【インタビュー】BiS、ついに白日のもとにさらされた第3期BiSの激しすぎる個性

ポスト

■全員が素人。オーディションに受かっただけの普通の人なので
■女のコたちに勇気や希望を持ってもらえるんじゃないかな


──さすがBiS。動揺なしですね(笑)。ではアルバム『Brand-new idol Society』のリードトラック「BiS-どうやらゾンビのおでまし-」を聴いたときの感想は?

チャントモンキー:最初、この曲はいまと譜割りが違って“残念なひとだね”とか“行かなくちゃ”っていうところがもっと強い感じで人をバカにしたように歌っていたんですけど、最終的には羽ばたいていくような爽やかさと美しさがある曲になったので、メンバーと“これは第3期BiSの始まりの曲だね”って話していました。

マナコ・チー・マナコ:最初は過去のBiSについて歌ってる歌詞なのかなと思っていたんですけど、第3期の出発を後押ししてくれる曲になりました。それで振り付けも羽ばたいていく動きに変わったんです。

──歌詞の最後は“3度目の行かなくちゃ”ですものね。

トギー:BiSは初期から“行かなくちゃ”ってフレーズを使っているんですけど、今回もサビで“行かなくちゃ僕ら”とか何度も歌っているので、まさにいま、そう思っています。

イトー・ムセンシティ部:1期でも2期でも使っている言葉なんですが、音楽プロデューサーの松隈ケンタさんが“今回はメロディと音のはめ方が違う。第3期のためにこだわって作ったんだよ”っておっしゃってくれたのが印象に残っています。


──第3期BiSの決意表明のナンバーですね。アルバムにはさっき話してくれた5人の期待と不安が詰まっていますが、リリースに先駆けて限定でDropboxでの無料配信されていた「STUPiD」は痛快なギターロックナンバーですね。歌もキテるし歌詞も強烈で思わず笑ってしまいました(笑)。

チャントモンキー:歌詞はWACKっぽいなと思いました。“だいたいが馬鹿しか聞かない歌だし”って歌ったあとに“今言ったこと全部嘘だから”っていう裏切りが楽しいなって。“死ぬほど楽しんでおこうよ”っていうのも一連のいままでの流れがあるからこそ光る言葉だなと思いました。マナコ・チー・マナコ:バンドサウンド色が強い曲ですね。間奏に長めのギターソロとうねるベースが入っていて、これはアイドルファンだけじゃなくロックバンドが好きな人もハマってくれるんじゃないかなって。強くお勧めしたい曲ですね。

ネオ・トゥリーズ:濁したりしないでストレートに歌っているのでBiSの状況にも当てはめられますね。自分たちが変えていかなきゃいけないんだって歌うときに気合いが入ります。


▲トギー

──個人的には“誰かのこと考えてちゃやっぱだせえな微笑みが”っていうところがツボです。

イトー・ムセンシティ部:私もこの曲の歌詞、すごく好きですね。天邪鬼で不器用な感じが出ていて“嘘だから”っていうのもかわいい。

トギー:私は“でもまだまだ始まらない だから死ぬほど楽しんでいきたい”っていうところが好きですね。これから何度もライブで歌っていく内にきっとデビュー当時のことを思い出すんだろうなって。

──ライブで盛り上がりそうですね。アルバムにはメンバーが作詞した曲も入っているのでぜひエピソードを教えてください。

マナコ・チー・マナコ:私が作詞した「strawberry girl」はピアノのきれいなイントロから始まるんですが、かなりハードでカッコいい曲です。

──タイトルはかわいいけど、けっこう物騒な歌詞ですよね。

マナコ・チー・マナコ:清純派アイドルが悩んで自分の殻を破っていく内容なんですけど、自分自身と重ねて書いた歌詞でもあるんです。私は学生時代は優等生で親にも期待されていたんですけど、“こんな人生に意味があるのかな?”って平凡な自分に嫌気がさした時期があったので、そのときの心境を投影させています。“いちごマシュマロ?”とか“乙女チック?”とか、かわいい言葉を使いつつ“殺ったるぞカス野郎”って思いきり否定していたりとか。それと“不法占拠”“希死念慮”、“自己嫌悪”というところはマイナスな言葉を並べているだけではなく韻を踏んで書いています。


▲イトー・ムセンシティ部

──過去の自分をぶち壊せという想いもあったんですね。

マナコ・チー・マナコ:はい。だからBiSに入った面もあるので。

──ネオ・トゥリーズさんは?

ネオ・トゥリーズ:私は「1,2,3!!!」という曲で作詞させてもらったんですけど、ストーリーではなく“脳みそ”とか入れたいなと思う単語を並べて“これ、どういう意味なんだろう?”って想像してもらえるような面白い歌詞にしたいなって。

──シュールで踊れる曲で炸裂していますね。

ネオ・トゥリーズ:っていうふうに聴かれたらいいなって。

トギー:私は「ナンデスカ?」っていう曲の歌詞を書いたんですけど、大人にだまされちゃダメだよっていう内容です。“心隠し近づいてくるよ”っていうのはだまそうとしている大人のこと。間違った方向に行きたくないので自分を戒める歌です。

──サビで“おー母ちゃん 父ちゃん”って歌っているのがインパクトあるんですが、どこから思いついたんですか?

トギー:デモの仮歌が私には“母ちゃん 父ちゃん”に聞こえたんです(笑)。なので信用できる存在として“姉ちゃん 兄ちゃん”も出てきます。

イトー・ムセンシティ部:私が書いたのは「teacher teacher teacher」です。アルバムの中でもかなりポップな曲なので暗い内容は合わないなと思って、“私が書けることってなんだろう”って。で、新潟から上京する前に書いたので家の前の田んぼを見て田植えの授業のことを思い出しながら書きました。


▲チャントモンキー

──え? これ田植えの歌なんですか? 

イトー・ムセンシティ部:そうです。“足ぬかるみ うまいこと進めない”とか“泥まみれ”とか。先生にもうちょっと丁寧にできるよって歌っている曲。

──先生に恋してる歌かと思いました(笑)。

イトー・ムセンシティ部:そう捉えられるかなと思いながら。ほかにも歌詞は書いたんですけど、それは恋愛ソングなんですよ。唯一の田植えの歌がまさかのOKになってしまったんです(笑)。

──みなさん視点がユニークなので、どんどん歌詞を書いたほうがいいと思います。アルバムの全体像としてはどう捉えていますか?

チャントモンキー:いままでアイドルが歌ってこなかったような曲や“これ歌って踊るの?”って思うような曲とか全然タイプの違う曲が入っているアルバムなので何回聴いても飽きない。すごく面白いアルバムになったと思います。

──確かに。第3期BiSの野望は?

マナコ・チー・マナコ:日本武道館って言いたいところなんですが、いまは大きい目標すぎてまだ現実味がないと思っているんです。

イトー・ムセンシティ部:そう。いま見るべきところはそこじゃないよねってメンバーと話してるんです。

マナコ・チー・マナコ:いまは目の前のことをがむしゃらにがんばって、どこに行っても人が集まってくれるグループになれるように。

──9月から初の東名阪ツアーもスタートしますね。

イトー・ムセンシティ部:そこでみんなの心をつかんで。

ネオ・トゥリーズ:一生懸命、目の前の目標をクリアして次に進んでいきたいと思ってます。

トギー:WACKのほかのグループのファンの方からも第3期BiSを認めていただいて好きになってもらえるよう頑張ります。

──第3期BiSのキーワードは?

チャントモンキー:全員が素人。オーディションに受かっただけの普通の人なので、ここから自分たちが変わっていけたら、女のコたちに勇気や希望を持ってもらえるんじゃないかと思ってます!

取材・文●山本弘子

※なお、当初のメンバー、マナコ・チー・マナコが方向性の違いを理由にデビュー前日にグループを脱退したため、BiSは4人体制で8月18日に東京・中野heavy sick ZEROで初ワンマンライブ「THiS is BiS」を開催。ライブでは新メンバーのオーディションを実施することがアナウンスされた


リリース情報

New Album『Brand-new idol Society』
2019年8月14日(水)発売
CRCP-40585/¥3,000(tax in)/全13曲収録
【収録曲】
1. STUPiD
2. BiS-どうやらゾンビのおでまし-
3. SURRENDER
4. リフレイン
5. BiS3
6. this is not a love song
7. 1,2,3!!!
8. absolutely meeeeee!!
9. ナンデスカ?
10. thousand crickets
11. teacher teacher teacher
12. strawberry girl
13. LET'S GO どうも

ライブ・イベント情報

<PAiNFUL TRiCKY SADiSTiC DEADLY TOUR>
2019年
9月14日(土)東京・下北沢SHELTER
9月21日(土)大阪・Live House Pangea
10月12日(土)愛知・新栄DAYTRIVE

◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報