【インタビュー】INABA/SALAS、2ndアルバム誕生「チャレンジしてみることで新しい扉が開ける」
■KOSHIからのプッシュが激しくて(笑)
■「もう少し…ギターを」と──スティーヴィー・サラス
──『Maximum Huavo』では、スティーヴィー・サラスのギターはまるでしゃべってるように聴こえました。
サラス:ああ、若い頃もそうだったよ。
──もちろん知ってますよ。
サラス:今回“まるで語りかけていたかのよう”なのは、KOSHI (稲葉浩志)のおかげなんだよ。これまで自分に焦点を置きたくなかったんだけど、今回は「もうちょっとギターを出して」って言われてね。
稲葉:「もうちょっとギターを入れよう」って話はしていたんです。
サラス:今回のほうが時間があったから、必要と思ったところは、ギターに関しても練り込むことができたかな。
▲スティーヴィー・サラス |
サラス:今回はKOSHIからのプッシュが激しくて(笑)。僕の場合、やってもらいたいときは「おまえ、やれよ」とストレートに言うけど、KOSHIは「もしかしたら、もうちょっとギターを…」「もう少し…ギターを」と、5回くらいソフトに提案してくるんだよ(笑)。“ああ、入れて欲しいんだ”って思って「じゃあちょっと考えよう」ってね。
──想いは届きました?
稲葉:そうですね。いい音だった。
──『Maximum Huavo』のギタープレイをコピーしたいと思っても、まるで喋っているようなニュアンスがコピーの難易度を格段に上げている気がします。どんな機材が必要なのかもわからないし。
サラス:ギター関係だと、ワウペダルとディストーション…あとはオートワウ。「Bloodline」とかで使ったかな。
稲葉:うん、使ってますね。
サラス:バンドとしては、ベースも親指で弾けなきゃいけないし、シンセベースもプログラミングじゃだめ。ちゃんと弾けなきゃいけないし、素晴らしいドラマーも欠かせない。ドラムが最悪だったらうまくいかないからね。そしてもちろん名ボーカリスト。リズムがものすごくタイトなので、ダンスミュージックのボーカルみたいにリズムにちゃんと合わないとグルーヴに合わない。そのうえで高音が出るロックシンガーじゃないとね(笑)。
稲葉:やっぱりリズムは大変ですよね。特にINABA/SALASは、ジャストの時もあればちょっと後ろにいくときもある。だから僕にとっては、チャレンジになるものが多かったですよ。
▲稲葉浩志 |
稲葉:いやぁ、僕は結構突っ込むタイプだっていうのは自分で分かってるんで、だからそれを気をつけるようにはしてるんですけどね。でもスティーヴィーはリズムにめちゃくちゃ厳しいんで(笑)。
──ダメ出しをするんですか?
稲葉:もう、すごく細かいです。
サラス:INABA/SALASに限らないけど、この手の音楽っていうのはとにかくボーカルのリズムが大事で、ドラムと同じくらい重要なんだよ。そこがきちんとタイトに合わないとうまくいかない。それが通常のロックと違うところ。
稲葉:やっては直し…みたいなことは多かったですね。学ぶことも発見もたくさんありますよ。
サラス:KOSHIはね、妥協しないんだよ。本当はそこまでやらなくてもいいだろうに、まるで30年前の自分たちの必死さのような頑張りでやるんだよね。スティーヴン・タイラー (エアロスミス)もそうで、毎日必死になって努力をしていて、常にクールでグレートなものを目指して、今でも周りの人に刺激を与え続けている。KOSHIも全く一緒なんだよね。
稲葉:彼の中に“こうしたい”っていう曲の構想があるんですよね。曲の完成形に対して、ボーカルもひとつのパーツですから、それがレコーディングの途中で変化していったりすることもあるんですけど、それは彼のみぞ知るところでね。自分は自分で、自分のボーカルとしてちゃんとできているかどうかチェックはするんですけど、彼が想う“曲の中でこうあって欲しいボーカルのスタイル”とのせめぎ合いというか、そこの合致したところを目指しているのではないかと。僕のスタイルで完璧にできたなと思っても、彼の理想形と違う場合は、またスタイルやニュアンスを変えなきゃいけないっていうことなんです。
──プロデューサーとしての仕事ですね。
稲葉:やっぱり、いい曲を作る…完成形を目指す以上、そこは一番大事で最優先されますから。
──今回の経験も、これからの活動に活かされることでしょうね。
稲葉:30数年も演ってくると、自分の型というものがある程度決まってきちゃうので、それで満足していちゃいけないなっていうとこですかね。“これでいい”で終わらないように。
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