【メールインタビュー】吉俣良(音楽)、水瀬いのり(声優)、安田賢司(監督)の視点から迫る『ソマリと森の神様』
▲『「ソマリと森の神様」オリジナル・サウンドトラック』
テレビアニメ『ソマリと森の神様』の劇中音楽を収録した、『「ソマリと森の神様」オリジナル・サウンドトラック』が6月10日に発売された。2020年1月〜3月にかけて放送された同アニメは暮石ヤコによる同名マンガが原作。人間が迫害され、異類異形の人外たちが支配する世界で出会った、感情の無い森の神様・ゴーレムと人間の少女・ソマリの親子愛を描いた物語だ。
劇中音楽のすべてを書き下ろしたのは、NHK大河ドラマ『篤姫』や映画『冷静と情熱のあいだ』をはじめ、これまでに数々の名作ドラマや映画の音楽を手掛けてきた吉俣良。吉俣のディレクションのもと生演奏で行われたレコーディングには、天皇陛下の即位を祝う<国民祭典>で嵐が歌唱した奉祝曲のコンサートマスターを務めたバイオリニスト・室屋光一郎率いる演奏団が参加した。
オリジナル・サウンドトラックはCD2枚組作品となり、放送時にSNSを中心に話題を呼んだ柴田理恵演じるローザおばさんが歌う挿入歌「わらべ歌〜ことなるかたち〜」を含んだ44曲に加え、森山直太朗によるオープニングテーマ「ありがとうはこっちの言葉(TV version)」、ソマリ役・水瀬いのりが作詞/歌唱したエンディングテーマ 「ココロソマリ(TV version)」もボーナストラックとして収録される。
BARKSでは本作の発売を記念して音楽(劇伴)・吉俣良、声優・水瀬いのり、監督・安田賢司にメールインタビューを実施。それぞれの役割をもって作り上げた『ソマリと森の神様』に込めた想いを聞いた。
◆ ◆ ◆
■音楽(劇伴)・吉俣良
──吉俣さんは実写作品で活躍されている印象が強いのですが、今回、アニメである『ソマリと森の神様』の音楽を……というオファーを受けて、どう思われました?
吉俣:実写の作品が多い中で、これまで何度かアニメには関わらせていただいたのですが、自分が手掛けてきた実写っぽい音楽を求められてきたケースが多かったんですね。そんな中、本格的にアニメ作品をやってみたいと考えていたので、オファーを受けたときは大変嬉しかったです。自分としてもチャレンジですし、期待に添えられたらと思い挑みました。
──感情の無い“森の神様”と“人間の少女”による親子愛の物語という、かつてない壮大なテーマを持った作品だからこそ、実写でドラマティックなサウンドを付けてこられた吉俣さんが合うに違いないという判断があったんでしょうね。昨今のアニメシーンの中では、かなり異色な作品ですし。
吉俣:完全なファンタジー作品でしたので、どこまでファンタジー色を出すべきかと最初は悩みました。ただ、原作を読んだときに世界観だったり曲のイメージだけは自分の中でフッと浮かんできて。森の中、旅をしている二人にかけたい曲──いわゆるメインテーマは書けそうだと思えたんです。
──メインテーマについて安田監督から具体的なオーダーはありましたか?
吉俣:メインテーマの1曲は、壮大な曲というよりは二人の絆が感じられて、例えば会話をしているような音数の少ない印象の曲が欲しいと、オーダーを頂きました。その他の曲に関しても、コンテや設定や映像を見ながら、説明していただきましたね。それぞれのシーンごとの依頼内容が明確で、実写とは全く異なっていたのはとても新鮮でした。
──それって実写ではあり得ないことですよね。
吉俣:はい。「語尾をカットアウトでお願いします」というオーダーが多かったのも、実写とは全く違うところで。どのシーンにどういう形で曲をつけるのかが頭にないと、そういうオーダーってできないものなので、本当に驚きました。選曲の佐藤恭野さん、音楽プロデューサーの山岡晃さんが、監督の目指す雰囲気を細かく探ってくださったりしたのにも大変助けられて、最終的に実写ドラマの倍以上になる44曲を書きました。とにかく曲数が多いのも、アニメの劇伴で驚いたところですね。
──44曲! それだけの曲数を作曲するのには、かなりの時間がかかったんじゃありません?
吉俣:指示が明確だったおかけで1日1曲から2曲は仕上がっていったので、煮詰まることや苦労した曲はなかったです。しかも、ほぼ全てを本編で使っていただけたのは有り難かったですね。長尺で音楽を聴かせるようなセリフのないシーンがあったり、ポイントで音楽が立つような選曲をしてくれていたりと、音楽を大事にした作品作りをしてくださっているのが、全話通して伝わってきて感激しました。
──ええ。ファンタジックで美しい映像と喜怒哀楽豊かな物語に、ストリングスや鍵盤、女性コーラスなど、オーケストレーションを駆使した神秘的で壮大なクラシックサウンドが見事にマッチしていて、観る側からしても気持ちが高まりました。
吉俣:曲数が多かったため、楽器面でもいろいろなバリエーションを取り入れつつ、全曲でストリングスをメインに構成しようということは決めていたんです。いろいろな街や情景が出てくる作品なので、神秘的な雰囲気、賑やかな街、緊迫した情景、壮大なシーンなど派手な曲もありますが、基本二人のシーンは音数を必要以上に増やさないことを心がけていました。
──演奏は天皇陛下御即位をお祝いする<国民祭典>で奉祝曲のコンサートマスターを務めたバイオリニスト・室屋光一郎さん率いる演奏団が手掛けられていますよね。そもそもテレビアニメの劇伴を生演奏でレコーディングすること自体が非常に珍しいことですが、今回、室屋さんにオファーされた理由は?
吉俣:室屋ストリングスは、優しくてドラマティックでエモーショナルなサウンドが持ち味なんです。この作品に絶対合うはずだと感じたので、最初から室屋ストリングスにお願いしようと決めていました。自分で作品を解釈しながらも、ミュージシャンの個性に委ねるタイプで、優しく支えるバンマスなのも彼の魅力ですね。予想通りピッタリはまってくれて、レコーディングのときは手応えを感じました。
──キャラクターそれぞれの感情が、美しい音の粒となってあふれ出すような印象がありました。それだけにサウンドトラックのリリースが決定したのは、視聴者としても嬉しかったですね。
吉俣:最近、サントラ単体でリリースされることも少ない中、しかも、2枚組で全曲収録されるというのは作曲家にとっても喜ばしいことです。通常、1枚にまとめたいので曲数を絞るということも多いですからね。しかも、本編で使われていない1曲も収録してくれているので、自分が魂込めた全曲を皆さんにお届けできることは大変光栄です。
──使われていない1曲が陽の目を見ることができてよかったです! ちなみにサントラの曲順は吉俣さんが?
吉俣:いえ、自分はどの作品でも曲順とタイトルは監督やプロデューサーに決めてほしいとお願いしていますので、今回もそうさせてもらいました。そのほうが曲に愛を感じるというか、監督たちがどういう気持ちで曲を感じてくれていたのか?というのがタイトルで分かったりして、新しい発見もあり嬉しいんです。
──ああ、なるほど。そう言われてタイトルリストを眺めると、確かに非常に象徴的ですね。物語を知った上だと、よりイメージが膨らむ気がします。
吉俣:劇伴音楽というのは、その作品の中で生きるものなので、作品を手掛けたメインスタッフが決めてくれる方が曲たちも本望だと思っているんです。あとは、自分にタイトルのセンスがない、というのも理由の一つです(笑)。
──逆に、吉俣さん版のネーミングも見てみたい気がしますが(笑)。では、全44曲の中で特に思い入れのある曲を教えていただけます?
吉俣:やはりメインテーマの2曲ですね。特に1曲目の「二人の旅(「ソマリと森の神様」メインテーマⅠ)」は思い入れがあって、完成したときは、この作品の匂いを決める二人の旅や絆、世界が見えた気がして「大丈夫だな」と思った記憶があります。あとは、最初から声のイメージが降りてきて、女性の声を入れた曲が何曲かあるのですが、声の雰囲気と曲とをマッチさせることにはこだわりました。
──ローザ役の柴田理恵さんが歌われている「わらべ歌〜ことなるかたち〜」はいかがでしょう? 唯一歌詞のある曲で、オンエア当時はアニメのストーリーとも相まって、かなり話題になっていましたが。
吉俣:子供たちも歌いやすく、楽しくも少し怖いような耳に残るメロディを作ってほしいと、安田監督からはオーダーされた覚えがあります。自分にとっての“わらべ歌”は和風でしたので、そういったメロディを3パターン作り、そこから選んでもらいました。放送を観たとき、和風でも洋風でもない『ソマリ』の世界のわらべ歌として溶け込んでいたのは、不思議な感覚でしたね。
──ヒロインのソマリを演じた水瀬いのりさんも「今回の劇伴は聴いていると一瞬で『ソマリ』の世界に惹き込まれて、“音楽のちから”はすごいなと改めて感じられた」とおっしゃっていました。水瀬さんが歌うエンディング曲「ココロソマリ」も、こちらのサントラにテレビバージョンで収録されていますよね。
吉俣:「ココロソマリ」は覚えやすいメロディで、特にサビの転調が非常に印象的な素敵な曲ですね。また、歌詞の内容も作品の世界観に寄り添いつつ、普遍的な愛がうまく表現されていて素晴らしいと思います。
──主題歌も劇伴も作品にしっかり寄り添っているのは、それだけ物語にパワーがあったからですよね。その点、特にインスパイアを受けたエピソードってありますか?
吉俣:自分の中ではエピソードがどうというよりは、親子の絆がストーリーの根底に流れているので、全話通して主人公二人の行動を追っていくことを楽しみながら曲を作っていけました。もちろん彼らも砂漠や地下の街など旅をして、いろいろな魅力的なキャラクターに出会い成長しますから、そういう意味では全話です!
──おっしゃる通り、本当にさまざまなキャラクターが登場する作品ですが、では、吉俣さんが個人的に好きなキャラクターは? そして1日誰かになれると言われたら、誰を選びます?
吉俣:好きなのは、やはりゴーレムですね。感情が無いと言いつつ、少しずつ感情が見えてくるのが可愛くて、顔の表情は無いですが、声の表情を楽しみに観ていました。監督から聞いたところによると、最初、ゴーレムの声はエフェクトをかけることも検討していたらしいのですが、小野大輔さんの演技を見て、そのままいこうと決めたそうです。大正解だと思いました!
──おお、そんな裏話が!
吉俣:実は、アフレコにもお邪魔させてもらったのですが、本格的なアニメのアフレコは初めてだったので、本当に「声優さんはすごいな」と感動しました。1日誰かになれるとしたら、ヘイゼルですかね。魔法はやっぱりいいですね。アニメ映えしますし。
──まさか魔女姉妹の名が出てくるとは予想外でした(笑)。ちなみにアニメ最終回で「最後までソマリと一緒にいる」と決意したゴーレムですが、あの後の二人はどうなったと予想されます?
吉俣:本当に個人的な願望ですが、ゴーレムが長生きできる方法が見つかり、ソマリが大人になるまで成長をずっと見守っていてほしいです。みんなそう思っているに違いない!
◆声優・水瀬いのり(ソマリ役) メールインタビューへ
テレビアニメ『ソマリと森の神様』の劇中音楽を収録した、『「ソマリと森の神様」オリジナル・サウンドトラック』が6月10日に発売された。2020年1月〜3月にかけて放送された同アニメは暮石ヤコによる同名マンガが原作。人間が迫害され、異類異形の人外たちが支配する世界で出会った、感情の無い森の神様・ゴーレムと人間の少女・ソマリの親子愛を描いた物語だ。
劇中音楽のすべてを書き下ろしたのは、NHK大河ドラマ『篤姫』や映画『冷静と情熱のあいだ』をはじめ、これまでに数々の名作ドラマや映画の音楽を手掛けてきた吉俣良。吉俣のディレクションのもと生演奏で行われたレコーディングには、天皇陛下の即位を祝う<国民祭典>で嵐が歌唱した奉祝曲のコンサートマスターを務めたバイオリニスト・室屋光一郎率いる演奏団が参加した。
オリジナル・サウンドトラックはCD2枚組作品となり、放送時にSNSを中心に話題を呼んだ柴田理恵演じるローザおばさんが歌う挿入歌「わらべ歌〜ことなるかたち〜」を含んだ44曲に加え、森山直太朗によるオープニングテーマ「ありがとうはこっちの言葉(TV version)」、ソマリ役・水瀬いのりが作詞/歌唱したエンディングテーマ 「ココロソマリ(TV version)」もボーナストラックとして収録される。
BARKSでは本作の発売を記念して音楽(劇伴)・吉俣良、声優・水瀬いのり、監督・安田賢司にメールインタビューを実施。それぞれの役割をもって作り上げた『ソマリと森の神様』に込めた想いを聞いた。
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■音楽(劇伴)・吉俣良
──吉俣さんは実写作品で活躍されている印象が強いのですが、今回、アニメである『ソマリと森の神様』の音楽を……というオファーを受けて、どう思われました?
吉俣:実写の作品が多い中で、これまで何度かアニメには関わらせていただいたのですが、自分が手掛けてきた実写っぽい音楽を求められてきたケースが多かったんですね。そんな中、本格的にアニメ作品をやってみたいと考えていたので、オファーを受けたときは大変嬉しかったです。自分としてもチャレンジですし、期待に添えられたらと思い挑みました。
──感情の無い“森の神様”と“人間の少女”による親子愛の物語という、かつてない壮大なテーマを持った作品だからこそ、実写でドラマティックなサウンドを付けてこられた吉俣さんが合うに違いないという判断があったんでしょうね。昨今のアニメシーンの中では、かなり異色な作品ですし。
吉俣:完全なファンタジー作品でしたので、どこまでファンタジー色を出すべきかと最初は悩みました。ただ、原作を読んだときに世界観だったり曲のイメージだけは自分の中でフッと浮かんできて。森の中、旅をしている二人にかけたい曲──いわゆるメインテーマは書けそうだと思えたんです。
──メインテーマについて安田監督から具体的なオーダーはありましたか?
吉俣:メインテーマの1曲は、壮大な曲というよりは二人の絆が感じられて、例えば会話をしているような音数の少ない印象の曲が欲しいと、オーダーを頂きました。その他の曲に関しても、コンテや設定や映像を見ながら、説明していただきましたね。それぞれのシーンごとの依頼内容が明確で、実写とは全く異なっていたのはとても新鮮でした。
──それって実写ではあり得ないことですよね。
吉俣:はい。「語尾をカットアウトでお願いします」というオーダーが多かったのも、実写とは全く違うところで。どのシーンにどういう形で曲をつけるのかが頭にないと、そういうオーダーってできないものなので、本当に驚きました。選曲の佐藤恭野さん、音楽プロデューサーの山岡晃さんが、監督の目指す雰囲気を細かく探ってくださったりしたのにも大変助けられて、最終的に実写ドラマの倍以上になる44曲を書きました。とにかく曲数が多いのも、アニメの劇伴で驚いたところですね。
──44曲! それだけの曲数を作曲するのには、かなりの時間がかかったんじゃありません?
吉俣:指示が明確だったおかけで1日1曲から2曲は仕上がっていったので、煮詰まることや苦労した曲はなかったです。しかも、ほぼ全てを本編で使っていただけたのは有り難かったですね。長尺で音楽を聴かせるようなセリフのないシーンがあったり、ポイントで音楽が立つような選曲をしてくれていたりと、音楽を大事にした作品作りをしてくださっているのが、全話通して伝わってきて感激しました。
──ええ。ファンタジックで美しい映像と喜怒哀楽豊かな物語に、ストリングスや鍵盤、女性コーラスなど、オーケストレーションを駆使した神秘的で壮大なクラシックサウンドが見事にマッチしていて、観る側からしても気持ちが高まりました。
吉俣:曲数が多かったため、楽器面でもいろいろなバリエーションを取り入れつつ、全曲でストリングスをメインに構成しようということは決めていたんです。いろいろな街や情景が出てくる作品なので、神秘的な雰囲気、賑やかな街、緊迫した情景、壮大なシーンなど派手な曲もありますが、基本二人のシーンは音数を必要以上に増やさないことを心がけていました。
──演奏は天皇陛下御即位をお祝いする<国民祭典>で奉祝曲のコンサートマスターを務めたバイオリニスト・室屋光一郎さん率いる演奏団が手掛けられていますよね。そもそもテレビアニメの劇伴を生演奏でレコーディングすること自体が非常に珍しいことですが、今回、室屋さんにオファーされた理由は?
吉俣:室屋ストリングスは、優しくてドラマティックでエモーショナルなサウンドが持ち味なんです。この作品に絶対合うはずだと感じたので、最初から室屋ストリングスにお願いしようと決めていました。自分で作品を解釈しながらも、ミュージシャンの個性に委ねるタイプで、優しく支えるバンマスなのも彼の魅力ですね。予想通りピッタリはまってくれて、レコーディングのときは手応えを感じました。
──キャラクターそれぞれの感情が、美しい音の粒となってあふれ出すような印象がありました。それだけにサウンドトラックのリリースが決定したのは、視聴者としても嬉しかったですね。
吉俣:最近、サントラ単体でリリースされることも少ない中、しかも、2枚組で全曲収録されるというのは作曲家にとっても喜ばしいことです。通常、1枚にまとめたいので曲数を絞るということも多いですからね。しかも、本編で使われていない1曲も収録してくれているので、自分が魂込めた全曲を皆さんにお届けできることは大変光栄です。
──使われていない1曲が陽の目を見ることができてよかったです! ちなみにサントラの曲順は吉俣さんが?
吉俣:いえ、自分はどの作品でも曲順とタイトルは監督やプロデューサーに決めてほしいとお願いしていますので、今回もそうさせてもらいました。そのほうが曲に愛を感じるというか、監督たちがどういう気持ちで曲を感じてくれていたのか?というのがタイトルで分かったりして、新しい発見もあり嬉しいんです。
──ああ、なるほど。そう言われてタイトルリストを眺めると、確かに非常に象徴的ですね。物語を知った上だと、よりイメージが膨らむ気がします。
吉俣:劇伴音楽というのは、その作品の中で生きるものなので、作品を手掛けたメインスタッフが決めてくれる方が曲たちも本望だと思っているんです。あとは、自分にタイトルのセンスがない、というのも理由の一つです(笑)。
──逆に、吉俣さん版のネーミングも見てみたい気がしますが(笑)。では、全44曲の中で特に思い入れのある曲を教えていただけます?
吉俣:やはりメインテーマの2曲ですね。特に1曲目の「二人の旅(「ソマリと森の神様」メインテーマⅠ)」は思い入れがあって、完成したときは、この作品の匂いを決める二人の旅や絆、世界が見えた気がして「大丈夫だな」と思った記憶があります。あとは、最初から声のイメージが降りてきて、女性の声を入れた曲が何曲かあるのですが、声の雰囲気と曲とをマッチさせることにはこだわりました。
──ローザ役の柴田理恵さんが歌われている「わらべ歌〜ことなるかたち〜」はいかがでしょう? 唯一歌詞のある曲で、オンエア当時はアニメのストーリーとも相まって、かなり話題になっていましたが。
吉俣:子供たちも歌いやすく、楽しくも少し怖いような耳に残るメロディを作ってほしいと、安田監督からはオーダーされた覚えがあります。自分にとっての“わらべ歌”は和風でしたので、そういったメロディを3パターン作り、そこから選んでもらいました。放送を観たとき、和風でも洋風でもない『ソマリ』の世界のわらべ歌として溶け込んでいたのは、不思議な感覚でしたね。
──ヒロインのソマリを演じた水瀬いのりさんも「今回の劇伴は聴いていると一瞬で『ソマリ』の世界に惹き込まれて、“音楽のちから”はすごいなと改めて感じられた」とおっしゃっていました。水瀬さんが歌うエンディング曲「ココロソマリ」も、こちらのサントラにテレビバージョンで収録されていますよね。
吉俣:「ココロソマリ」は覚えやすいメロディで、特にサビの転調が非常に印象的な素敵な曲ですね。また、歌詞の内容も作品の世界観に寄り添いつつ、普遍的な愛がうまく表現されていて素晴らしいと思います。
──主題歌も劇伴も作品にしっかり寄り添っているのは、それだけ物語にパワーがあったからですよね。その点、特にインスパイアを受けたエピソードってありますか?
吉俣:自分の中ではエピソードがどうというよりは、親子の絆がストーリーの根底に流れているので、全話通して主人公二人の行動を追っていくことを楽しみながら曲を作っていけました。もちろん彼らも砂漠や地下の街など旅をして、いろいろな魅力的なキャラクターに出会い成長しますから、そういう意味では全話です!
──おっしゃる通り、本当にさまざまなキャラクターが登場する作品ですが、では、吉俣さんが個人的に好きなキャラクターは? そして1日誰かになれると言われたら、誰を選びます?
吉俣:好きなのは、やはりゴーレムですね。感情が無いと言いつつ、少しずつ感情が見えてくるのが可愛くて、顔の表情は無いですが、声の表情を楽しみに観ていました。監督から聞いたところによると、最初、ゴーレムの声はエフェクトをかけることも検討していたらしいのですが、小野大輔さんの演技を見て、そのままいこうと決めたそうです。大正解だと思いました!
──おお、そんな裏話が!
吉俣:実は、アフレコにもお邪魔させてもらったのですが、本格的なアニメのアフレコは初めてだったので、本当に「声優さんはすごいな」と感動しました。1日誰かになれるとしたら、ヘイゼルですかね。魔法はやっぱりいいですね。アニメ映えしますし。
──まさか魔女姉妹の名が出てくるとは予想外でした(笑)。ちなみにアニメ最終回で「最後までソマリと一緒にいる」と決意したゴーレムですが、あの後の二人はどうなったと予想されます?
吉俣:本当に個人的な願望ですが、ゴーレムが長生きできる方法が見つかり、ソマリが大人になるまで成長をずっと見守っていてほしいです。みんなそう思っているに違いない!
◆声優・水瀬いのり(ソマリ役) メールインタビューへ
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