【インタビュー】MINAMI NiNE、パンクが香る男っぽいロック感と良質なポピュラリティを兼ね備えた個性にさらなる磨き
■初めてMINAMI NiNEに触れた人を巻き込んで
■そこで得たエネルギーを次回作にも詰め込んでいきたい
――続いて「IMAGINE」のプレイに関する話をしましょう。今作を録るにあたって、プレイや音作りなどでこだわったことは?
ヒロキ:ベースは前作の「LINKS」よりも、ちょっと難しくなっています。たとえば、「ダイナミック琉球」はBメロで細かいフレーズを入れたり、Aメロはレゲエのリズムに合わせたベースを弾きつつ歌うようになっていたりするんです。他の曲でもベース&ボーカルのベースとしては難しいラインやリズムの取り方を結構やっているので、歌を歌わないベーシストの方が聴いても面白いと感じてもらえるんじゃないかなぁと個人的には思っています。あと、「フレグランス」のギター・ソロのバックのベースは、すごく気に入っています。ベースが支えるんじゃなくて、ギターとベースの両方がグイグイ行っているという(笑)。そこは、ライブでも見せどころになる気がしますね。ギターに負けないくらいベースが前に出て“ブワーッ!”と弾いてもいいところなのかなと思うんですよ。そういうところも含めて、「IMAGINE」を聴いてベース&ボーカル人口が増えたらいいなと思っています。
――そういう魅力を湛えたベースになっていますよね。では、今作の歌に関しては、いかがでしょう?
ヒロキ:「LINKS」の時は、EP全曲を通して歌をダブリングすることにチャレンジしたんです。今回は1本でやらせてくださいとお願いして、ライブで聴いた人が感じる歌に近いところに持っていきました。だから、エモーショナルな曲は本当に“ガッ!”と歌っているし、丁寧に歌うべき曲もきれいに歌っていくというよりは、“フワッ”と出す感じを大事にしました。あと、今回ワラビノのコーラスで、すごく高い声を出しているパートがあるんですよ。ずっと声が出ていなかったのに、本番でいきなり出たんだよね?
ワラビノ:そう。唐揚げを食べたら高い声が出た(笑)。
――えっ、唐揚げですか?
ヒロキ:はい(笑)。“唐揚げを食べると高い声が出る説”というのがあって(笑)。
ワラビノ:前にアコースティック・ライブを観にいった時に、演奏している人が声が出ねぇとか言いだして。それで、ライブ中に唐揚げを買いにいったんですよ(笑)。しかも、その人は噛む力が赤ちゃん並みなのか、5分くらい噛んでいたんです(笑)。その時は“なんだよ、こいつ?”と思ったけど、レコーディング中にそのことを思い出して、唐揚げを食べたら声が出るかもしれないと思って。それで、唐揚げを買ってきて食べたら、“俺、こんなに声高かったっけ?”というくらい声が出たんです(笑)。
ヒロキ:メチャクチャ高い声が出て、みんなビックリしました(笑)。
ワラビノ:俺もビックリした(笑)。自分の声じゃないと思いました(笑)。そんなこともありつつ今作のギターに関しては、前作がメジャー1発目の作品ということで、アレンジの面ですごく勉強することができたんですよ。インディーズ時代には思いもよらなかった自由な発想や、3ピースということに囚われない音の構築の仕方を学んで、それを今回すごく活かせたと思っています。“曲ができました。ギターどうしよう”となった時に、想像するアレンジの幅がより広くなった。だから、今回ギターはいろんなことをしているけど、時間はあまりかからなかった。“フッ”と湧いてきたものをそのまま弾いてOKということが多かったし、できあがったものも心地好い仕上がりになりましたね。歌の邪魔をせずに、より楽曲をドラマチックにするギターをイメージしていて、それはひとつ形にできたんじゃないかなと思います。
ヒロキ:曲を作ってベースを弾きながら歌っている僕から見ても、ワラビノは型にハマっていないところがすごくいい。“パンクはこういうギターじゃないとダメだろう”とか“メロディックなものだったら、こうでしょう”という思考が全くないんですよ。柔軟な頭で全く違うところから持ってきて、それをはめることで独自のものになる。特に今回はそれが色濃く出ていますね。その一方で、「Family」みたいにレゲエやスカ、ロックンロールといったルーツ・ミュージックの王道的なギターもパッと弾けるし。ワラビノは本当に幅が広いなと思います。
ワラビノ:それは広く、浅くやっているから(笑)。
▲SUPER EP「IMAGINE」【初回限定盤】
▲SUPER EP「IMAGINE」【通常盤】
――いやいや。いいなと感じる音楽が多くて、それぞれをしっかり咀嚼されていることを感じます。それに、エモーショナルなギター・ソロも聴きどころです。
ワラビノ:ギター・ソロも頭の中で作っていく感じでした。曲を何回か聴いて、こういう感じのソロかなとイメージするんです。僕は実際にギターを持ってソロやイントロのメロディーを考えるのは苦手なんですよ。スケールはあまり知らないし、手癖を活かすと似たような感じになってしまう。なので、頭の中でイメージして、それをギターに置き換えて、そこに必要なものをつけ足していくというやり方をしています。
スケロク:そういう作り方だから、1パターンにならないんだね。僕はプレイ的には前作とあまり変わらなくて、“何も考えずに真っすぐ叩く”ということを意識しました。ただ、音の面で大きな変化があって。前回は自分が高校生の頃に使っていたドラムで全曲録ったんですけど、今回はテクニシャンの方がいろんな種類のドラムセットやスネア、シンバル、スティックを持ってきてくれたんです。それで曲ごとの僕の要望に合わせて、1曲1曲ドラムセットを変えて、スティックまで変えたりしたんです。スティックの持ち方や叩く位置まで変えて録っていった。さらに、1曲の中でもBメロはこのスネアに変えようとか、シンバルも変えようというくらい、細かくサウンドを変えながら今回は作っていきました。
▲ワラビノ(Gt&Cho)
――丁寧な作業をされたんですね。そういう録り方でいながら、こじんまりとしたドラムになっていないこともポイントです。
スケロク:生々しいドラムにすることをすごく意識しました。聴いた感じはナチュラルだけど、よく聴くと細かいことをしているのがわかるというところに落とし込みたかったんです。
――プレイ的にも「Killer song」の超高速ビートや「Family」のレゲェ・パートのパーカッシブなリズム、しなやかにロールする「Imagine」など、表情豊かなドラミングを味わえます。
スケロク:今回は速いビートが多いし、「Killer song」は今までの中でも一番速いと思います。ただ、38秒とかなので(笑)。“ガッ!”と全力疾走して、“はい、終わり!”という曲なので、苦にはならかった。「Killer song」はもうライブでもやっていて、1回のライブで3回やったりしています(笑)。
ヒロキ:3回やっても、他の曲より短いという(笑)。
スケロク:そうそう(笑)。あと、「Family」のレゲエ・パートは、ギロを入れました。ギロは簡単だろうと思ったら、すごく難しいんですよ。鳴らし方がわからないので、YouTubeでギロ奏者の動画を見て研究しました。今回はタンバリンを結構使っているし、ホイッスルも使ったりしていて、そういう楽器を録るのも楽しかったです。
――「IMAGINE」はバンド感を活かしたストレートなサウンドですが、それぞれが細やかなアプローチをすることで、物足りなさを感じさせないものになっていることがわかります。さて、「IMAGINE」という良質なEPを完成させて、今後は沢山のフェスやイベントに出演することも決まっていて、今年の夏はMINAMI NiNEにとって良い夏になりそうですね。
ヒロキ:自分達も楽しみにしています。「IMAGINE」を作ったことで、この作品を聴いてMINAMI NiNEを見にきてくれる人もいると思いますけど、フェスでたまたまその場にいた人や、ライブハウスで初めてMINAMI NiNEの音楽を聴いた人にも、“うわっ、なんだこのバンドは!?”と思ってもらえるようなライブができると思うんです。だから、そういう機会をできるだけ増やして、初めてMINAMI NiNEに触れた人を巻き込んで、そこでみんなから得たエネルギーを次回作にも詰め込んでいきたい。それを繰り返していけば、どんどん作品としてデカくなっていくだろうし。そこに向けた第一歩ということで、今年の夏は本当に楽しみです。
ワラビノ:「IMAGINE」は、間違いなくMINAMI NiNEの最高傑作だと思っています。人間味が詰まっているし感動できるし笑えるところもあって。それをライブでもしっかり表現して、自分達のライブの時はもちろん、フェスでも対バンでもお客さんを一番感動させるバンドになりたい。それを実現させるために、全力で「IMAGINE」を伝えていこうと思っています。
スケロク:2人と同じ言葉になってしまいますけど、新しい武器を手に入れたので、今後のライブではそれを使って、今まで以上にお客さんを楽しませたり、感動させたり、なぎ倒したり……。
ヒロキ:なぎ倒すって(笑)。
スケロク:おかしい?(笑)じゃあ……圧倒ですね。お客さんを圧倒するようなライブをしたいと思っています(笑)。あとは、MINAMI NiNEはイメージとライブを観た時の印象にギャップがあると思うんですよ。それが上手く作用して、フェスや対バンで初めて僕らを観た人に強い印象を残せる気がするんですよね。
ヒロキ:そうだね。今回のモノクロのアーティスト写真からは、すごくヘヴィでアグレッシブな音楽をイメージすると思うんですが、このアー写のバンドが「IMAGINE」を歌っているとは思わないですよね(笑)。実際に触れてみたらエモかった……という。それがMINAMI NiNEの面白さのひとつになっていると思うので、上手く活かしていきたいですね。それに、このEPの後、すぐに次回作の制作に入ろうと思っていたから、「IMAGINE」をフォローするツアーは予定していなかったんです。だけど、思っていたよりも良い作品ができたので、なんとかツアーができないかなと思って、今計画しているところです。なのでツアーも楽しみにしていてください。
取材・文●村上孝之
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リリース情報
【初回限定盤】UPCH-7496 \2,037(税抜き)
【通常盤】UPCH-2185 \1,556(税抜き)
1.群青
2.Killer song
3.ダイナミック琉球
4.Family
5.フレグランス
6.Imagine
【初回限定盤DVD内容】Road to New Mexico
ライブ・イベント情報
2019.06.16(日)大阪府大阪スクールオブミュージック専門学校
MINAMI NiNE×激ロック「IMAGINE」 Release Special Live
2019.7.1(月)下北沢LIVEHOLIC
観覧無料/エントリー招待制
<応募方法> こちら >> https://minami-nine.com/news.php?id=2911
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「BLAST」 TOUR 2019 ~好きな匂いは木の匂い!帰って来たよ岩手県~
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「ワンダーワンダー」TOUR
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八食 SUMMER FREE LIVE 2019
2019.07.28(日)青森県八食センター駐車場特設ステージ
w/ 出演者 ,27日(土),・39degrees,・THE CHERRY COKE$,・COUNTRY YARD,・dustbox,・GOOD4NOTHING,・G-FREAK FACTORY,・HER NAME IN BLOOD,・Mrs.WiENER,・NUBO,・ONIONRING,・OWEAK,・PAN,・rhyrhyrhythm,・SECRET7LINE,・SHIMA,・S.M.N.,・SPACE BOYS,O.A : Milestone for 10 years
28日(日),・Dizzy SunfIst,・DRADNATS,・THE FOREVER YOUNG,・HEY-SMITH,・HOTSQUALL,・INFOG,・MINAMI NiNE,・Northern19,・Re:Turn,・SABANNAMAN,・SABOTEN,・SHANK,・STUNNER,・四星球,・SWANKY DANK,・TOYBEATS,・waterweed,O.A : CASTAWAY
rockin'on pre.
「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019」
2019.08.03(土)茨城県国営ひたち海浜公園
SKALAPPER・響のホール pre.
LOCAL SOUND CALLING 2019
2019.09.07(土)福井県響のホール他4会場
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