【ライブレポート】藤川千愛、自身が向かう先を示すワンマンライブ
藤川千愛が1月19日(日)、東京・新宿BLAZEにてワンマンライブ<新宿の夜>を開催した。
◆藤川千愛<新宿の夜> ライブ写真
日常の鬱憤や葛藤といった感情をさらけ出す楽曲群と、そのネガティブさをもカタルシスへと変える美声を持つ藤川は、2019年5月に発売したデビューアルバム『ライカ』でオリコンデイリーチャート1位を獲得、2019年の11月からは4カ月連続でデジタルシングルをリリースし、さらに3月からは全国7都市を巡る全国ツアーを予定するなど、精力的な活動を続けている。ワンマンライブ<新宿の夜>では、ロックシーンの先人たちへのオマージュを込めながら、2020年に自身が向かう先を示した。
定刻を過ぎてフロアの照明が落とされると、ポリッドスクリーン越しに藤川が登場。古着調のサテンシャツに身に包んだラフな佇まいでステージに立つと、この夜のオープニングとなる「ライカ」をアカペラでスタート。
バンドがインするとともにポリッドスクリーンに映し出されるのはバラやガーベラといった花々。花びらが咲いては萎れていく演出の中、藤川はダーティな16ビートに乗せて陰陽入り混じった独自の音楽を観客に叩きつける。
続く2曲目はオーバーダビングボーカルが印象的な「引き寄せられて夢を見る」。同期で鳴らされるコーラスが響くも、それをものともせずにホールへ突き刺さる生の歌声が、ライブの緊張感を高めていく。
コール&レスポンスのMCを経て、畳みかけるようにパフォーマンスされたのは「ゴミの日」。ライトハンドのギターとベーススラップが絡み合うラウドなサウンドの上、藤川がハンドマイクでフロアを煽ると、オーディエンスもサビをシンガロングしてフロアのテンションは最高潮となる。
続いて披露されたクリープハイプのカバー「オレンジ」、 ロックチューン「葛藤」ではレスポールを抱えてパフォーマンスし、ロックシンガーとしての側面を見せつけていく。
怒涛の前半戦を終えたMCで、藤川は今年の抱負としていろいろなアーティストのライブに足を運ぶことを宣言。これまでライブやレコーディングに専念するため、外に出るのを避けてきたが、そうした出無精の自分を変えていくと語った。
等身大のMCの後にはギターをレスポールからアコースティックに持ち替え、今月配信されたばかりの「私にもそんな兄貴が」、音源未発表の「あさぎ」と新曲2曲を続けに披露。さらに、岡山の工場勤務から音楽をするために上京を選んだ藤川の自伝的楽曲「夢なんかじゃ飯は喰えないと誰かのせいにして」を弾き語りで歌い上げると、オーディエンスは大きな拍手で応えた。
デビューから1年余りということもあって新曲が多いセットリストが続く今公演。MCを挟んでパフォーマンスされたのは「田中が彼氏だったなら」。未聴のオーディエンスも多い楽曲だが、J-POPの快感を受け継ぐグッドメロディに乗せて藤川がコミカルな歌詞を歌うと、客席からも合唱が沸き起こり、新たな代表曲の誕生を予感させる一体感に包まれた。
その後、「夜もすがら君を想う」「あたしが隣にいるうちに」と馴染み深い2曲を歌い上げ、ライブ終盤のMCでは、4月8日(水)に2ndアルバムがリリースされることを発表。その仕上がりについて「名盤の予感」と自身の口で告げると、フロアからは期待に満ちた歓声が巻き起こった。
さらに6月5日(金)には自身のバースデイライブとして東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でワンマンライブを行うと発表。「勝手にひとりでドキドキすんなよ」を披露して、本編のラストにはバラード「あなたを嫌いになれました」を歌い上げ、ステージを後にした。
アンコールに応えてステージにカムバックした藤川は、椎名林檎のカバー「歌舞伎町の女王」を披露。国内のロックシーンにおける偉大なミュージシャンの楽曲を、堂々たるボーカルで歌い上げた。
曲後に「工場に勤めていた時に車の中でいつもこの曲を聴いていた」と思い出話を語り、そのまま椎名林檎へのリスペクト漂う自身の楽曲、「おまじない」を披露。ジャズと歌謡曲を掛け合わせたバーレスク調の世界を演劇的なボーカルでトリッキーに表現し、これまでの藤川の楽曲の軸であるロックサウンドのみに捉われないスタンスを覗かせる。最後には、人気の楽曲「hane」でオーディエンスと共にタオルを振り回してシンガロング、ステージは幕を下ろした。
偉大なる先人たちの存在と、岡山の工場で働きながらシンガーを志した過去の自分。遠く離れた点と点を結ぶのは自身の音楽であり、1つ1つのライブである。次なるアルバム、そして渋谷公会堂でのライブは彼女の物語をどこまで進めるのか。2020年の藤川千愛の音楽が、この夜披露された未発表を含む楽曲群と共に鳴り始めたのだった。
撮影◎イシハラタイチ
■藤川千愛<新宿の夜>
[セットリスト]
01. ライカ
02. 引き寄せられて夢を見る
03. ゴミの日
04. オレンジ
05. 葛藤
06. 私にもそんな兄貴が
07. あさぎ
08. 夢なんかじゃ飯は喰えないと
09. 田中が彼氏だったなら
10. 夜もすがら君を想う
11. あたしが隣にいるうちに
12. 勝手にひとりでドキドキすんなよ
13. あなたを嫌いになれました
EN1. 歌舞伎町の女王/椎名林檎カバー
EN2. おまじない
EN3. hane
■2ndアルバム『愛はヘッドフォンから(仮)』
全13曲+Bonus Track
■藤川千愛ライブツアー特別公演<Birthday Live 2020>
※イープラスにて1月31日まで抽選先行予約受付中
https://eplus.jp/fujikawachiai-of/
◆藤川千愛 オフィシャルサイト
この記事の関連情報
藤川千愛、9月にミニアルバム『すみません、愛を落としたのですが…』をリリース
藤川千愛、新曲「さがしもの」のオール・ニュージーランドロケMVを公開
藤川千愛、アニメ主題歌含むシングルを2作連続リリース
<桃太郎フェス 2024>第1弾できゃりーぱみゅぱみゅ、KREVA、FRUITS ZIPPERら
藤川千愛、アニメ『盾の勇者の成り上がり Season 3』ED曲配信リリース
藤川千愛、3年ぶりフルアルバムのリリースと全国ツアー開催を発表
藤川千愛、アニメ『聖剣学院の魔剣使い』OP曲「1000年愛」MV公開
藤川千愛、アニメ『聖剣学院の魔剣使い』OP曲「1000年愛」リリース
10月アニメ『聖剣学院の魔剣使い』OPは藤川千愛、EDは果歩が担当