【体験レポ】スマホやPCを使っておうちでピアノレッスンができる「flowkey」
■無料でアカウント登録してピアノ練習にチャレンジ
さて、ここからは実際にflowkeyを体験したピアノ初心者によるレポートだ。鍵盤楽器演奏の経験は小学校の時に鍵盤ハーモニカで単音のメロディを弾いたことがあるだけというレベルで1曲弾けるようになるのか? 無料で試せる1週間体験でどこまでいけるかをチェックしてみた。使用したのはiOS版アプリと、90年代に発売された音源内蔵のMIDIキーボードだ。
まずはアプリをインストール、最初の起動時にはいくつか質問に答える。「ピアノを習ったことはありますか?」では「いいえ」、次の「お持ちの楽器のタイプを教えて下さい」には「電子ピアノまたはキーボード」を選択。続いて、アカウント作成が促される。これをしないと先に進めないので今回は「メールでサインアップする」。
▲初回起動時の画面。まずはカンタンな説明が表示される。「今すぐ始める」でスタート。
▲続いて質問に答える。楽器なしでも動画解説は見られるので心配せずに先に進もう。
▲アカウント作成または既存のSNSアカウントなどでログイン(左)すると案内画面が(右)。
すると現れるのは「7日間無料トライアル」の紹介画面。「7日間無料でお試し。その後は¥12,800/年」とある。無料で試せるのはいいけど、解約し忘れたらいきなり1万円以上課金?! とびびってしまったので、「無料でお試し&定期購読」ボタンの下にある「全てのプラン」をタップすると、曲選択できるメニュー画面が表示されほっとする。
▲写真左が各コースの案内。ここでまずは「7日間無料お試し」ではなく右上の×マークでこの表示を消す。すると、写真右のメニューが現れる。
▲無料の曲は体験時点で10曲。CDジャケット風の画像をタップして試聴、さらに「曲を習う」ボタンで譜面が表示される。無料の曲以外もタップで試聴は可能だが、続いて現れる「購読する」をタップすると、再び無料お試しを勧められる。
まずは10曲の「無料の曲」をチェック。エド・シーランの「Perfect」やレナード・コーエンの「Hallellujah」などが並ぶが、どの楽譜を見てもまず弾ける気がしない(当たり前)。一見カンタンそうに見えた(単に音符が少ない)「白鳥の湖」をまずは右手だけで弾いてみようとするも、楽譜を見ながら鍵盤を見るのが思いのほか難しく挫折。カンタンそうに見えたのは勘違いだったと知る。
▲「白鳥の湖」はシャープやフラットがなくリズムも複雑ではないように見える。画面上の動画のとおりに指を動かせばいいんでしょ? とも思ったが、鍵盤ビギナーにそれができるはずもなく……。
ここはやはりレッスンコースから始めることにする。レッスンは「ピアノにふれてみよう」という初心者が安心するコースからスタート。順番に進めていくことにする。
▲各コースは複数のステップから成り、最初の「ピアノにふれてみよう」は7つのステップを用意(写真左)。最初のステップでは3項目をクリアする(写真右)。クリアしたステップには緑のチェックマークがつくので、どこまで進んだかが一目瞭然。
最初のステップは解説動画。「椅子の位置と姿勢について」「手の位置」「黒鍵について」「真ん中のド」といったチャプターで、ピアノの基礎の基礎から教えてくれる。続いていよいよ譜面を使ったインタラクティブなステップ。お手本動画に続いて「ドレミファソファミレド」を順に弾いていく。先に紹介した待機モードを使ったステップで、譜面の音符をちゃんと弾けば画面が右へ進む。このあたりはビギナーでも余裕だ。
▲最初は動画で座り方や手の置き方から日本語音声で丁寧に解説してくれる。写真右下のシーンは指の曲げ方の解説。「手の中に小さなボールを持つイメージ」。
▲右手親指をドの位置においてソまで順番に弾く。正しく弾ければ緑のチェックマークが表示され、譜面が進んでいく。動画に続き待機モードでの練習を3回繰り返すが基本の進め方。画面上にある鍵盤の映像、下の楽譜いずれの表示も小さなスマホでも問題なく見られる。
レッスン中は、正しい鍵盤を弾いているはずなのにアプリが反応しないこともあった。これはスマホのマイクがうまく音を拾えていないため。キーボードのスピーカーの音量を上げたり、スマホ自体の位置を調整することで対処する。始めた当初は鍵盤を一瞬だけ叩いていたのだがこれも問題だったようだ。気持ち長めに弾くことでうまく検出できるようになった。また、キーボードのMIDI端子に取り付けるBluetooth MIDIアダプタも試したが、こちらのほうが反応が速くより快適だったことも付け加えておきたい。
▲「第九」でおなじみの「歓喜の歌」を練習。まずは背景が水色になっている範囲=2小節だけを繰り返し練習。ここで頭と体に覚え込ませていくイメージで練習するのがいいと感じた。
続いてはベートーヴェンの「歓喜の歌」を練習。右手だけ、しかもド~ソだけで弾けるメロディを、2小節ずつに分けてじっくり練習。終了すると「素晴らしい!」と褒めてくれる。あくまでも文字だけで、クラッカーが鳴り紙吹雪が散るような演出はないし、採点カラオケ的な点数発表もない。出来は自分で判断する。flowkeyは大人のアプリなのだ、ストイックに練習するには派手な演出は不要、と納得して練習を進める。その結果、課題のパートをスムーズに弾けるようになった(8小節だけではあるが)。
▲ステップ終了時の画面。意外とそっけない。
■7日間無料体験で2ステップ以降を体験
それでは次のステップに進もう、と思ったが、これ以降は「プレミアム会員」にならないと体験できない。アカウント登録だけで試せるのは最初の1ステップ(しかも8コース中4つのみ)だけなのだ。マイクによる検出もMIDI接続も問題ないので、ここでやっと「7日間無料でお試し」をスタートすることにした。ピアノ演奏の楽しさがちょっとわかってきたところ。ここでやめるわけにはいかないのだ。
ちなみにプレミアム会員の解約(キャンセル)は、iOS版の場合アプリ内ではなく、iOSの「設定」の「Apple ID」から行う。契約直後にキャンセルしても無料トライアル期間終了まではサービスが利用できるので、最初にキャンセル手続きをしておくのがいいだろう。
続いてのステップは「右手の練習にぴったりな簡単な曲」。「聖者の行進」や「ジングルベル」といった曲を練習する。知っている曲だし、5本の指の位置を動かさずに弾けることもあって、指示に従って数回繰り返すだけでスムーズに弾けるようになる。これには自分でも驚いた。やはり短い範囲を繰り返して練習するというのが効果的なようだ。
このコースでは譜面の読み方やリズムもしっかり勉強。おおむねわかりやすく理解においてつまづく感じはなかった。基本も押さえたところで、2つめのコース「両手で弾く練習」へ。先に出てきた「歓喜の歌」の両手バージョンも出てくる。このへんからカンタンにはいかなくなる。左手は指一本でルートを弾くだけなのだが、これ左手が思ったように動かない。右手だけの数倍の時間をかけてなんとかマスターした。
▲「歓喜の歌」両手バージョン。単音の左手パートが加わるだけでなぜか覚えたはずの右手パートもうまく弾けなくなるという現象が発生。これがビギナーだ。
さらに難しく感じたのが、「片手で二つの音を同時に弾く」ステップ。左手で小指はドに固定で親指だけソ、ラと移動。指を大きく開くわけではないので最初はカンタンかと思ったら、右手のメロディと合わせようとするとこれが大変。たった12小節だが、弾けるようになるまで2日間を要してしまった。
▲左手で二つの音を弾くステップの練習曲は「夜が明けた」。数小節ずつに分けて、左手と右手を個別に練習。続いて両手で演奏。最後に全体を通して演奏するのだが、さっきまでは弾けていたはずの最初のパートが弾けなくなっていたりする。
■シャープがつくだけでこんなに弾けなくなるなんて
このハードルを超え、「両手で弾く練習」コースの「コードを弾く」をマスター。「歓喜の歌」「聖者の行進」のコードバージョンを弾けるようになったので、次のコース「中級ピアノテクニック」へ。5つ以上の音を片手スムーズに弾くために、位置を移動する「指くぐり」「指かぶせ」は問題なくこなせたのだが、「シャープ記号」に出てくる練習曲「ブーレー」が難しく、2時間ほどやってもマスターへは程遠い。シャープが付いただけでこんなにわからなくなるものかと、楽譜への苦手意識を改めて認識することになってしまった。
▲中級ピアノテクニックの最初のコースに出てくる「指くぐり」の解説動画。
▲左手・右手ともに単音だが、弾こうとするととにかく難しい「ブーレー」。これにつまづいたことで「中級ピアノテクニック」の練習継続はあきらめてしまった。時間には限りがあるのだ。
トライアル期間は7日間しかない。この時点で残りは2日。ここは興味があるコースをやったほうがいいだろうと路線を変更。次の「コードをマスターする」コースへ。ポップソングでよく使われるという4つのメジャーコードを習得。練習曲は「ノー・ウーマン、ノー・クライ」のサビだ。ギター経験があるためか、ここはつまづくことなくクリア。続いて「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」「フォーエバー・ヤング」なども練習。「スタンド・バイ・ミー」を弾けた時にはちょっと感動した(サビだけではあったが)。
▲コードの解説動画。ルート、3度、5度といった構成音の重ね方を鍵盤上で一つずつ説明し、自分でもコード組み立てられるよう教えてくれる。このへんもとても丁寧。
「コードをマスターする」コースの後半には、コードの転回形というのが出てくる。Cメジャーなら「ドミソ」だけでなく「ミソド」「ソドミ」と弾くことで、手の移動を減らせるのだが、ここでまた時間がかかってしまった。頭では理解できているつもりだが、手が動かない。とにかく何度も練習してメジャーコードの転回形をクリア、続いてマイナーコードの転回形の練習曲をやっている最中に無料トライアルのタイムリミットが来てしまった。
▲転回形の練習。単に平行移動するのではなく、指の形が変わるのに思いのほか苦戦。
思えばレッスンコースをクリアするのにせいいっぱいで、1,500曲もある練習曲を1つもプレイしていない。なんとも中途半端なレッスン体験となってしまった。その一方で、1週間のトライアルでピアノ演奏を楽しいと感じられるようになったのも意外だった。練習は1日に1~3時間程度、まったく触れない日も1日あったが、想像以上に多くのレッスンを体験できた。一度はできたと思った練習曲も、翌日再度演奏しようとするとまったくできなかったりすることもあったので、本当に身についたかというと疑問が残るものの、初めてのピアノ体験としては期待以上の結果だったのは間違いない。また、「あのレッスン、やり残したな」「もっとやりたいな」とも思ったので、まずは1ヶ月契約して続きをやろうかと迷っているところだ。これから無料トライアルに挑戦する人は、時間配分を考えながら、チャレンジすることを強くオススメしておきたい。
ピアノ経験者なら、レッスンコース以上に多くの曲を楽譜と動画で練習できる点に価値を見出すだろう。ピアノ経験者の知人(学校教員)にアプリを見せたところ、「楽譜に強弱記号やペダルがないのが気になる」と言っていたが、提供される楽譜が期待に応えるものかどうかも無料トライアルで十分チェックできるはずだ。小さなスマホ1つで膨大な楽譜にアクセスできる、しかも最新の楽譜も定期的に提供されると考えれば、サブスクリプションによるサービスの意義は大きいはず。経験の有無に関わらず、ピアノ演奏に興味のある方はまず一度flowkeyを試してみてほしい。
製品情報
定期購読料金(App Store/Play Store)
・1ヶ月プラン 2,100円
・6ヶ月プラン 9,100円
・1年プラン 12,800円
◆前ページへ戻る