います。徐々にエンターテインメントの世界も動き出した今、未来に向けて小柳さんはどんな思いでいらっしゃるのか。また、ファンのみなさんに向けてどのようなメッセージを届けたいか、お聞かせいただければと思います。

小柳：自粛期間で、より人との繋がりや想いを共有する大切さを実感しました。YouTubeに「be alive」をツアーバンドメンバーとリモートRECしたものをアップしたのですが、そのコメントを読ませてもらい励まされました。早くなんの気兼ねもなく、みなさんと音楽の楽しさを共有できる事を切に願います。

文◎山田邦子



なお小柳ゆきは、ニューアルバム『SPHERE〜球宇宙〜』の発売を記念して8月17日に初の無観客生配信ライブを開催する。アルバム収録曲の初披露に加え、「あなたのキスを数えましょう」「愛情」といった代表曲、初めて披露するカバー曲も用意されるという。詳細は追ってオフィシャルサイトにて発表。