Q.A.S.B.、ピチカート・ファイヴの名曲カバーを7インチでリリース
Q.A.S.B.が新しい7インチをリリースする。
Q.A.S.B.は、1970年代を中心としたソウル/ファンク、レアグルーヴを、その後のダンスミュージックシーンを通過したメンバーによる解釈のもと現代に蘇らせ、後世に伝えることを目指した“現行”のレアグルーヴバンドだ。
そんな彼らがこの度リリースするのは三代目ヴォーカリストとして野宮真貴が加入して間もないピチカート・ファイヴのアルバム『女性上位時代』(1991)から「サンキュー」、そして後期のアルバム『プレイボーイ・プレイガール』(1998)から「ウィークエンド」の2曲のカップリングカバー。Q.A.S.B.サウンドとなって生まれ変わった名曲を聴いていただきたい。
■小西康陽 コメント
いちばん好きなバンドである彼らが、じぶんの作った楽曲を取り上げてくれるなんて、嬉しくてたまらない話だが、いっぽう、もし気に入らない出来だったらどうしよう、いつも本当にジェントルで優しいリーダーの石川さんや、素晴らしいヴォーカリストのa.yu.mi.さんたちと、ちょっとギクシャクした関係になってしまうのだろうか。そう考えると、やはり怖くなってしまうのだった。
だが、そんな心配は杞憂だった。「サンキュー」と「ウィークエンド」、どちらもじぶんにとってはつよく思い入れのある楽曲。「サンキュー」を作ったときの、全世界に対して「ノー・サンキュー」と言いたくなるような屈折した感情。あるいは「ウィークエンド」を作ったときの、まるで職業作家の仕事のごとく端正なものをつくった、という、うれしいような、面映いような感情。そうしたものはまだ、じぶんの中にはっきりとしたかたちで残っている。そんな作家の個人的な屈託を、彼らQ.A.S.B.はじつにあっさりと、うつくしく見事に乗り越え、じぶんたちの音楽にしている。
とりわけ、ヴォーカリストのa.yu.mi.さんの歌う日本語の瑞々しさには驚き、彼女とこのバンドの将来に大きな可能性を感じた。たとえば「トワエモア」の白鳥英美子さんや「ハイ・ファイ・セット」の山本潤子さんなどに通じる清潔な日本語の発音を持ちながら、ファンキーなビート感を持つこのバンドのサウンドともしっかり寄り添っている。プロフェッショナルなソングライターなら、素材としての彼女とこのバンドに、なにか楽曲提供してみたい、と誰しも考えるに違いない。
あなたに逢えてよかった、あなたには希望の匂いがする、というのは、かつて和田アキ子さんが歌った楽曲の一節だが、まさか大昔にじぶんの書いた楽曲を通して、そんな「希望の匂い」と出会うことになるとは。Q.A.S.B.には感謝するばかりだが、いまのじぶんにできることはそう多くはない。ひとりでも多くの人に聴いてもらいたい、彼らの音楽の素晴らしさを知ってもらいたい、と願うばかりだ。
「サンキュー/ウィークエンド」
Soul Garden Records SG-068 1,500円+税
◆ Q.A.S.B. オフィシャルサイト
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