【インタビュー】安田レイ「弱さもさらけ出してもっと素直に音楽と向き合っていきたい」

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■自分の人間臭さを伝えられる楽曲を増やして
■この世に残していきたいなって思っています


――今回のアルバムは、前作『PRISM』から4年ぶりのリリースですよね。ファンの皆さんとの信頼関係をより強いものにしてきた4年だと思いますし、お仕事としての経験も、人間的な変化も、たくさん積み重なった4年だったのではないかなと思います。

安田:確かにそうですね。その中で特に変わったのは、自分で曲を作りたいという気持ちがすごく大きくなったことでした。デビューをした時はあまり自分で曲を作ろうという意識はなく、音楽も歌も大好きだから、ただ歌を歌いたい、表現をしたいという気持ちだったんです。でも歳を重ねて、いろんなアーティストさんと出会ったりシンガーソングライターの友達が出来たりしたその環境の変化が、自分をすごく変えてくれました。みんなの活動を見ていて、自分が表現したいものは自分で生み出すのが一番近道だなって思うようになったんです。それでピアノを買って曲作りをするようになりました。4つくらいコードが弾ければ簡単な曲はできますから(笑)、YouTubeを見ながら研究したりして。

――今作では8曲で作詞を、「bring back the colors」(シングル「Sunny」のc/w)、先ほどお話に出た「Re:I」、そして「赤信号」という曲はレイさん自身が作曲も手掛けていらっしゃいますね。(※共作も含む)

安田:私にはこういう思いがあるんだよっていうことをみんなに知ってもらえるのは、音楽をやっていて本当に良かったなと思える瞬間です。作詞・作曲ともに手掛けたのは3曲ですが、もっと自分の人間臭さみたいなものを伝えられるような楽曲を増やして、この世に残していきたいなって思っています。

――歌詞を書くということは、ある意味自分の内側をさらけ出していくということでもありますよね。

安田:歌詞を書くって恥ずかしいですよね(笑)。裸で街を歩いている感じに近いかもしれない。でも、普段は自分を見つめることが苦手だったりするんですが、歌詞を書いている時は「あ、自分ってこうなんだ」って発見ができたりするんですよね。音楽で知らなかった自分に出会えるのも楽しいし、普段はできないことが音楽だとできるような気がするのも楽しいというか。


▲3rd ALBUM『Re:I』【初回生産限定盤】


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――レイさんの場合、小さい時からいわゆるプロの方が作った楽曲を色々歌ってこられているわけで、知らないうちに自分ジャッジのハードルが高くなっているんじゃないかと思うんです。せっかく良い曲ができても、これじゃまだまだ!みたいな。

安田:(笑)。でも確かに、小さい時から即興で曲を作るのが好きでした。小学校の低学年ぐらいの頃から、自分が頭の中で考えていることを言葉で伝えるのが苦手というか全然できなくて、すごいフラストレーションを抱えてイライラしていたんですね。どうやったら発散できるんだろうと考えた時に、私は音楽が好きだから、この気持ちや自分が伝えたいことを曲にしてみようって思ったんです。何々先生がムカつくとか(笑)、お母さんとケンカした後のごめんねとか。書き留めたり録音しているわけではないんですが、そういえば昔からずっと趣味でやってました(笑)。だから、メロディーはいつも頭の中に存在していますね。

――やっぱり(笑)。

安田:疲れるとメロディーを考えて歌いたくなるし、テンションが上がっても歌っている(笑)。でもこれは世に出すほどのものじゃないっていう頭があるから、ちょっと構えていたんでしょうね。いざ書こうとすると。

――1曲目の「アシンメトリー」が作れたことは、ご自身にとっても大きなことだったそうですね。

安田:はい。これからの安田レイはこう進みたいなっていう、いろんなビジョンが見えた1曲でもありました。

――「赤信号」はすごくドラマティック。こんな曲も作るんだ、歌うんだという驚きも含めて印象に残りました。

安田:まさにこの曲は、今までの安田レイのイメージを壊したいなという思いで作ってみました。この曲は、サウンド面も歌詞も夜遅い時間帯のイメージ。何が起こるんだろうっていうミステリアスな空間を演出してみたくて作りました。

――自分自身というより、ソングライターとしての視点ですね。

安田:テーマは、人生って何が起きるかわからないよねっていうこと。お互いに友達だと思っていた2人がドライブに出かけて、赤信号でいきなりキスをしてしまうんですが、2人の関係性を1コーラス目では明かしていないのがこだわりで。2Aで初めて「君はただの友達」と出てきて「友達だったんかい(笑)!」っていうつっこみポイントも作ってみました。

――そんな仕掛けも(笑)。

安田:赤信号は止まるというのがルールだけど、自分の中の赤信号を無視して突っ走ってしまったわけで。後悔もあるけど、みんなが思う常識から解放されて自由になっている自分がいるということでもあるんです。この主人公は、いけないことをしているけどすごく自由。これまでの安田レイのイメージの曲もあるけど、みんなが想像していなかったこういう私もいるんだよ、こういう曲を作れて私は今すごく解放されているよっていう感情も重ね合わせてみたんです。太陽の下で歌っているようなイメージのレイちゃんのほうが好きとか、4つ打ちのアッパーなものをもっと聴きたいって思っている人もたくさんいると思うけど、そういうことも恐れずにこの殻から抜け出したいという気持ちが今すごく強いんです。安田レイとはこれだって自分で決めつけず、もっと自由に羽ばたきたいなって。

――その覚悟も、アルバムの隅々から伝わってきます。

安田:本当は、先ほどお話しした「Re:I」でスタートしようと思っていたくらいなんですよ。

――誰も予想をしていない、まさかのオープニング!

安田:だけどあの最後の余韻みたいなものが、これからの安田レイというか、ここから歩き出すんだよっていうことを伝えてくれるなと思って、最後に持っていきました。

――そういった制作過程のエピソードにも、何かを打ち破ろうとするレイさんの心意気が感じられます。アルバムのジャケット、破り足りない気がしますよ(笑)。

安田:気持ち的にはもっと大胆にやってもいいんだけど、まだまだこれからなんだよ、ここから抜け出すよっていう動きを表現したかったんですよね。だから2020年の後半に向けて、もっとビリビリッと大きく派手に破っていこうと思います。もっと自分の殻から抜け出して曲を作っていきたいし、ライブももっと爆発したいですからね。そういう今の自分の気持ちが、このアートワークにも表れています。


――ここで使われている色にも、レイさんのこだわりが反映しているそうですね。

安田:最近のアートワークは、オレンジや黄色、ピンクなど強い色を使ってきたんですね。今回は何か1色テーマカラーになるものを作りたいなという話をしたんですが、いろんな色が混ざり合って、紫になっているイメージが湧いてきたんです。「赤信号」というちょっと大人っぽい楽曲を歌ったこと、それに、今の自分は30代に向けて大人になっていっているよということも含めて、紫というちょっと大人っぽい色で表現できたらなと思ったんです。2019年から2020年にかけての、自分の心の変化も表現できればと思って。

――音楽家としてだけではなく、ひとりの人間としてもいいタイミングでこの作品が作れたのかもしれないですね。

安田:はい。曲を作って、レコーディングをして、自分の中のモヤモヤがすごく整理された部分もありました。また一歩踏み出すきっかけになったなと思いますし、この作品で、新たな自分を知ってもらえるきっかけにもなると思うんです。「アシンメトリー」で私のことを知ってくださった方も、ぜひ最後まで聴いてみていただきたいです。きっと、何か感じることがあると思うから。

――最後にこのタイトル『Re:I』ですが、”リ・アイ”ではなく”レイ”と読むこともできますね。

安田:そうなんですよ。自分の名前の”レイ”でもありますが、新たな自分であり、私についてという意味なんです。

――「Re:●●●」というのは、メールを返信する時によく目にしますよね。

安田:たぶん多くの方が返信とか返事の「Reply」だと思われていると思うんですが、これは「●●●について」っていう意味らしいんです。今回色々と調べていて、私も初めて知りました。「Re:」の後に「I」が来ているから、これは「私について」のアルバム。私のことを知って欲しいです、初めましての人もぜひ聴いてみてくださいというメッセージも込めました。

――7月に行われる、東京と大阪のワンマンライブがますます楽しみになりました。

安田:ありがとうございます。今回はどちらもBillboardでやらせていただきますが、私も本当に楽しみです。一度大阪のほうのステージに立たせていただいたんですが、音の環境が素晴らしくてすごくワクワクしたことをいまだに覚えているんですね。とてもいい距離感で歌える素晴らしい場所で、バンドと一緒に今回のアルバムの曲を歌ったらどうなるんだろうってすごく楽しみ。サプライズ的な何かも考えながら、色々と準備していこうって思っています。

取材・文●山田邦子

リリース情報

3rd ALBUM『Re:I』
【初回生産限定盤】
\3,800+tax
CD+Blu-ray Disc
・三方背スリーブケース付
・28P フォトブックレット封入
・安田レイ LIVE2020「Re:I」先行予約チラシ封入
【通常盤初回仕様】
\3,000+tax
CD
・20P フォトブックレット封入
・安田レイ LIVE2020「Re:I」先行予約チラシ封入
<CD収録内容>
1.アシンメトリー
(フジテレビ系木曜劇場「モトカレマニア」オープニングテーマ)
2.fortunes
(カンテレ「グータンヌーボ2」エンディングテーマ)
3.Answers
4.over and over
(花王 PYUAN TV CM テーマソング)
5.Sunny
(カンテレ・フジテレビ系列 火 9 ドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」オープニング曲)
6.bring back the colors
7.赤信号
8.dazzling tomorrow
(花王 PYUAN TV CM テーマソング)
9.Classy
(ソニーブラビア TVCM 曲)
10.blooming
(アニメ「レイトン ミステリー探偵社~カトリーのナゾトキファイル~」オープニングテーマ)
11.きみのうた
(TV アニメ「夏目友人帳 陸」エンディングテーマ)
12.Re:I

<初回生産限定盤 Blu-ray Disc 収録内容>
1.「Message」Music Video
2.「Classy」Music Video
3.「きみのうた」Music Video
4.「Sunny」Music Video
5.「blooming」Music Video
6.「dazzling tomorrow」Music Video
7.「over and over」Music Video
8.「アシンメトリー」Music Video
9.「through the dark」Instrumental Teaser Video

ライブ・イベント情報

安田レイ LIVE2020 「Re:I」
【東京】
■開催日:2020年7月10日(金)
■時間:開場 18:30/開演19:30
■会場:Billboard Live TOKYO

【大阪】
■開催日:2020年7月12日(日)
■時間:開場16:30/開演17:30
■会場:Billboard Live OSAKA

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