【速レポ】<中津川ソーラー>No Party For Cao Dongが見せた、目まぐるしく変貌するサウンドスケープ
日もすっかり暮れたREALIZE STAGEにて9月28日のトリを務めたのは、台湾出身の4人組ロックバンドのNo Party For Cao Dongだった。空気をつんざくようなクリアさと暴力的なまでにラウド化した彼らの音は、辺り一帯を焼き尽くすかのエネルギーを充満させたコアでヘヴィなバンドサウンドだった。
◆No Party For Cao Dong 画像
お目当てのバンドで大騒ぎするのもフェスの魅力だが、まさかのお宝に出会ってしまったり不意打ちの感動で大きく心を揺り動かされることにこそ、フェスの醍醐味があったりもする。全くのノーチェックで事前情報も手にしないままNo Party For Cao Dongと出会ったのならば、それはそれは忘れられない一夜となったことだろう。
とてつもないダイナミックレンジの大きさと、サウンド自体が持つ破壊力を最大限まで引き出すプレイヤースキル、乾いているのに粘るような蠢くトーンを醸し出すNo Party For Cao Dongの表現力は、数十のバンドがひしめき全力で音を奏で合っている<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>の中でも群を抜くものだった。目まぐるしくサウンドスケープが変貌していき、サウンドのレッドゾーンが振り切れたときの破壊力は空気を引き裂くようでもあり、ピアニシモのときは皮膚を優しく撫でるように聞き手の身体を包み込む。幾度も訪れるラウドとクリーンの行き来は、その様子自体が異端でありヒリヒリとむき出しのアートを突きつけられているようだ。
イングランドのガレージバンドのようでもあり、エレクトリック楽器を歌わせる職人集団のようでもあったNo Party For Cao Dongだが、小さなREALIZE STAGEがスタジアムの匂いすら漂わせはじめたときは、まるでラウドさを兼ね備えたコールドプレイをみているような感覚に襲われた。
身体の中から起爆したかのようなサウンドだが、破綻のないコントロールされたノイズが、心地よく体を蝕んでいく。地元台湾では圧倒的な人気を誇る彼らだが、中国語ながらも世界を舞台に彼らの存在が知られていくであろうことは当然のことだろう。「これはヤバいよ」「ヤバいね」…ステージをあとにする人々の口からは、最大級の賞賛の言葉が漏れ聞こえていた。
取材・文◎烏丸哲也(BARKS編集長)
撮影◎俵 和彦
【No Party For Cao Dong セットリスト】
2.爛泥
3.醜
4.大風吹
5.Low
6.艾瑪
7.等
8.八
9.我不知道你知不知道欸
10.白日夢
11.Emily The Ghost
12.山海
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
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