【ライブレポート】超特急「生配信ライブだったからこそ、より強く絆を感じられた」
5人組ダンス&ボーカルグループの超特急が、最新シングル「Stand up」をリリースした6月10日に、無観客のスタジオから生配信ライブを開催。6月10日はCDデビュー8周年の記念日でもあるということで、<8th Anniversary Special Studio Live「超特急とStand up!!!!!!!!」>と題し、ファンクラブ会員限定で公開した。
◆超特急 画像
ライブを生配信するのはグループ史上初の試みだが、新曲披露に配信ならではの演出やレアな企画も盛り込んで、8号車と呼ばれるファンとの距離をギュッと縮めることに成功。さらに、8年の歴史でターニングポイントとなった楽曲を織り込んだセットリストで、最新形の超特急をフルコースで届けてくれた。
本来であれば、東西アリーナツアーの東京公演2日目が行われるはずだったこの日。想定をはるかに超えるアクセスが殺到したため、配信が遅れるアクシデントもあったが、急遽ラジオ形式の音声トークを始めて、ピンチを乗り切ってみせた。8年の活動を振り返り、初期のリリースイベントでタカシが前説を務めたなど、レアな思い出話も飛び出して、結果ツイッタートレンドで1位を獲得するのだから、ハプニングを味方に変える機転と柔軟性はさすがである。
準備が整うと発車ベルが鳴り響き、スリリングなオーバーチュアから「a kind of love」を歌うタカシの爽やかな声が流れたとたん、画面には「メンバーがいない! 探しに行かなきゃ!」と薔薇を片手に部屋を飛び出すユーキの姿が。そこにダンベルを振り回すタクヤ、警棒を手にしたカイ、マントを身に着けたリョウガが手を除菌しながら合流し、歌声を頼りにタカシが待つスタジオへと辿り着くまでを、ワンカメラで臨場感たっぷりに実況する。遂に集まった5人は、超特急のロゴマークとライブ名が描かれた巨大バックドロップを背に画面の向こうにアイコンタクトを送って、すぐさま溌剌としたパフォーマンスを全力で展開。超特急が新しい一歩を踏み出した意義深いナンバーを、広々としたスタジオ空間を奥行きいっぱいに使って躍動する姿からは、4ヶ月ぶりにライブができることへのピュアな喜びがあふれていた。
続いて「始まりました「超特急とStand up!!!!!!!!」、観てる皆さんも一緒に踊ってください」とタクヤが誘った「My Buddy」は、3年前にドラマ主題歌にも起用され、先日キッズたちとのダンスコラボ映像も公開された人気ナンバー。“超特急! Stand up!”と、この日ならではのコールを交えつつ、キュートな振り付けと満面の笑顔で、生配信ライブという初の試みを届けてゆく。その一方、自由に人と触れ合うことのできない今、メンバー同士手を取り合って飛び跳ねるおなじみのダンスに、自然と胸が熱くなってしまった8号車は少なくないだろう。
「男! 女! キッズ!」という呼びかけにメンバーの口上と、普段と変わらぬ流れで始まったMCタイムでは、8号車の代わりにメンバーが全力で合いの手を入れたり、視聴中の8号車によるツイートをリアルタイムで読み上げたりと、普段のライブではあり得ないお楽しみも。“5人そろってるだけで泣きそう”というコメントには、メンバーも「なかなか会えなかったからね」と喜びをあらわにする。さらに「みんな喋ってる僕らを見たいんじゃないかなって」と、ここからはユーキの持ち込み企画によるメンバー対抗の三番勝負へ。3曲同時再生やインスト状態で流れる超特急楽曲を当てるクイズでは、難易度の高さに苦しむダンサーを後目に、ボーカルのタカシがさすがの強さを発揮して、見事“超特急の楽曲マニア”の座を勝ち取ってみせる。また、メンバーが歌う曲を読唇術だけで当てる2種目目では、カイが全問正解し、どんどん膨らむバルーンをパスしながらお題を順に答えていくゲームでは、風船の割れる音が何より苦手なタカシが逃亡する一幕も。8年で発表されてきた超特急楽曲の豊かなバラエティを改めて実感しつつ、喜怒哀楽の感情を爆発させるメンバーの姿から、いつもと違う状況だからこそ、いつもと違う形で8号車との距離を縮めたいという5人の願いが伝わってくる。ちなみに、各メンバーの順位と罰ゲームの内容は、後日ファンクラブサイトで発表されるとのことなので、楽しみにしていてほしい。
歌とダンス以外で超特急を見せたレアなブロックの後は、「Booster」で後半戦を幕開け。ダンサー陣が初めてラップに挑戦したエポックメイキング的ナンバーで、野性味あふれるムードを醸しながら、キレ味鋭いダンスと眼光で観る者を魅了してゆく。エモーショナルな空気感は続く「Kiss Me Baby」でも引き継がれ、熱を帯びたタカシのボーカルは急上昇するテンションのまま“フゥーッ!”とワイルドな雄叫びに昇華。さらに5人の背後までぐるり一周するダイナミックなカメラワークに、メンバーの投げキスはもちろん、ユーキの見事なアクロバットまで画面いっぱいに収める絶好のカメラアングルが、スタジオからの距離を超えて8号車の胸を高揚させる。
ここで「本日6月10日、超特急CDデビュー8周年を無事迎えることができました!」とリーダーのリョウガが感謝を述べ、「これからも夢は変わらず東京ドームに向け、全速前進走っていきたいので、これからも8号車として、同じ仲間として、さまざまな景色を見ていけたらいいなと思っております」と、全国の8号車に約束。そして「画面越しの皆さん、声を出して一緒に盛り上がっていきましょう!」と、メンバーが順にコール&レスポンスで場を温めてから、新曲「Stand up」を初披露してみせた。歌詞には歴代シングル曲のタイトルやキーワード、振り付けまで盛り込まれている爽快なヒップホップチューンは、まさしく8年の集大成であり、その間の何が欠けても成立し得なかったナンバー。一方、サビ以外は「Booster」以来となるダンサー陣のラップによって構成されており、懐かしさと新鮮さ、歴史と進化を同時に味わわせてくれる。
終盤には電車ごっこの隊列になったりと、肩の力の抜けたラフなムードで笑顔を振りまきながら、大きなクラップと共に繰り出される“君と僕なら間違いない”というメッセージは実にポジティブで力強く、こんな時だからこそ顔を上げて前に突き進んでいきたいという彼らの願いを裏付けるもの。また、発売に先立ってはSNSを通じて8号車と共に曲のコールを制作する企画も実施されており、画面の向こうでは大勢の8号車が声をあげていたに違いない。
そして「最後の曲になりました! みなさんもう一暴れいきましょう!」とユーキが放ち、贈られたのは「Drawイッパツ!」。観客の声が聞こえない配信ライブにもかかわらず、前回のアリーナツアーで凄まじい一体感を作り出したコール曲を締めくくりに持ってきたのは、離れていても懸命にペンライトを振り、コールを叫んでいるであろう8号車に対する絶対的な信頼の表れ。一方、コールのないぶんクリアに飛び込んできた“限界なんて 超えるためのハードル”というタカシの歌声には、世界を取り巻く現在の状況と相まって、強く心を揺さぶられた。
◆ ◆ ◆
「超特急のデビュー日に、こうして画面を通して8号車の皆さまと繋がることができて幸せな時間でした。次に会えるときのために力を溜めて、思いっきり爆発させましょう」(カイ)
「会えない日々が続いてますけど、今にしかできない素敵なライブができたんじゃないかと思います。9年目になりましたが、これからも超特急をよろしくお願いします」(タクヤ)
「こうやってみんなの前でパフォーマンスするという、当たり前のようにできていたことの大切さを本当に実感できました。この先10周年を迎えるために、まだまだ突っ走っていきたいと思います」(ユーキ)
「初めて生配信ライブに挑戦してみて、ここでしか味わえない空気感、みなさんが贈ってくれた言葉を、本当に感じられるライブになりました。まだまだ超特急は未完成なところもあるグループですけど、もっと皆さんに笑顔を届けていけるように頑張っていきます」(タカシ)
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それぞれに想いを語り、最後に「もう88周年まで目指してやっていきたい」とリョウガが宣言してカメラの前から5人は消えるが、“超特急!”コールと同じリズムで点滅するステージライトに、タカシが「ちょっと待って! アンコールが聴こえる」と号令して、「Burn!」を披露。「画面の向こうでも届くように、腹から声出して!」とカイが煽ると、メンバーは画面越しのコールを受け取ろうと耳を澄まし、輪になって猛烈な勢いでバッテンダンスを繰り出してゆく。また、タカシは朗々たるフェイクでクライマックスを駆け上がり、遂には「ここにも聞こえるくらい大声で歌、聞かせてくれよ!」と8号車と心を一つにして、強くなる覚悟を謳った大サビを全員で大合唱。曲が終わり、リョウガが「生配信ライブだったからこそ、より強く絆を感じられた。8号車と僕たちなら間違いないと、間違いなく思うことができました」と漏らしたのも納得の不思議な一体感を、画面越しでも確かに感じ取ることができた。
「こういう時期だからこそ、顔をあげて、今できることをして。これからも夢のレールを走っていきたいと思っております」とリョウガが決意表明し、今度こそ終演すると、8月8日にWOWOWにて8時間の超特大特番が放送されることが発表。『超特急8号車の日SPECIAL WOWOW限定! 超特大8時間特番 BULLET TRAIN 8th Anniversary Special「超フェス2020」』と題して、これまで放送されたライブ映像にメンバーが副音声解説を入れたり、ライブを生中継したりと、超特急を味わい尽くせるメニューが予定されているという。
オープニングでは、ダンサー陣がそれぞれ初めてセンターを務めた楽曲に関連する小道具を持っていたことといい、スタジオまでの廊下を歩く彼らの後ろに歴代のグッズやポスターが飾られていたことといい、とことん8周年を意識した構成したライブで、タイトルの“8th Anniversary Special”を見事に具現化してみせた超特急。どんなときも全速前進で走り続ける彼らにとっては、2020年も熱い夏になりそうだ。
文:清水素子
カメラマン:米山三郎
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<セットリスト>
M1:a kind of Love
M2:My Buddy
M3:Booster
M4:Kiss Me Baby
M5:Stand up
M6:Drawイッパツ!
EN1:Burn!
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