【ライブレポート】MIMIZUQ、第2章へ
MIMIZUQが6月22日(土)東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて、結成1周年を記念したワンマンライブ<Rain drop Tear drop>を開催。1年間の活動の集大成でありながら、新曲4曲を含むステージは、ここから始まる第2章の幕開けでもあった。彼らはそのステージで、10月にMIMIZUQ主催イベントツアー<ナミダの森の木の下で>を東名阪で開催すること、その初日の10月5日(土)より会場通販限定シングル「Rain drop Tear drop」をリリースすること、12月14日(土)愛知・名古屋Heart Landを皮切りに東名阪ワンマンツアー<MIMIZUQと秘密の絵本>を開催することを発表した。
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雨がポツリポツリ降って 空も泣いているのかな──
「Rain drop Tear drop」のそんな歌詞がこぼれ落ちてきそうな雨空の6月22日(土)。ちょうど1年前の2018年、バンド結成の発表をした同じ日にMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでワンマンライブを開催したMIMIZUQ。雨音や雷鳴響くSE「ナミダQUARTET」が終わる頃、会場が暗転し1曲目の「風のハーモニー」の演奏が始まった。やがてステージに張られていた黒幕が落とされると、初披露となる新衣装に身を包んだメンバーの姿が露わになり、大きな歓声があがった。エンディングの印象的な4人のコーラスから次曲の「NEW HOPE」へ。MIMIZUQの魅力は挙げるとキリがないのだけれど、楽曲の良さと、メロディを描くTAMA(Vo)のイノセントなヴォーカルはその最たるところ。この「NEW HOPE」ではその良さがふんだんに発揮されていて、特に、TAMAの開放感のある歌声と、それを後押しするようにマーチする楠瀬“poco”タクヤ(Dr)のリズム、軽快な足取りを刻むseek(B)のベースライン、サポートギターのSINが鳴らすキラキラと輝くようなリフ、そしてタンバリンを鳴らすAYA(道化)の笑顔が一体となって飛び込んでくるサビで、思わず溢れてきたものがこぼれて落ちてしまった。しかし物語は待ってはくれない。森に突然嵐が来たかのように、ダークチューンの「[syrup]」が空気を一変。感情をむき出しにするようなTAMAのヴォーカルが心を引っ掻いた。
メンバー全員がフロントに出てきて踊り歌う「Secret Parade」、ファンタジックな「angel song」、TAMAのヴォーカルを際立たせたクールなバンドアンサンブルが印象的だった「VIOLET SKY」、夕焼けのようなオレンジ色の光の中で聴いた「夏の夕立、水深300メートル」では、seekのアップライトベースがメロウなグルーヴを牽引していた。そして3連ロッカバラード「Piggyback」のこの上ない温かさ。間奏のAYAの琴線に触れるギターソロが、より一層涙を誘うのだ。
今回は1周年のワンマンステージということもあり、MIMIZUQの持ちうる全曲が披露された。そこに新曲を織り交ぜ、これから先のMIMIZUQを提示した。「(2年目に入り)森の動物たち第2章の始まりです。第2章は“本”をテーマに森の物語を楽しんでもらおうと思っています」。AYAの言葉が終わると、流れ始めたのは物語を朗読する少年の声。少年は何かを探して森の中へと歩を進めたようだ。冒険の始まりは「鎮む森に降る慈しみの雨」。楠瀬が打ち鳴らすトライバルなリズムが気持ちを逸らせる。“降り続く雨には涙が混じっているのか”──少年の朗読は曲と曲を繋ぎ、新曲のミディアムナンバー「涙の成分」へ。曲中、AYAがストーリーテーラーのように“痛み”“夢”“時間”“想う”などのキーワードが書かれた紙をめくっていく。そして、夜の森を駆け抜けるような疾走感ある「Rain drop Tear drop」へ。物語をなぞるような歌詞を歌ったTAMAは、歌い終わりに手にしていた本を音を立てて閉じた。TAMAが放った「おしまい」の一言にハッとし、どれだけその物語に引き込まれていたかを知った。
新曲「走れ!走れ!走れ!」は、TAMAとseekの歌の掛け合いもクールなパンクチューン、「東京INVADERZ」ではタオルが乱舞し、「暗闇で光る」では高らかに手拍子が鳴った。そして「ジグザグザ」と、終盤戦はアップチューンを畳み掛け、会場のボルテージをグッと引き上げたところで、「Grand Guignol」へ。本編を一冊の本に例えるなら、エピローグにあたるラストナンバー。終わってしまう寂しさに、思わずメンバーの一挙手一投足を目で追いながら、一音一音を自分の心に繋いでいく。その時間をとても大切に思う。そんな気持ちになるエンディングは、他ではなかなか味わえない。
感動冷めやらぬ中、再びステージに登場したメンバーは、先述した通り、MIMIZUQの第2章としての東名阪イベントツアーと限定シングル「Rain drop Tear drop」の発売、そして東名阪ワンマンツアーの開催を発表。それぞれが1周年を迎えた想いを語った後、本公演4曲目の新曲「CHILD ROOM」を披露。持ち主を大切に想うおもちゃの気持ちを、キャッチーなメロディに乗せたナンバー。メロコア調の「PINKY PUNKY PARTY!!」では、AYAが大きなフラッグを振りながらフロアを駆け、会場はさらにヒートアップ。そしてMIMIZUQの始まりの曲である「ずっと好きでした」を歌い上げ、ステージを締めくくった。
「ナミダミュージック」をコンセプトにスタートした彼らの音楽は、人肌のように温かい。その温度が涙を誘発させるのだと、この日の公演を観て思った。それは、子供の頃に読んでいたお気に入りの絵本を開いた時の感覚に似ている。辛いことや苦しいことがあっても、扉を開けばそこには笑顔の彼らがいて、MIMIZUQの世界を歌っている。「おかえりなさい」と迎えてくれて、すべてを肯定してくれるような温かさが、明日に踏み出す希望のような光が、このステージにはあった。彼らが目指す第2章の世界は、それをより色濃くしてくれそうだ。そして、本公演の模様はニコニコ生放送で7月29日(月)に放送されるとのこと。MIMIZUQのこの温かいステージを、ぜひ体感してほしい。
文◎大窪由香
撮影◎コザイリサ
<MIMIZUQ 2019 ONEMAN TOUR「MIMIZUQと秘密の絵本」>
2019年12月14日(土)愛知・HeartLand
<MIMIZUQと秘密の絵本〜bird〜>
2019年12月15日(日)大阪・アメリカ村 DROP
<MIMIZUQと秘密の絵本〜wind〜>
2019年12月28日(土)東京・青山RizM
<MIMIZUQと秘密の絵本〜moon〜>
2019年12月29日(日)東京・青山RizM
チケット料金:¥5,000(税込/ドリンク代別)
一般発売日:2019年07月27日(土)10:00〜
[先行抽選受付]
2019年6月22日(土)22:00〜7月7日(日)23:59まで
詳細:https://www.diskgarage.com/info/mimizuq201910_12/
<MIMIZUQ主催EVENT TOUR「ナミダの森の木の下で」>
2019年10月05日(土)大阪・心斎橋VARON
<ナミダの森の木の下で 第5回>
2019年10月06日(日)愛知・ell.SIZE
<ナミダの森の木の下で 第6回>
2019年10月26日(土)東京・渋谷GARRET
出演:MIMIZUQ/defspiral/LIPHLICH
チケット料金:¥5,000(税込/ドリンク代別)
一般発売日:2019年07月27日(土)10:00~
[先行抽選受付]
2019年6月22日(土)22:00〜7月7日(日)23:59
詳細:https://www.diskgarage.com/info/mimizuq201910_12/
会場・通販限定シングル「Rain drop Tear drop」
¥1,200(tax in)/SWIM-0003
[収録内容]
1.Rain drop Tear drop
2.否メクリ人形 -Instrumental-