【ライブレポート】WANIMA、ずぶ濡れフェスとコラボ「メンバーが2万人、増えたかと思うぐらい歌ってくれるやん」
WANIMAが、7月15日(月・祝)に4thシングル『Good Job!!』の発売を記念したワンマンライヴ<WANIMA x S2O JAPAN Good Job!! Release Party ~カオス!!ギネス!?日本初!!~>を県立幕張海浜公園にて開催した。
◆WANIMA ライブ画像
ライヴ当日は、深夜から朝方にかけて小雨が降り続いたが、日中にはすっかり晴れ模様になり、早い時間帯から会場周辺をお気に入りのWANIMA Tシャツで身を包んだ幅広い年代のファンが埋め尽くす。WANIMAのライヴにおけるお馴染みの光景ではあるが、少しばかり違うのは、「何が起こるのか!?」といつも以上にそわそわだったり、ワクワクしている様子が見受けられるところ。それもそのはず。本公演は、“世界で最もずぶ濡れになる音楽フェス”と称される、ダンスミュージックフェスティバル<S2O>の日本版とのコラボーレーションがなされており、「大量に水を放出します」とアナウンスされていたのだ。
ビーチに設置された特設ステージを埋め尽くした2万人がそのときを今か今かと始まりを待ちわびてたところ、定刻を10分ほど過ぎ、夏らしくアロハ姿のメンバーが「JUICE UP!!のテーマ」を背に登場。祭りを始めるぞと言わんばかりにKENTA(Vo/Ba)が飛び跳ねれば、フロアは爆発的な盛り上がりを見せる。まだ一音も鳴らしてはいないが、会場全体がいきなりトップギア。いかなるシチュエーションでもそうしてしまう彼らの求心力は本当に凄まじい。
その高まったテンションの中、オーディエンスをさらに焚きつける勢いを持つ「オドルヨル」を投下した瞬間、挨拶ばかりにと会場のいたるところで水が撒かれる、というか、噴水のようにとんでもない量が湧き出てくる(総水量はなんと100万リットル)。前述したように、「大量に水を放出する」という前情報で知ってはいたが、それでも面食らってしまうほどの勢いなのだ。WANIMAは常々、「みんなを驚かせたい」と語っているが、まさに有言実行。ライヴが始まって1分後には全身がずぶ濡れになり、これはとにかく楽しむしかないとすべてのオーディエンスがリミットを振り切ったのは想像に難くない。
ど頭からこの盛況っぷりとなれば、どこかで息切れがありそうなものだが、どこまでも疲れ知らずなのがWANIMAのライヴ。続く「OLE!!」でさらに加速し、KO-SHIN(G)の絶叫混じりの開催宣言から放たれた「渚の泡沫」、キレッキレのダンスチューン「昨日の歌」では2ビートに合わせて高速サークルピットも出現。そこから矢継ぎ早にドロップされた「サブマリン」のパワーも抜群だった。メンバー3人に先導され、心を解放し、自由に踊り、手を叩き、大きな声を上げるオーディエンス。ライヴの現場だからこそ生まれる、何物にも代えがたい化学反応。KENTAが「きた!きた!きた!」と叫んでいたが、それは会場全体の気持ちを代弁していたようにも見えた。
FUJI(Dr)がいつものあの人のモノマネとコール&レスポンスで会場を湧かせ、水は浴びてないものの、全身が汗でビショビショになったメンバーが熱っぽくプレイした「夏の面影」に続けた「つづくもの」はとても印象的だった。いちばん奥の奥まで響けと真摯な表情で、時には泣き出しそうになりながら歌うKENTA。歯を食いしばり、思いっきりギターを奏でるKO-SHIN。サウンドの根底を支え、力強いショットを繰り出すFUJI。会場が大きかろうが小さかろうが、すべての想いを届けたいという気持ちがありありと伝わってくる。何があろうとも信じられる頼もしさがその姿には漂っている。そんなステージから放たれる想いを受け止め、さらには降りかかる大量の水をエネルギーにし、どこまでも躍動するオーディエンス。会場の熱気はどこまでも上昇し続けていく。
そして、ここで新曲「夏のどこかへ」をプレイしたのだが、会場中から響き渡る歌声にはかなり驚かされた。三ツ矢サイダーのCMソングとしてTVでは流れており、先月には先行配信、今月頭にはMVも公開されてはいるが、まだCDリリース前(収録作品5thシングル「Summer Trap!!」は7月17日発売)。耳にして曲自体は知ってはいるものの、という人が多いんじゃないかと思っていたが、さにあらず。その浸透力の要因は、軽快なメロディーやノリだけではなく、KENTAがライヴ終盤に「カッコつけるなよ! スカすなよ! そのままいけよ!」と口にしていたが、そういった彼らの嘘偽りないスタンスが為せることだろう。また、ギターソロを弾くKO-SHINに対して起こった盛大なコール、いつも笑顔を絶やさないKENTAだが、会場の空気を感じ取って思わずこぼした優しい笑みという、外せないハイライトを生み出したことも記しておきたい。
また、「いつもは終盤らへんにやるけど、海も近いし」というKENTAの言葉から奏でられた「1106」に心を奪われた人も多かったのではないだろうか。KENTAが漁師だった亡き祖父へ歌ったこの曲。特別なギミックなど無くとも、一気に曲の世界観へ連れて行ってくれ、それぞれの感情が溢れ出していったのだ。
改めての意思表明とも言える「アゲイン」で会場をハンズクラップで埋め尽くし、中盤を過ぎてもさらにギアを上げる彼ら。KENTAのタイトルコールで大きな歓声が起こった「雨あがり」、飛び交う大量の水も相まって、カオティックな暴動と見紛うばかりのうなりが生まれた「BIG UP」とどこまでも攻め立てる。ビーチという環境がそうさせたのか、この日は強靭なナンバーが多く投下され、ふと周りを見渡せば、びしょ濡れで踊り、飛び跳ね、叫ぶ人ばかり。痛快すぎる状況しか目に入らない。かと思えば、「めちゃくちゃ毎日苦しい思いとか我慢とかしとる人たくさんおると思うから、今日1日ぐらいは楽しんで帰ってください」とKENTAが投げかけた後、「Hey Lady」の歌い出しをゆったりと始める懐の深さを見せつける。緩急自在のアプローチは現場で磨かれたものだろうか。この日、足を運んだからこそ味わえる嬉しさがあった。
すっかり日も落ち、風も冷たくなってきたが、そんな空気を一変させたのが「ANCHOR」だろう。この曲がいちばん好きだというKO-SHINも喜びを爆発させたような表情でギターをかき鳴らし、KENTAも曲中にオーディエンスと対話をしながら、温かいムードで包み込んでいった。そこから、KENTAが「メンバーが2万人、増えたかと思うぐらい歌ってくれるやん」と嬉しそうに語るほど大合唱が響き渡った「シグナル」、自分たち自身も集まったオーディエンスも、みんなの答えが見つかるようにと大切に歌い上げた「ANSWER」と続け、本編ラストは「いいから」。ステージには炎が上がり、激しいライティングで照らされ、会場にはまだその先があったのかと目を疑うような水が湧き出てくる。どこにも遮るものがない、思うがままに突き進める最高のシチュエーションが描かれていった。
まだまだこの場を離れたくないオーディエンスに呼び戻されたアンコールでは、「リベンジ」で一気にクライマックス級の熱狂を生み出し、巨大ウェーブを会場に起こしたのちには、抜群の疾走感を持つ「エル」をオーディエンスのリクエストにより披露。そこから、どこで聴いても“出逢えてよかった ありがとう”というリリックが胸を打つ「ともに」をみんなでともに歌い、締めくくりはすべてを噛みしめるように「花火」をプレイ。曲の終わりには海岸に何発も花火が打ち上げられ、ドラマティックなフィナーレとなった。
たっぷり2時間、全21曲。迷いや悩みにとらわれず、とにかく楽しめる空間や心温まるムードは変わらずとも、いつものライヴとはまたひと味違った非日常感に溢れ、決して忘れることができない格別な日だった。
文◎ヤコウリュウジ
撮影◎瀧本 JON... 行秀
◆ ◆ ◆
■セットリスト
2.OLE!!
3.渚の泡沫
4.昨日の歌
5.サブマリン
6.夏の面影
7.つづくもの
8.夏のどこかへ
9.1106
10.アゲイン
11.雨あがり
12.BIG UP
13.Hey Lady
14.ANCHOR
15.シグナル
16.ANSWER
17.いいから
en.リベンジ
en.エル
en.ともに
en.花火
■5thシングル「Summer Trap!!」
WPCL-13063 ¥1,400(税抜)
収録曲:
1.「夏のどこかへ」(三ツ矢サイダー2019 CMソング)
2.「サンセットストリップ」
3.「GONG」(劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』主題歌)
4.「Mom」
《初回生産限定仕様》
●「マツケンイエロー」(=黄色のカラーケース仕様) ※初回生産後の生産分については通常の透明ケースとなります。
●5thシングル「Summer Trap!!」購入ページ:https://WANIMA.lnk.to/summertrap
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