【インタビュー】RED ORCAの「始まり」

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■輝きというか尊さをこのバンドに感じてる

──皆さんのキャラクターがこのバンドをRED ORCAたらしめているという発言がありましたけど、葛城さんはこの方々をそれぞれどんなふうに見ているんですか? まず、PABLOさんについては?

葛城京太郎:PABLOさんは、常に何か面白いことを企んでますよね。

PABLO:それは京太郎に対してのことだね。お互い関西人なんで、僕がボケたりしてもすぐわかってくれるんですよ、そのボケを。

葛城京太郎:他のみんなは気付いてないボケも。

PABLO:そうそう。それを拾ってくれるんで、僕としては結構、楽なんですよ。

葛城京太郎:PABLOさんはそういう面白さももちろんあるけど、ピリッとした空気になる時はやっぱりPABLOさん発信だったりもするし。背筋を伸ばさせてくれるというか。ふざける時はふざけるけど、ここで締めていこうっていう時に何か言ってくれるのもPABLOさんで。

──来門さんについてはどうですか?

葛城京太郎:来門さんはもう、最高ですよね。サービス精神がもう尋常じゃないというか。

来門:何か飲みものでも持ってこようか?

葛城京太郎:そういうサービスじゃなくて(笑)。なんかこんな年下の僕が言うのは失礼かもしれないですけど、最高の友達ですね。一緒にライヴできて、一緒にいて、とにかく楽しい。絵に描いたようなムードメーカーですから。幸せだし、大好きです。

──草間さんについてはどう感じていますか?

葛城京太郎:草間さんはパパですよね(笑)。やっぱもう草間さんがいるからみんなから「バランスいいよね、全員がいいよね」って言ってもらえてるんだと思う。なんか僕は音楽的な意味でも草間さんとは対極にいるイメージなんですけど、さっき言ってた草間クオリティみたいなものが大事で、バンド内の空気にも草間さんがいてくれるっていう安心感があるし。

草間敬:何か飲む?(笑)

──そして、金子さんとの繋がりがいちばん長いんですよね?

葛城京太郎:そうですね。僕が18歳ぐらいの時からなんで。

──出会った頃から比べると印象は変わってきましたか?

金子ノブアキ:褒めろよ!

──威圧的になってきた、とか(笑)?

葛城京太郎:いや、そんなことは一切ないです。やっぱ、兄貴ですよね。KenKenさんが僕の師匠なんですけど、師匠の兄貴が僕の兄貴にもなってくれたというか。僕は勝手にそう思ってます。なんかこう、見たことないくらい責任感の強い方なんで。だから誘ってもらって、100%以上で応えていきさえすれば、そこでケツ持ってくれるというか。この言葉が合ってるのかどうかわかんないですけど。なんかこう、自由なんだけどちゃんと見てもらえてるというか、すっげえ長めのリードを付けられた犬のような感覚です(笑)。

金子ノブアキ:ボタンを押すとしゃーっと戻ってくる(笑)。

PABLO:行き過ぎると止められるぞ(笑)。

──今後、喩え話にもいっそう磨きをかけてください。いやー、それにしても賑やかな取材になりましたね。

葛城京太郎:いや、今日はだいぶ控え目な感じですよ。

PABLO:この倍くらいの賑やかさではありますね、楽屋は。ホントに声が枯れるぐらいなんで。

金子ノブアキ:そう、ライヴの前に声枯れちゃうんですよ。

来門:大阪で俺、歌えなくなったもんね(笑)。黙れないんですよね、俺。口がカサカサになるまで。

──PABLOさん、最後にボケてください。

PABLO:いやいや、それは(笑)。でもまあ、これは個人的な話になりますけど、音楽というか、この音楽エンターテインメント産業の世界のあり方というのを、見直さなきゃいけない時期に来てるんじゃないかな、と感じていて。それはコロナ騒動とかとは関係なく結構前から思ってることで。活動のあり方、お客さんと演者の関係性とかを一回ちょっと見直したいな、と。日本のライヴシーンみたいなものもある種、成熟してきてて、ライヴもどんどん増えてるし、コヤもどんどん増えてるはずなのに押さえられないっていう現状があって。そこである種、音楽を作る人、演奏する人と、お客さんの関係性というのが、結構どこも似通ってきてるなって気がしてるんです。カテゴリーとかを問わずに。そこで今、もう一度その関係性とかのあり方を見直して、より良いものを提示していかなきゃ駄目だろうな、と思うんですよね。いろんなライヴを観ていてそれを感じるんで。じゃあ僕たちはその先に行くために何ができるだろうか、ということを考えてライヴに取り組めたらな、と思いますね。

金子ノブアキ:そういう時なんだろうな、とは僕も思いますね。

──従来の方法論やシステムのあり方を振り返りながら、これから先のために更新していく。ある意味、RED ORCAがこのアルバムで実践したのもそれと似ていると思うんです。ラウドロックとかミクスチャーと呼ばれてきたものの成熟形というのがどういうものか、というのを示すひとつの答えになっているような気もしますし。

PABLO:ある種、そういう部分もあるかもしれませんね。

──それをルーツに持つ人たちが現在形にアップデートされたものを作るとこうなるんですよ、というものになっている。だから新しいだけではないし、僕は端々に90年代的な匂いを感じたところがあります。

金子ノブアキ:僕らのルーツですよね、それは。90年代のストリートカルチャー、バンドカルチャー。そこにある種、立ち返った部分も無意識のうちにあったかもしれない。それこそ10年周期ぐらいで同じような流れが巡ってくることがあるじゃないですか。ガレージがまた流行ってきたと思ったら、メタルやEDMが来たことでまた往年に近い感じの音が流行ってきたり、さらにビリー・アイリッシュみたいな存在が出てきたり。ただ、僕なんかは90年代を生きてきた人間だけど、そこに京ちゃんみたいな若いやつが合流してくれたのはラッキーだったと思ってる。ここで音楽を共有してくれてることがね。それに、こういう音楽性を新たに目指しましたというよりは、自然に90年代的なカッコ良さが戻ってきてる感じが個人的にはすごくある。ずっと90年代を想ってたわけじゃないし、そこに固執してたわけでもないんだけど、ホントに自然と、みんなの間でそういう音が鳴りだしてるというか。それがクールだと思うし。

──単純に新しいものを発明しようとしたわけでも、同じようなルーツを持つ者同士が自分たちの根源にあったものを再確認しようとしたわけでもない。今やっているからこそ、この顔ぶれだからこそできることが、本当に自然に形になっているんだなと感じさせられます。

金子ノブアキ:やっぱり音楽ってその時代を映し出すものだと思うし、そこも面白いなと思うんです。自分が生きてる間、自分が現場に立ってる間に時代をどれだけ目撃して、体感して、自分なりにそれを音楽のなかでどうアップデートしていけるか。そこが僕にとっては最大の人生の愉しみのひとつですね。それをこういう形で作品に落とし込めてるわけで、なかなかツイてるなあ、と思いますよ。時代的にこういう流れが巡ってきてることも含めてね。それこそ感覚的にはむしろ子供が生まれた時とかに近いかもしれないし、それぐらいの輝きというか尊さをこのバンドに感じてるし。だからこそ誠実にやりたいな、と思うわけです。

取材・文◎増田勇一

◆RED ORCA『WILD TOKYO』 全曲レビューはこちら

1st Album『WILD TOKYO』

2020年3月20日(金)デジタルリリース
品番:ORCA-0320
配信URL:https://linkco.re/x4B7vvBP

[収録曲]
1.ORCA FORCE
2.beast test
3.Night hawk
4.Phantom Skate
5.Octopus
6.LOBO 〜howl in twilight〜
7.ILLUSIONS 〜Jump over dimension〜
8.MANRIKI
9.Saturn
10.Rainbow

<RED ORCA 2020 響-KYO->

2020年
4月16日(木)埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
4月22日(水)大阪・OSAKA MUSE
4月23日(木)愛知・APOLLO BASE
4月30日(木)東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO

前売り¥4,500 ドリンク代別
各プレイガイドにて一般販売中

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