【インタビュー】ポップスピアニスト・ハラミちゃん、イチナナ生配信&動画から規格外の活躍へ

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■「X JAPANの〇〇は絶対弾いたほうがいい。これは(再生回数)伸びるよ」
■ファン全員がプロデューサーさんに


──そうしてポップスピアニストとして様々な楽曲をカバーするなか、先日のライブでハラミさんの演奏を見て、とにかくパフォーマンスに衝撃を受けたのがX JAPANの「紅」の爆演カバーだったんですね。

ハラミ:ふはははっ。

──ハラミさんの動画を見ると、X JAPANものはどれも大人気ですけど。X JAPANをカバーし出したきっかけはなんだったんですか?

ハラミ:リスナーさんから激プッシュがきたからです。「絶対弾いたほうがいい」って。私は失礼な話なんですが、全然聴いたことがなかったんです。私の親はカーペンターズとかスピッツとかが好きだったんで、穏やかな曲が家では流れてたんですよ。でも、なぜか私のイチナナのファン層はロックが好きな方がすごく多くて。その方達が1000本ノックのように私に次々と曲を教えて下さって。そのなかで「X JAPANの〇〇は絶対弾いたほうがいい。これは(再生回数)伸びるよ」ってものすっごいコンサルティングして下さって(笑)。“チームハラミ”としてハラミちゃんをもっとバズらせようってことで、お米ちゃん全員がプロデューサーさんになってX JAPANとB’z(※こちらのカバーも人気!)をプッシュしてきたんですよ。そのなかでも、X JAPANを弾いたときの盛り上がりがとにかく異常で(笑)。イチナナでイントロ弾いた瞬間から「ダメだ、もう泣く」とか「ヤバイヤバイヤバイ」とか、いままで見たことがない人の名前が突然出てきたりとか、みんなの反応が凄まじいんですよ! X JAPAN×ハラミの掛け算を求めてるのがイチナナのコメントですぐ分かって。YouTubeと違ってイチナナは反応がその場で分かる。そこが、生配信のすごいところなんですよね。

──それでX JAPAN×ハラミは実際に大当たりしたと。

ハラミ:そうですね。イチナナのお米さんたちは純粋にX JAPANのファンの方々が多くいて。あとはX JAPANの曲はピアノが入っているのでピアノとの親和性がとてもある。それでX JAPAN×ハラミがハマったんだと思います。

──X JAPANの楽曲をカバーしてみて、どんなことを感じましたか?

ハラミ:X JAPANの曲は“隠し味”みたいな要素がどの曲にも入っていて。例えば、コード進行のベースはめちゃくちゃ耳なじみはいいんだけれども、それをドラマチックに聴かせるための仕掛けが施されていたりして。その割合がすごいんです。耳なじみが8だとしたらドラマチックが2とか。これがドラマチックが8だと壮大すぎてずっとエモーショナルで、聴いてて疲れちゃうんですけど、X JAPANはそこの塩梅がすっばらしいんです。X JAPANの楽曲をコピーするときに、どの曲にもそれを感じて。これをハラミというピアニストがどうコピーすればいいだろうというところでは、試行錯誤する時間がかかるバンドではありますね。この曲はギターソロを完コピするのか、ベースのリズムもすべてコピーしてめっちゃ再現するパターンもあれば、よりピアノのメロディーをうねうねさせるやり方もあって。楽曲のイメージを崩さないように、かつ自分のオリジナリティーを出して調理していく過程にめちゃくちゃ時間がかかるので、X JAPANのカバーは大変なんですね。大変なんだけど、その家で調理して弾いて録音して弾いて録音してを繰り返している時間も楽しいんです。

──X JAPANのなかでも試行錯誤の時間がもっともかかったものはどれでしたか?

ハラミ:「紅」はかかりましたね。

──こうして時間をかけてカバーする曲の対極に、即興でリクエストに応えて弾くカバーがある訳ですね。

ハラミ:はい。イチナナで生配信するときは用意した曲を弾く時間と、それ以外にリクエストコーナーをもうけて即興で弾く時間。その両方で演奏をやるようにしてます。

──ハラミさんは好きなピアニストに上原ひろみさんの名前をあげられてましたが。どんなところにシンパシーを感じてらっしゃるんですか?

ハラミ:上原さんは全身がピアノ、ピアノの神に愛されたような人なんですね。私はピアノを弾くときのモットーとして「主役は曲じゃなきゃいけない」と思っていて。「私、こんなに弾けるんだぜ」っていうような弾き方って「すごいな」とはなるんですけど、圧倒されてしまって共感できないピアノになってしまうんですよ。これは私の価値観ですけどね。だけど、上原さんのピアノって、圧倒されるんですけどどこか共感する部分があって。

──あの弾いてるときの表情とか弾む動きを見てるとね?

ハラミ:そうです!そうです!音を操ってる姿に圧倒されながらもなにかを伝えてきてくれるから、「なんか楽しい」とか「ワクワクする」とか。お客さんも主体的になれるんです。ただ音を浴びせられてポカンとして聴く演奏というよりも、お客さんも前のめりになって聴きたくなる。そういうピアニストってあんまりいないなと思って。そういう意味で、上原さんは自分のなかでトップに君臨してますね。初めて上原さんの演奏を観たとき、本当に衝撃を受けましたから。「こんなに楽しんでることを人に伝えていいんだ」、「感情を無制限に届けていいんだ」って。そこで、いままで自分が思っていた概念がひっくり返りまして。そこから大好きです。あそこまで技術力があって、あそこまで楽しさを表現できたら。あの領域までいけたら私の人生、悔いなしです。相当時間がかかりそうですけど(笑)。


──ハラミさんは動画配信以外に単独コンサートも開催されていますが。今後もストリートピアノを弾く活動は?

ハラミ:続けていきます。身近にピアノを感じるという部分では、ストリートピアノは本当に素晴らしい文化なので、どんなに自分が有名になったとしてもストリートピアノは続けていきたいです。ストリートピアノって、いってしまえばアウェイなんですよ。場所も初めて、ピアノも初めましてで、いる人も知らない人ばかりじゃないですか? すべてが「初めまして」という環境で自分がピアノを弾いて。そんなアウェイな空間で、そこからコミュニケーションを生み出すというのにワクワクするんですよ。日本人ってシャイじゃないですか? だけど、音楽を1つ介するだけですごく距離が近くなるんですよ。去年YouTubeで日本で一番再生された音楽動画はストリートピアノ(※1)なんですね。なので、今後日本でもストリートピアノというカルチャーがどんどん広がっていったらいいなと思ってます。

──今後やってみたいと思っていることは?

ハラミ:もっといろんな年齢層にピアノを伝えたいので、幼稚園で弾いたり老人ホームで弾いたり。ストリートピアノだけでは届かないところに自分から足を運でピアノを弾いて、ピアノを身近に感じてもらってピアノの楽しさを広げていきたいです。またピアノ1本ではなく、歌手の方とピアノでコラボレーションすることで、逆にピアノのよさに気づいていただけることもあると思ってるので。ピアノ1本にこだわらず、今後はそういうコラボレーションもしていきたいです。

──カバー動画がきっかけで、広瀬香美さんとの交流が生まれたようにBARKSを通してX JAPANのYOSHIKIさんとピアノのコラボとか生まれるといいですね。

ハラミ:やりたいです! アツすぎますね。それは。

──すでにSUUMOのCMで「スーモマーチ」を弾くYOSHIKIさんも。

ハラミ:すぐにカバーしました。動画でもアップしてます。

──まずはイチナナの生配信やYouTube、ストリートピアノでハラミさんのピアノに触れてもらって。

ハラミ:ピアノの人口を増やしたいですね。ピアノを楽しく弾いてもらいたい。いまは『鬼滅の刃』が流行ってるから、LiSAの「紅蓮華」とか弾けたら学校で超ヒーローになれるじゃないですか? そこで右手だけでも「紅蓮華」のメロディーが弾けるようになりたいとか。大好きな曲ってみなさん絶対にあると思うんですね。それをピアノで弾ける。そんな楽しさもあるんだよというのを知ってもらいたいです。

──分かりました。では最後に、BARKSの読者のみなさんにメッセージをお願いします。

ハラミ:読んでくださってありがとうございます。音楽ファンの方のなかには、カバー動画とか原曲を別の人がアレンジしたものって抵抗がある方もいるとは思うんですが。新たなアーティストが生み出した別のものとして、1度聴いてみてい欲しいなと思います。そこから原曲に戻ってよさを感じたり。カバーと原曲、そこを行き来して聴く音楽の楽しさもあるなと思うので、よかったら1度聴いてみてください。

取材・文◎東條祥恵

※1 YouTube発表「YouTube Rewind 2019」日本 - 2019年トップトレンド動画ランキングより(BARKS編集部調べ)

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