Shuta Sueyoshiの「HACK」がバズった理由
Shuta Sueyoshiの「HACK」が、本日6月5日放送のテレビ朝日系『ミュージックステーション』にて取り上げられる。
◆「HACK」動画
今回の『ミュージックステーション』は“TikTokスペシャル”と題し、番組放送前後にTikTokでも番組の前後に生配信が行われる予定。
番組ではTikTokで人気の「HACK」が取り上げられる。これは、Shuta Sueyoshiが2019年1月にリリースしたアルバム『WONDER HACK』に収録されている楽曲だ。曲調はリズミカルでポップ、まさにTikTok向けの楽曲だ。しかしなぜ1年以上前にリリースされた楽曲が、いまTikTokで話題なのだろうか。
最初に「HACK」がTikTokで使われ始めたのは、4月頃のこと。アニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』の映像を使った動画がアップされ、その後はユーザーが自分の好きなアニメの素材を使ったTikTok動画が増えていった。その中には大人気アニメ『鬼滅の刃』のコスプレをして踊る動画なども。そして徐々に「HACK」の汎用性の高さが受け入れられ、人気TikTokerらも参加。より多くの層に広まっていった。この段階では「HACK」は、“TikTokで使いやすい楽曲”として、人気を獲得していったのだ。
それにShuta Sueyoshi自身がSNSにて言及したことが、火をつけた。自身の楽曲がTikTokでひとり歩きすることを肯定し、むしろそれを喜ぶ投稿をしたことで、Shuta Sueyoshiのファンの間でも改めて話題に。さらに自身もダンス動画をTikTokにアップするなど、より盛り上げる施策が次々に打たれていたのも、大きな効果をもたらした。TikTokユーザーではなく、自身のファン、AAAのファンへ話題を広げたのだ。
TikTokで楽曲が気になったら、当然フルで聴いてみたくなる。そこで間髪入れず用意されていたのが、YouTubeでの楽曲公開、ライブ映像公開だ。再生回数は、公開から1週間でなんと100万再生を記録。コメント欄にはTikTokアカウントも固定表示されていたため、「TikTokで知った人がYouTubeで聴く」導線と「YouTubeで聴いた人がTikTokを見る」導線の2つができていた。これにより、TikTokもさらに盛り上がる。
その結果、「HACK」がSpotify Japan急上昇チャートやApple Musicのトレンド検索ワードに入るなどの現象も。5月20日にはLINE MUSICチャートでが邦楽ロックランキング1位を獲得し、TikTokの国内週間楽曲ランキング“TikTok HOT SONG Weekly Ranking”(集計期間:2020年5月18日~5月24日)では初の首位を獲得。これがさらに、「HACK」の知名度を高めたことは言うまでもない。
このように様々な段階を経て盛り上がっていった「HACK」。ひとつの大きな事象があったから盛りがったというわけではなく、様々な要因が絡み合い、巻き込みあい、注目度が高まったのだ。
昨今、TikTokから楽曲の人気に火がつく例も多々生まれており、TikTokはユーザー主体でのヒット製造機とも言える。しかもヒットするのは最新曲に限らない、ところが面白いところだ。それが顕著にYouTubeやストリーミングでの再生数に影響を及ぼすのだから、アーティストにとっても大事なツールのひとつ。
楽曲を聴くにしてもいまは様々なツールがある。特にコロナ禍の影響が未だ残る現在においては、ライブ以外でも音楽を楽しめるツールを誰もが模索している。これからの時代はどうやって音楽が届けられていくのか、広がっていくのか。注目していきたい。
文◎服部容子(BARKS)
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