【インタビュー】Chicago Poodle、10周年を語る_第二章「分岐点は2011年。やめていたかもしれなかった」
■1年半越しのプロジェクトが
■地震で全部なくなってしまった
──デビューから10数年が過ぎた2011年、東日本大震災がありました。地震と津波で甚大な被害が……。
山口:そうですね。実際、ファンの方々には被災された方もたくさんいらっしゃって。
──日本中にとって悲しく大きな出来事でした。そのことが人生観にも影響を及ぼしましたか?
山口:ええ。震災後、仙台にライブをしに行ったことがあったんですけど、現地の方から「Chicago Poodle、頑張ってね」って逆に励まされたんです。元気づけるために行ったつもりだったのにパワーをもらって、届けたい人に届ける歌詞を書こうと思うようになりましたね。
▲辻本健司 (B) |
辻本:バンドの活動にも大きく影響したよね。
花沢:そうですね。当時「桜色」というシングルをリリースしたんですけれど、発売して2日後に地震が起きたんですよ。
辻本:「桜色」なのでミュージックビデオは、前年2010年の桜が満開の季節に福井県の小学校を借りて桜の下で演奏するシーンを撮ったんです。つまり1年越しのシングルで。
花沢:曲作りから考えると1年半越しですね。僕ら自身、手応えを感じていて、すごく楽しみにしていた曲だったんです。レコード会社も全社を挙げて取り組んでくれていたので、リリースイベントもテレビCMも、大きなタイアップも決定していたんですが、それが全部なくなってしまった。でも、被災した方々に比べたら、僕らに起きたことなんか全然たいしたことじゃない。だから、どうしようもなかったですね。
辻本:活動を止めるしかなかった。
花沢:そういう心の内は誰にも言えなかったですね。今日、初めてお話することです。
──あの地震には、そういう影響もあったんですね。たしかに当時は地震によって多くの娯楽が中止になり、電力使用も制限されました。
花沢:そうですね。2011年は自分たちにとっても大きな分岐点やったと思うんですよ。音楽自体、やめていたかもしれなかった。
──そこまで考えてしまったくらい、上昇気流を描いていたバンドにとって失ったものが大きかったという。
花沢:ええ。自信があった曲だったということもありましたし。
辻本:と同時に、音楽やっていて力になれるのかな?って。
──いろいろ考えますよね。あのとき、衣食住の仕事に就いていないことって、こういうことなのかって。なんの役にも立っていない無力感に襲われました。
花沢:3人で「これからどうしよう」って話しましたね。それぞれ違う仕事、それぞれの道に進もうかという話も出ていたし。
辻本:バンドとしてこれからどうしたらいいんやって?
──その先の活動が見えないですものね。メジャーデビューから10年。初めて解散を考えたのが、その時ですか?
花沢:ええ。思い返してもいちばんの出来事でしたね。そういう気持ちを思いとどまらせてくれたのが山口がさっき話した仙台でのライブだったんです。「来てくれてありがとう」、「これからもいい曲作ってね」って言われたのがすごく嬉しくて「まだまだ、がんばらなあかんわ」って思ったんですよね。
──そしてアルバム『3.0』が2013年にリリースされるわけですね。
花沢:「またここから始めよう」って。
──『3.0』のリード曲「タカラモノ」はミュージックビデオが泣けると動画やSNSで話題になり、のちにリカットされ、TVアニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマ「君の笑顔がなによりも好きだった」と両A面シングルとしてリリースされることになります。この頃の歌詞は以前より人間くさいというか、一歩も二歩も踏み込んでいる気がしますね。
花沢:そうですね。新しく加わってくれたプロデューサーがいままでの僕らにないものを引き出してくれたんですね。「Chicago Poodleってこういう曲、歌ったほうがいいんじゃないの?」って言ってくれて、ミュージックビデオが多くの人の目に止まったんです。
──ちなみにどんなアドバイスをされたんですか?
花沢:「家族愛をテーマにしたら?」って言われて「なるほどな」って。
──それで娘さんを亡くしたお父様が写真を見ながら回想する「タカラモノ〜家族篇〜」のミュージックビデオが生まれるんですか?
山口:いや、映像に関しては僕らも驚いたんですよ。
辻本:監督さんが考えてくださったんですが、「タカラモノ」ってすごくハートウォーミングな曲で、歌詞もプロポーズを思わせるような、感謝の気持ちがテーマになっていたので、“別れ”がテーマだったことにビックリしました。
花沢:しかも家族が亡くなってしまってっていう。衝撃的でしたね。僕らの発想だと「ミュージックビデオ作るならウェディングやろ?」って。
辻本:実際、ウェディング篇のミュージックビデオもありますけどね。
花沢:そうですね。だから、歌詞にしても映像にしても、いままでと違うエッセンスを僕らに足してくれた曲ですよね。
──悩んでいたChicago Poodleを救った1曲でもあり。
花沢:それはありますね。
◆インタビュー【4】へ
◆インタビュー【2】へ戻る
この記事の関連情報
【インタビュー】Chicago Poodle、10周年を語る_最終章「長くリピートできる曲を生み出そう」
【インタビュー】Chicago Poodle、10周年と黎明期を語る_第一章「3人で続けることを受け入れてくれた」
Chicago Poodle、新曲「決意」がTBS『ひるおび』エンディング曲に
Chicago Poodle、10周年記念ベスト盤に未発表曲や名曲の“Re:REC Ver.”+全国ツアー決定
Chicago Poodle、10周年に向けた“ツアー秋篇”は全国11ヵ所22公演
Chicago Poodle、ラジオ番組風アルバムトレーラー前編+リード曲MV公開
Chicago Poodle、8公演のアルバム発売記念イベント追加開催
Chicago Poodle、3年ぶりのアルバム発売と全国ツアー開催が決定
BARKS2015新春お年玉特大企画 Chicago Poodle