パスピエ、特別編成で10周年記念ライブ「一緒にお祝いしていってください!」
Photo by Yosuke Torii
パスピエの結成10周年を記念した<十周年特別記念公演“EYE”>が2月16日、東京・昭和女子大学人見記念講堂で開催された。以下、そのオフィシャルレポートをお届けする。
◆パスピエ画像
◆ ◆ ◆
この日のライブは4人編成のストリングス、パーカッション/ビブラフォンなどを加えた特別な編成で行われた。オープニング曲は、大胡田なつき(Vo)、成田ハネダ(Key)、三澤勝洸(G)、露崎義邦(B)の新体制になって最初の配信シングル「あかつき」。成田の生ピアノから始まり、バンドのアンサンブルと弦カルテット、ビブラフォン、そして、大胡田の叙情的なボーカルが融合。重厚にしてしなやかなサウンドが響き渡る。さらに独創的なリズムを取り入れた「ハレとケ」、“美しいものこそが、儚いものであった”というフレーズが印象的なポップチューン「永すぎた春」などを披露。大胡田なつきが「パスピエ、十周年記念公演“EYE”。来てくれてありがとうね。10年を一緒にお祝いしていってください!」と挨拶すると、満員御礼の会場から大きな歓声と拍手が起きた。
この後も、パスピエの豊かな音楽性をじっくり体感できる場面が続いた。80年代ニューウェイブを想起させる「ネオンと虎」、三澤のライトハンド奏法によるギターフレーズを軸にした「DISTANCE」、クラシカルな雰囲気のストリングスと壮大な広がりを持つメロディが溶け合う「あの青と青と青」。成田が手がけた弦カルテットのアレンジも絶品。“高度な音楽理論と際立ったポップセンスの融合”というこのバンドの特徴をしっかりと感じ取ることができた。
Photo by Yosuke Torii
Photo by Yosuke Torii
Photo by Yosuke Torii
Photo by Yosuke Torii
ここからはバンドメンバーだけで演奏。「ライブは毎回毎回“こんなことが起きるんだ”と想像できないことが起きるのが楽しい」(成田)というMCに導かれたのは、代表曲の一つ「チャイナタウン」だ。ややテンポを落とし、新たなアレンジを施したサウンドが新鮮。常にチャレンジを続けるパスピエの姿勢が強く伝わってきた。さらに「マッカメッカ」「MATATABISTEP」といったアッパーチューンで会場の熱気を上げた後、「つくり囃子」ではブレイクビーツユニット・HIFANAとのセッションが実現。サンプラー、CDJスクラッチなどを使ってリアルタイムで生み出されるビート、そして、高い演奏テクニックに裏打ちされたバンドの演奏が融合し、この場所でしか体感できないサウンドが広がる。HIFANAをリスペクトする大胡田は「いつか一緒にやりたいと思っていたので、すごく嬉しい」と喜びを素直に表現していた。
「大切なことって、お互いの関係のなかで、見えないところにあるんじゃないかと思っていて。それを伝えたいなと思ってバンドをやっているところもあるんだけど、こうやってみんなが集まってくれるのはすごく嬉しいし、これからもパスピエについてきてほしいなと。……10周年っぽい話をしてみました」という大胡田のMC、そして、1stフルアルバム『演出家出演』の収録曲「シネマ」からライブはクライマックスへ。音楽を自由に鳴らすことへの決意を反映した「正しいままではいられない」におけるエモーショナルな演奏とボーカルも強く心に残った。
本編の最後は、最新アルバム『more humor』のリード曲「ONE」。最新鋭のオルタナR&B、ダンスミュージックの要素をパスピエ流に昇華したこの曲は、現在のパスピエのモードを端的に示していた。バンド、ストリングス、パーカッション、HIFANAによるアンサンブルも刺激的。それは言うまでもなく、この特別公演でしか実現しえなかったシーンだった。
Photo by Yosuke Torii
Photo by Yoshio Nakaiso
アンコールでは、2月5日に配信リリースされた新曲「まだら」を初披露。「人間模様って、どういうものだろう?と考えて、このタイトルにしました」(大胡田)というこの曲は、人力トラップと称すべきリズムと起伏に富んだメロディ、人間関係の機微を映し出す歌詞が一つになった革新的なポップチューンだ。さらにメジャーデビュー作『ONOMIMONO』に収録された「トロイメライ」を披露し、会場の熱気はピークに向かう。
観客の拍手とコールに応え、再びステージに登場したメンバーは、「贅沢ないいわけ」を演奏。記念すべきライブはエンディングを迎えた。
10周年の記念ライブで、これまで培ってきたスタイルを改めて示すと同時に、自らの音楽的な可能性を体現してみせたパスピエ。11年目以降の活動にもぜひ注目してほしい。
そして本日<十周年特別記念公演“EYE”>のセットリストを組み込んだプレイリストをSpotifyなどの配信サイトで公開した。また、パスピエのオフィシャルサイトやSNSに20200505の数字列が発表されており、パスピエからの続報に期待してほしい。
取材・文◎森朋之
撮影◎Yosuke Torii / Yoshio Nakaiso
02. 始まりはいつも
03. ハレとケ
04. 永すぎた春
05. トリップ
06. ネオンと虎
07. DISTANCE
08. 瞑想
09. あの青と青と青
10. resonance
11. チャイナタウン
12. マッカメッカ
13. グラフィティー
14. MATATABISTEP
15. つくり囃子
16. シネマ
17. 正しいままではいられない
18. 真夜中のランデブー
19. ONE
〈アンコール〉
20. まだら
21. トロイメライ
22. 贅沢ないいわけ
[Member]
パスピエ
大胡田なつき(Vo)
成田ハネダ (Key)
三澤勝洸(G)
露崎義邦(B)
佐藤謙介(Support Dr)
[Guest Musician]
HIFANA
KEIZOmachine!
ジューシー
室屋光一郎(1st. Vn)
柳原有弥(2nd. Vn)
島岡智子(Va)
水野由紀(Vc)
斎藤祥子(Perc)
※Spotify先行での配信/他の配信サイトは順次配信開始予定
パスピエの結成10周年を記念した<十周年特別記念公演“EYE”>が2月16日、東京・昭和女子大学人見記念講堂で開催された。以下、そのオフィシャルレポートをお届けする。
◆パスピエ画像
◆ ◆ ◆
この日のライブは4人編成のストリングス、パーカッション/ビブラフォンなどを加えた特別な編成で行われた。オープニング曲は、大胡田なつき(Vo)、成田ハネダ(Key)、三澤勝洸(G)、露崎義邦(B)の新体制になって最初の配信シングル「あかつき」。成田の生ピアノから始まり、バンドのアンサンブルと弦カルテット、ビブラフォン、そして、大胡田の叙情的なボーカルが融合。重厚にしてしなやかなサウンドが響き渡る。さらに独創的なリズムを取り入れた「ハレとケ」、“美しいものこそが、儚いものであった”というフレーズが印象的なポップチューン「永すぎた春」などを披露。大胡田なつきが「パスピエ、十周年記念公演“EYE”。来てくれてありがとうね。10年を一緒にお祝いしていってください!」と挨拶すると、満員御礼の会場から大きな歓声と拍手が起きた。
この後も、パスピエの豊かな音楽性をじっくり体感できる場面が続いた。80年代ニューウェイブを想起させる「ネオンと虎」、三澤のライトハンド奏法によるギターフレーズを軸にした「DISTANCE」、クラシカルな雰囲気のストリングスと壮大な広がりを持つメロディが溶け合う「あの青と青と青」。成田が手がけた弦カルテットのアレンジも絶品。“高度な音楽理論と際立ったポップセンスの融合”というこのバンドの特徴をしっかりと感じ取ることができた。
Photo by Yosuke Torii
Photo by Yosuke Torii
Photo by Yosuke Torii
Photo by Yosuke Torii
ここからはバンドメンバーだけで演奏。「ライブは毎回毎回“こんなことが起きるんだ”と想像できないことが起きるのが楽しい」(成田)というMCに導かれたのは、代表曲の一つ「チャイナタウン」だ。ややテンポを落とし、新たなアレンジを施したサウンドが新鮮。常にチャレンジを続けるパスピエの姿勢が強く伝わってきた。さらに「マッカメッカ」「MATATABISTEP」といったアッパーチューンで会場の熱気を上げた後、「つくり囃子」ではブレイクビーツユニット・HIFANAとのセッションが実現。サンプラー、CDJスクラッチなどを使ってリアルタイムで生み出されるビート、そして、高い演奏テクニックに裏打ちされたバンドの演奏が融合し、この場所でしか体感できないサウンドが広がる。HIFANAをリスペクトする大胡田は「いつか一緒にやりたいと思っていたので、すごく嬉しい」と喜びを素直に表現していた。
「大切なことって、お互いの関係のなかで、見えないところにあるんじゃないかと思っていて。それを伝えたいなと思ってバンドをやっているところもあるんだけど、こうやってみんなが集まってくれるのはすごく嬉しいし、これからもパスピエについてきてほしいなと。……10周年っぽい話をしてみました」という大胡田のMC、そして、1stフルアルバム『演出家出演』の収録曲「シネマ」からライブはクライマックスへ。音楽を自由に鳴らすことへの決意を反映した「正しいままではいられない」におけるエモーショナルな演奏とボーカルも強く心に残った。
本編の最後は、最新アルバム『more humor』のリード曲「ONE」。最新鋭のオルタナR&B、ダンスミュージックの要素をパスピエ流に昇華したこの曲は、現在のパスピエのモードを端的に示していた。バンド、ストリングス、パーカッション、HIFANAによるアンサンブルも刺激的。それは言うまでもなく、この特別公演でしか実現しえなかったシーンだった。
Photo by Yosuke Torii
Photo by Yoshio Nakaiso
アンコールでは、2月5日に配信リリースされた新曲「まだら」を初披露。「人間模様って、どういうものだろう?と考えて、このタイトルにしました」(大胡田)というこの曲は、人力トラップと称すべきリズムと起伏に富んだメロディ、人間関係の機微を映し出す歌詞が一つになった革新的なポップチューンだ。さらにメジャーデビュー作『ONOMIMONO』に収録された「トロイメライ」を披露し、会場の熱気はピークに向かう。
観客の拍手とコールに応え、再びステージに登場したメンバーは、「贅沢ないいわけ」を演奏。記念すべきライブはエンディングを迎えた。
10周年の記念ライブで、これまで培ってきたスタイルを改めて示すと同時に、自らの音楽的な可能性を体現してみせたパスピエ。11年目以降の活動にもぜひ注目してほしい。
そして本日<十周年特別記念公演“EYE”>のセットリストを組み込んだプレイリストをSpotifyなどの配信サイトで公開した。また、パスピエのオフィシャルサイトやSNSに20200505の数字列が発表されており、パスピエからの続報に期待してほしい。
取材・文◎森朋之
撮影◎Yosuke Torii / Yoshio Nakaiso
■<パスピエ 十周年特別記念公演“EYE”>2020年2月16日(日)@東京・昭和女子大学 人見記念講堂 セットリスト
02. 始まりはいつも
03. ハレとケ
04. 永すぎた春
05. トリップ
06. ネオンと虎
07. DISTANCE
08. 瞑想
09. あの青と青と青
10. resonance
11. チャイナタウン
12. マッカメッカ
13. グラフィティー
14. MATATABISTEP
15. つくり囃子
16. シネマ
17. 正しいままではいられない
18. 真夜中のランデブー
19. ONE
〈アンコール〉
20. まだら
21. トロイメライ
22. 贅沢ないいわけ
[Member]
パスピエ
大胡田なつき(Vo)
成田ハネダ (Key)
三澤勝洸(G)
露崎義邦(B)
佐藤謙介(Support Dr)
[Guest Musician]
HIFANA
KEIZOmachine!
ジューシー
室屋光一郎(1st. Vn)
柳原有弥(2nd. Vn)
島岡智子(Va)
水野由紀(Vc)
斎藤祥子(Perc)
プレイリスト「パスピエ 十周年特別記念公演“EYE”」
※Spotify先行での配信/他の配信サイトは順次配信開始予定