ブクガ、最新形を示すプレミアムライブ開催。Amazon Prime Videoで11月に配信も

7月31日にリリースされたシングル『umbla』“LIVEチケット付Amazon限定商品”の購入者を対象としたプレミアムライブが、東京と京都の2箇所、各昼夜2部制で、計4回行われた。このレポートでは、東京公演1部、2部の模様をお届けする。

◆Maison book girl画像

東京公演が行われたのは、9月22日・渋谷WOMB。この会場であることを知って、胸躍ったファンもいたのではないだろうか。なぜならここは、Maison book girlの最初のワンマンライブ＜solitude hotel 1F＞（2015年11月23日）が行われた場所だからだ。1部が開演したのは15時。外はまだ明るい昼下がりだが、幻想的なBGMが静かに流れていた薄暗い会場内は、まるで異世界のようだった。



SEが流れる中、真っ白な衣装に身を包んだコショージメグミ、矢川葵、井上唯、和田輪が登場して、「シルエット」がスタート。瑞々しいサウンドに包まれながら歌い、踊る4人が、まるで妖精のように美しい。各々の異なる動きの組み合わせによって立体的な空間を作り上げるパフォーマンスは、どこか演劇的でもあった。その後に披露されたインスト曲の「GOOD NIGHT」や「MOVE」、4人のフォーメーションが目まぐるしく変化する様がドラマチックだった「more past」など、パフォーマンスの豊かな表現力をじっくりと体感することができたのが、この第1部であったと言えよう。先日、誕生日を迎えた井上に、プレゼント（アマゾンから届いた状態である段ボール梱包のまま）が手渡された場面での、メンバー同士の和気あいあいとしたやりとりが観客を和ませたりもしつつ、「last scene」で締めくくられた約1時間のライブは、ますます進化を遂げつつあるブクガの姿を鮮やかに示していた。


19時からスタートした第2部は、ブクガの単独公演も手掛けている空間演出ユニット「huez」と共に作り上げた世界が、とにかく鮮烈であった。白いレーザービームが描き上げる様々なグラフィックに彩られた1曲目「闇色の朝」を皮切りに、眩しい光、無数の映像、4人のパフォーマンスが融合し続ける様に、あの場にいた全ての人が胸を躍らせていたに違いない。個人的にも、特に印象的だったのは、中盤で披露された「狭い物語」だ。ステージ後方、天井、フロアの左右に設置されていたLEDスクリーンに一斉に空が映し出された瞬間、渋谷WOMBの中で繰り広げられていた“狭い物語”が、一気に“広い物語”と化すのを感じた。こんなにもダイナミックな演出が、コンパクトなサイズのライブハウスで行われるのは、かなり異例のことだと思う。斬新な手法を常に採り入れつつ、リスナーの五感の全てを刺激するかのような表現を追求し続けているブクガの情熱を再確認させられた。

ほんの10数時間前、夜中の3時にメンバーのもとに届いたのだという新曲が披露された他、ペストマスクを着用したメンバーたちによるポエトリーリーディング「告白」も観客を深く引き込んでいたアンコール。12月18日にリリースされるニューアルバム『海と宇宙の子供たち』（仮題）。2020年1月5日・東京・LINE CUBE SHIBUYAで行われるワンマンライブ＜Solitude HOTEL ∞F＞――今後の活動に関する嬉しい発表もあったが、前回のワンマンライブのチケットがソールドアウトしなかったことに触れて、「それがすごい悔しいんですよ……」と、しばらくの間、言葉を詰まらせていたコショージ。その後に届けてくれた「だから次は絶対にソールドアウトしたくて。今までこういうこと、あんま言ってなかったと思うんですけど、今回はそういうことを強く感じてます。めちゃくちゃ頑張りたいと思ってるので、絶対に来てほしいです。よろしくお願いします！」という言葉は、とても力強かった。



終演後、ステージ上のスクリーンでは、先ほどのMCでも触れられたニューアルバム、来年のワンマンライブの告知の他に、Amazon Prime Videoでブクガの活動に密着したスペシャル映像（計4回）が、11月より配信されることも発表された。10月から年末にかけてのライブハウスツアーも含めて、彼女たちの精力的な活動は続く。たくさんのかけがえのない経験を積みながら、表現の幅を劇的に増しているMaison book girlは、さらにたくさんの人々の心を掴んでいくに違いない。

取材・文◎田中 大