【ライブレポート】NUL. 、「今までなかった新しい音楽を作っていけたら」
今年8月16日、渋谷REXでの初ライヴ<NUL. 1st EXPERIMENT -showcase->で本格始動したNUL.。
◆ライブ画像
元D’espairsRayのヴォーカル、HIZUMIを中心にdefspiralのMASATO(G)、abingdon boys schoolなどで活躍中の岸利至(Prog)の3人が、どんな音楽、グルーヴを生み出すのか……フロア満杯のファンが固唾を呑みつつ触れたことのないサウンドを全身で受け止め本能のまま体を揺らした、あの熱い夜のことは記憶に新しい。
それから2か月ちょっと経ち、NUL.は11月1日、TSUTAYA O-WESTのステージに舞い戻った。2回目とはいえ、デモCDで発表されているのはたったの4曲。うち2曲はライヴ当日、会場で販売されていたものだから、実質2曲しかお客さんは知らない。そんな未知なる部分を残しつつ、ライヴはスタートした。
1曲目はミドルテンポ、四つ打ちのリズムがズンズンと体を揺らす「Another Face」。岸が鳴らす淡々とした無機質でダークなサウンドトラックと、エモーショナルなHIZUMIの唄、クレイジーに唸るMASATOのギターが絡み合う。思い思いに体を動かすオーディエンス、早くもNUL.の世界観にどっぷり浸っている模様だ。続く「maboroshi」(2ndデモCD収録)でもミドルテンポのダークで怪しいNUL.の世界へ観客をずるずると引きずり込む。
大まかにいえばインダストリアル系サウンドだが、泣きのサビは湿度高め、胸にジンと来る。だが3曲目「Plastic Factory」でテンポもテンションも一気に爆発。メンバーも踊る、お客さんも踊る。その激しく華やかなメンバーの動きは、アクションがカッコいいというより、ダンスがカッコいい、というほうが的を射ているような気がする。
「知らない曲ばかりかな? 俺たちに体を預けて楽しんでください」そんなHIZUMIのMCに続き初披露された「abnormalize」で、さらに激しくアプローチ。ロック要素が少し強めのこの曲は、我々の得意分野といわんばかりにファンは要所要所のキメで拳を上げ、一気に沸き立つ。曲のラストでHIZUMIがシャウトすれば、それを追いかけるようにファンの歓声があがる。
そのアッパーな状態で突入した「Black Swan」。テンポを落として世界観が一気に広がるサビでは、メローな唄とコーラスワークで聞かせてくれる。無機質な冷たさと、その真逆にある有機質な熱さ。「Grand zero」のような世界観に重心を置いたものと、「Phantom Rain」のような唄を前面に出したもの。そういった相反する要素が、HIZUMI、MASATO、岸の3人を頂点にしたトライアングルの中で、その時々でバランスを変えながら交わり溶け合う。それがNUL.の音楽なのかもしれない。
「楽しんでますか? 久々のライヴっていう感じがあまりないんですけど。次回はもっと詰め込んで詰め込んでいきますので」とHIZUMIがいって「I don’t seek. I find」の演奏へ突入し、本編ラストの「XStream」で思い切りシャウトし本編終了。唄いきった後の“ありがとう!”も声を張り上げていたのが印象に残る。
アンコールでは、バンド・Tシャツに着替えた3人が登場。「ちゃんとした音源を作ってもいいんじゃない?って話をしていて……」と話し出したHIZUMIだったが、しゃべらないキャラである岸に無茶ぶりする。そこで年明け1月に行われる3本のライヴについて、ヒントが明かされることに。
「1本目は[SOUND×VISON]、2本目は[1+1+1+1+1=?]。これ、どこまで言っていいの?」と岸。それにHIZUMIは「
そんな感じで。(どんな内容になるのか)それを知りたいと苦しめばいいさ! 悩めばいいさ(笑)!」と小悪魔な一面を。MASATOは「あらためてHIZUMIおかえり」とファンを和ませる。そんなチラリと垣間見られるメンバー同士の関係性も、ライヴならではのご馳走になったはず。
「ホントに僕のワガママで始まったこのユニットなんで。これからも3人で今までなかった新しい音楽を作っていけたらな、と思っているんで楽しみにしてください」そう言って「POISON EATER」でライヴは幕を閉じた。
終演後、メンバー話を訊いてみると、「前回と比べて確実によくなっている部分もあると思います。本数を重ねながらNUL.の世界観を確立していきたいですね」(MASATO)、「3人だからこそ自由度が高い、そこがNUL.の面白さ。そこを活かして、今後、いろいろ試しながらNUL.の可能性を探っていきたいと思ってます」(岸)、MCでも話題に上った、2020年1月11日、12日の東京・渋谷WOMBで行われる2本のライヴ、そして大阪初となる1月26日、大阪・十三246 LIVEHOUSE GABUでのライヴ。東京の2本のライヴの内容については謎を残した状態だが、その答えは当日のステージ上にある。
文◎増渕公子
写真◎上野宏幸(nonfix creative)、Melanie Hagenreiner、Wanda Proft
ライブスケジュール
2020年1月12日(日)東京・渋谷WOMB - stage:2[ANOTHER SHADOW]
2020年1月26日(日)大阪・十三246 LIVEHOUSE GABU - stage:2[ANOTHER FACE]
◆NUL. オフィシャルサイト
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