【インタビュー】DのASAGIが語る、コロナ禍を超えた先の音楽「誰かのため、なにかのために」
新型コロナウイルスの影響下、そのなかでもこの時代に早々と対応し、音楽シーンに希望を感じさせるプロジェクトを次々と立ち上げ、実践しているバンドがいる。それがDだ。
オーストラリア森林火災に向けたチャリティーソング「ACACIA〜Pray For Australia〜」、「Hard Koala」では、“#あなたの1再生が自然と命を救う”プロジェクトと題して、日本で初めてリスナーがダウンロードしたりサブスクで聴くだけで自動的にWWFジャパンに寄付されるという新しいチャリティーシステムを発案、構築。
この仕組みを活用し、日本ユニセフ協会へ自動寄付できる“#あなたの1再生が子どもたちを守る”プロジェクトと題して、2011年に期間限定発売したシングル「鳥籠御殿〜L’Oiseau bleu〜」をチャリティーソングに。
さらに、同様の仕組みで、現在深刻な状況にあるライヴハウスを守るために全国ライヴハウス応援企画“#LiveHouseNeverDie”も始動した。
D Offical YouTube channelを通して発表した“COVID-19と戦う全世界へ向けエールを送る”新曲「Hang in there」は、#StayHomeが推奨されるなか、WEB会議アプリのZoomを使い、オンライン上でアレンジ、自宅で制作。先日はこれらのCD音源、グッズ購入者限定のWEB版インストアイベント“ウェブストアイベント”も日本で初開催。「音楽で、いまできること」、それを次々と先陣を切って行動にしているDについてリーダーのASAGI(Vo)にZoomでインタビューを行なった。
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■死ぬまで持続できるサポートがなにかできないかなとずっと考えてた
──今回はコロナ禍のなかでDが立ち上げた様々なチャリティー活動についてASAGIさんにお伺いしようと思います。自粛がいつまで続くのか、不安な未来しか見えない状況のなかで、Dはすぐさまチャリティーに向けてのアクションを起こされましたよね。
ASAGI:じつはWWFジャパンと日本ユニセフ協会とのチャリティープロジェクトはコロナ禍になる前から取り組んでいたことなんですよ。
──えーっ! そうだったんですか。
ASAGI:はい。先にオーストラリア森林火災へ向けたチャリティーソング(「ACACIA〜Pray For Australia〜」、「Hard Koala」)を手がけてたんですけど。森が再生するには100年ぐらいかかるといわれているので、いまだけではなく、死ぬまで持続できるサポートがなにかできないかなとずっと考えてたんですね。自分たちの力はまだまだ微力なのでDだけではどうにもならないことは分かった上で、自分たちがアクションを起こすことで「そんなやり方もあるんだ?」とチャリティーの輪が少しづつでも広がってくれたらいいなという思いもあって、このようなプロジェクトを立ち上げたんです。
──音楽配信を使って、ダウンロードしたりサブスクで再生すればするほどたくさんの寄付が自動的にWWFジャパンであったり日本ユニセフ協会に寄付されるというシステムは日本初で、ASAGIさんが発案者なんですよね?
ASAGI:そうです。前例のないイノベーション的な方法だと思います。だから、仕組みを作るのに結構時間がかかって。それが、たまたまいまの時期にまとまったという感じなんですよ。なので、その仕組みを応用し、ライヴハウスに当てはめたプロジェクトを立ち上げるのはすぐでした。サブスクは無料のものもあるので、堅苦しく考えずともリスナーは気軽に参加出来るのかな?って。好きな曲を聴くだけで寄付に繋がるって素敵だなって思ってもらえたら嬉しいですね。
──コロナ禍で深刻な状況に追い込まれている全国のライヴハウスを応援する企画として立ち上げた「#LiveHouseNeverDie」ですね。
ASAGI:ええ。なので、整理して話すと、コロナ禍になって最初に僕らがやったのは、ミュージシャンなので勿論ファンのことを第一に考えて行動したいということだったんですね。少しでもファンのためにいまなにかできないかというので、すぐにマスクを手配しまして。それをファンクラブの会報に同封して、会員全員に1人マスク2枚を送ったのが、コロナ禍になって一番最初に起こしたアクションなんですよ。勿論ライヴ会場の延長なども調整しながら。
──それ、“アベノマスク”よりも先ですよね。
ASAGI:ええ。じつは、マスクが品薄になる前からDの(ファンのためのグッズとして)オリジナルマスクも発注してました(笑)。なので、コロナ禍になって以降、Dがいろいろやってるように見えることは、実際はかなり前から僕らが取り組んでたことだったんですよ。
──そうでしたか。じゃあ、ライヴハウス応援企画が一番最新のアクションということ?
ASAGI:ですね。一番最初にファンのことを考えたっていいましたけど、そのファンとアーティストをつなぐ大事な場所がライヴハウスで。前々から何月何日の何時にここで会いましょうと約束して待ち合わせする場所みたいな存在ですからね。ライヴハウスって。微力だとしてもこの場所をなんとか守らなきゃ、そして少しでもチャリティーの輪が広がるといいな、と思って、これまでDがやらせてもらったライヴハウス全カ所に連絡をしまして。
──そのときの反応はどうだったんですか?
ASAGI:ライヴハウスによって色々ですね。一言にライヴハウスと言っても考え方は様々です。もちろん、すぐに是非!と賛同してくれるところが多かったんですが、そういうところもあれば、ギブアンドテイクで必ずプロモーションで返します!と言っていただけるところもあれば、みんなが大変なときにアーティストに負担はかけられないと、こちらを心配していただいて辞退する方もいらしゃったり、ライヴハウスそれぞれにポリシーや考え方の違いがあるんですね。なので、1軒づつ丁寧に連絡をしました。それで、オーストラリアの森林火災同様、今後のウィズ・ウイルス時代を考えて、持続的に応援できるプロジェクトを立ち上げたんです。
──ああ。だから「#LiveHouseNeverDie」なんですね。このプロジェクトでは各土地のライヴハウスごとにDの楽曲が振り分けられてましたけど。そこにはどんな意図が?
ASAGI:その場所をイメージできるものというところで振り分けていきました。例えば、秋田(Club SWIDLE)だったら、僕は白神山地の近くで育ったのでそこをイメージして書いた「名もなき森の夢物語」と「光の庭」にしたり、静岡(Sunash)は「闇より暗い慟哭のアカペラと薔薇より赤い情熱のアリア」のミュージックビデオを静岡で撮ったからこの曲にしたりして。52カ所に全部ある程度関連性がある曲を振り分けてるんですよ。
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