【インタビュー】Chicago Poodle、10周年を語る_最終章「長くリピートできる曲を生み出そう」
■実は一度、全曲白紙になった
■コンセプトアルバムがあるんです
──先ほども話に出た「シナリオのないライフ」は人生の肯定感にあふれたアップテンポの曲です。それがアルバム『Life is Beautiful』に繋がっていくんですよね?
辻本:まさにそうですね。
花沢:そのときって“音楽やれて楽しいな”って改めて実感していたときだと思うんですよ。前回のインタビューでお話した、震災の直前にリリースされた「桜色」の頃の葛藤を超えて、ようやく前を向き出して、自分らの中でテンションが上がっていた時期ではありますね。
辻本:でも、『Life is Beautiful』のジャケットもそうですけど、人生楽しいことだけじゃなくて、木の上はきれいな葉で覆われていても根っこは太陽が当たらなかったり、枯れていたりとか。その両サイドを経験したから書けたような曲もあったり。アルバムには短編映画プロジェクト『Short Movie Crash「柩」』の曲も収録されていて、ちょうど映画の題材が家族愛であったりしたので、自然と人生をテーマにしようという流れになっていったんだと思いますね。
──その後の2015年から2016年にかけてはライブもありつつ、制作期間だった感じですか?
山口:そうですね。2015年は四国限定のシングル「Made in Smile」をリリースしたぐらいですね。その後、2017年にアルバム『袖振り合うも多生の縁』を出すんですが、下準備期間だったんですね。実は一度、全曲白紙になったアルバムがあるんですよ。
──お蔵入りになった作品があったということですか?
山口:そうです。新曲を全部ボツにしたっていう。
──それはなぜ?
山口:当時、「次のアルバムどうする?」みたいな話をして「これ、普通の路線だとあかんのちゃう?」って。
辻本:「ちょっと奇抜なテーマはどうやろ?」って。
山口:当初、楽曲たちをマンションに見立てたコンセプトアルバムにしようと思ったんですよ。101号室にはこんな人が住んでいて、203号室にはあんな人がいて隣に住んでいる人が好きでって。関連づけて物語性のあるものにしようって言ってたんですけど、着手してみたら……。
辻本:縛りがありすぎてね。
山口:そう。内容がうわべだけになってしまうっていうか、心がこもらないっていうか。
辻本:「これは誰に聴かせる曲なんやろう」となって。
▲山口教仁 (Dr) |
辻本:そこから“いいメロディといい歌詞を”ってリスタートの気持ちで取りかかったので、間が空いたんですよね。
──ほとんど曲ができてたのにお蔵入りにするってかなり勇気がいることですよね?
山口:自分たちで納得できなかったっていうのがデカかったですね。
辻本:深く考えすぎてたんじゃないかなって。
──試行錯誤の期間だったんですかね。
辻本:そうですね。でも、花沢くんはむちゃくちゃ早いペースで曲を書いていた記憶がありますね。
花沢:書いてたっけ?
山口:けっこう書いてたよ。
花沢:当時は「これやな」っていう核となる曲ができなかったから、試行錯誤してたんでしょうね。
▲<Chicago Poodle -10th Anniversary Tour-> |
花沢:一定のレベルを超えた曲ができなかったんでしょうね。いい曲って一概には言えないですけど、好みってあるじゃないですか? 僕の中では“いい曲”って全員が好む曲だと思ってるんですよ。特定の人に好まれる曲は、僕はそんなにいい曲じゃないと思うんです。アップテンポでもバラードでも共通項としてグッと気持ちに突き刺さるみたいな。そういう曲を作っていきたいので。
──聴く人の趣味や趣向性をぶち抜いて届く曲ということですよね?
花沢:そうですね。名曲はアップテンポだろうがミドルだろうがバラードであろうが、時と場合を選ばないんじゃないかと思っているんです。
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