【インタビュー】パラディン「日本のGALNERYUSには影響を受けたよ」
1980年代パワー・メタル&現代型スラッシー・サウンドに、表情豊かなヴォーカルとテクニカルなプレイを織り込んだデビュー・アルバム『Ascension』でデビューを果たしたパラディンは、アトランタから登場した注目のニュー・カマーだ。
キャッチーなメロディと燃えたぎるギターをブレンドし、独自のパワー・スラッシュ・メタルを聴かせる彼らだが、2人のギタリストはGALNENYUSからの影響を公言しており、「Shoot For The Sun」のミュージック・ビデオではSYUのクライング・スター・モデルを弾いている。アニメやゲームといった日本カルチャーからの影響も色濃く受けているようだ。
メロディックでテクニカルなヨーロッピアン・メタルを牽引するパラディンから、話を聞いた。
──デビュー・アルバム『Ascension』が完成しましたが、手応えはどうですか?
テイラー・ワシントン(Vo、G):オリジナル曲で構成した自身のアルバムは初めてだから、エキサイティングな気持ちでいっぱいだよ。1980年代のメタルからメロディック・デス・メタルの影響を受けたオレ達のパワー・スラッシュ・サウンドを49分間、存分に楽しむことができる。1stシングル「Shoot For The Sun」も、ライヴでプレイするには難易度が高いテクニカルな曲だけど、キャッチーな曲で気に入っているんだ。
──パラディンはどういきさつで生まれたバンドですか?
テイラー・ワシントン:2015年の結成当初はギターのアレックスとドラマーの3人組だった。それ以前はSYBARITICというバンドで一緒にプレイしていたんだけど、解散したので3人でパラディンを結成して、とにかくメロディックで速くてテクニカルな音楽を作り上げることを目指したんだ。その頃はもっとメロディック・デス・メタル寄りのサウンドだったな。その後にクリーンなヴォーカルを追加して、よりパワー・メタルな方向に軌道修正することになった。
──もともとどんな音楽に影響を受けてきたのですか?
テイラー・ワシントン:パワー・メタルとプログレッシヴ・メタルだね。ANGRA、SYMPHONY X、PAGAN'S MIND、LOST HORIZON、CIRCUS MAXIMUS、SONATA ARCTICA、THEOCRACY。そして日本のGALNERYUSに影響を受けたよ。1980年代のメタルにも影響を受けた。EXTREME、RACER X、WHITESNAKE、SKID ROWとかね。KING'S X、NEVERMORE、COHEED & CAMBRIAにも燃えたよ。ヴォーカリストはラッセル・アレン、ファビオ・リオーネ、ダニエル・ハイマン、ジェイムズ・ラブリエ、ブルース・ディッキンソン、ロニー・ジェイムス・ディオが最高。ここでは書ききれないけどギタリストは、ポール・ギルバート、ジョン・ペトルーシ、SYU、ヌーノ・ベッテンコート、タイ・テイバー、キコ・ルーレイロに多大なる影響を受けたし、猛烈に練習したな。
アンディ・マッグロウ(B):オレにとってはマイケル・ジャクソン、METALLICA、BLACK SABBATH、そして祖父であるジム・マッグロウが大切なアーティストだね。ベーシストはクリフ・バートンとギーザー・バトラーが多大なる影響を与えてくれた。そしてレイナルド・パラ-サンティアゴには最大の敬意を表している。彼なしには今の自分は存在しないね。
ネイサン・マキニー(Dr):俺はIN FLAMES、CHILDREN OF BODOM、BLIND GUARDIANなんかが好きだった。そこからブラック・メタルやデス・メタル、そしてニュー・メタルにはまっていったんだ。とにかく全ての音楽がオレに影響を与えてくれたと思う。あと1970年代のプログレもいいよね。
──デビュー・アルバムのカヴァーやバンドの写真を見た時に日本の文化に影響を受けていると感じましたが、その点いかがですか?
テイラー・ワシントン:ギターのアレックスは日本のカルチャーが大好きなんだ。オレも日本のアニメのTシャツを着ているしね。憧れの地の日本へ行きたいし、ライヴも実現できたら最高だね。オレ達の夢なんだ。アルバム・カヴァーは天野喜孝が描いたアートワークと同じようなイメージにしたかったから、地元アトランタのアーティストにお願いして描いてもらったものだよ。ファイナル・ファンタジーIVのキャラクターからのインスピレーションも採り入れている。
アレックス・パーラー(G):俺は、プログレッシヴ・パワー・メタル、スラッシュ・メタル、1970年代と1980年代のハード・ロック、メタルとヴィデオ・ゲーム・ミュージックが大好きなんだ。METALLICA、IRON MAIDEN、SCORPIONS、ANGRA、GALNERYUS、DREAM THEATER、X JAPANなんかに影響されたし、ウリ・ジョン・ロート、ゲイリー・ムーア、ジョン・ペトルーシ、SYU、マーティ・フリ-ドマンが好みだね。日本のバンドやミュージシャンを尊敬していて、植松伸夫、近藤浩治、すぎやまこういち、目黒将司、久石譲といったコンポーザーが大好きで、いつも彼らの音楽を聴いているんだ。幼いころはX JAPANに夢中になっていたし、最近はあのパワフルなヴォイスが素晴らしい浜田麻里やゲイリー・ムーアのようなギターを弾く増崎孝司のプレイの大ファンなんだ。
──GALNERYUSにも影響を受けたんですよね?
テイラー・ワシントン:オレ達はGALNERYUSとSYUの大ファンだよ。SYUのテクニックとギターから放たれるエモーショナルなフィーリングは最高だ。彼らは今年9月に開催されるProgPower USAに参加してアメリカでライヴを行う予定だから今から待ちきれないよ。しかも地元アトランタさ。絶対観に行くし、エキサイトしてどうにかなってしまうかもしれないね(笑)。
──「Shoot For The Sun」のビデオではSYUのクライング・スターを弾いていますね。
テイラー・ワシントン:ビデオでは2人ともEdwardsのクライング・スターを弾いている。アレックスが数年前に白のモデルを購入してね、それを弾かせてもらったら一発で気に入ったからオレは黒を買った。ユニークなシェイプだし、アメリカではまだ誰も使っていないモデルでとてもレアなんだ。何より、GALNERYUSのファンがそれに気が付いて、オレ達の音楽とつながれば最高だな。
──デビュー・アルバムでの音楽の方向性はどのように考えていましたか?
テイラー・ワシントン:パワー・メタル、スラッシュ・メタル、そしてメロディック・デス・メタルの要素をもとにオレ達らしいアルバムを作ること、そして自身が大好きで聴いてきた音楽やプレイしてきたことを組み合わせること。なにより最大の要素はメロディだよ。ギターでも歌でもメロディックでキャッチーなものが好きだし、その中に速さを加味することを目指していたんだ。
──アルバム・タイトル『Ascension』に込めた意味は?
テイラー・ワシントン:これはバンドに対するオレ達のヴィジョンを表したものなんだ。最初の大切なアルバムだから、ある意味バンドの発射台になるべきだと思って、できる限りアセンション(上昇)したいという気持ちからこのタイトルに決めたんだ。
──デビュー・アルバムのセールス・ポイントを言葉にすると?
テイラー・ワシントン:ガッツあふれるパワー・メタルかな。曲は速くてスラッシーだしメロディック、ギタリスト必聴のアルバムだし、フラッシーなリフ/ソロ/ハーモニーがてんこ盛りになっている。ソロはテクニカルだけどメロディ感覚は忘れていないし、クリーンなヴォーカルはブルース・ディッキンソンとファビオ・リオーネが比較対象だと思う。デスヴォイスやスクリームの要素も織り込んでいるし、聴きどころ満載の現代型メタル・アルバムになっているよ。
──絶対聴いて欲しい曲を選び出すとすれば?
テイラー・ワシントン:1番は「Shoot For The Sun」だよ。出だしのスーパー・シュレッドなギター・リフとパワフルなヴォーカルが手加減なく迫りくるだろ?ソロはMegaMan(日本のロックマン)にインスパイアされた。次は「Awakening」かな。最もパワー・メタルな曲だね。間違いなくGALNERYUSの影響が感じられると思う。「Carpe Diem」にはメロディック・デスのフィールがある。コーラスはキャッチーだしソロも素晴しいし、後半ではシンガロングできる。「Call Of The Night」は最もスラッシュな曲で、最初から最後までアクセル全開だし、ギター・ソロが続いたあとにブレイクダウンするところが特徴的だと思う。
──日本でのライブも楽しみにしています。
テイラー・ワシントン:サポートと励ましの言葉をありがとう。いつか君たちのためにプレイすることを望んでいるよ。日本でのライヴ実現が目標リストの最重要事項だから、夢を実現するためにも突き進んでいくだけだ。ARIGATO。
取材・文:桜山 喜一
パラディン『Ascension』
BKMY-1085 ¥2,222(税抜価格)
※輸入盤:国内流通仕様(オビ、プロフィール、インタビュー付)
1.Awakening
2.Divine Providence
3.Carpe Diem
4.Call Of The Night
5.Black Omen
6.Fall From Grace
7.Bury The Light
8.Shoot For The Sun
9.Vagrant
10.Dawn Of Rebirth
11.Genesis
Produced by Paladin & Matt Smith(Theocracy)
・Taylor Washington(g/vo)
・Alex Parra(g)
・Andy McGraw(b/vo)
・Nathan McKinney(ds)