【インタビュー】ジェイク・E・リー「オジーとまたやれたら、良いものができると思うよ」
ジェイク・E・リー率いるレッド・ドラゴン・カーテルが4年ぶりの来日公演を果たした。オジー・オズボーンの2代目ギタリストとして脚光を浴び、バッドランズでの活躍を通し未だに日本でも絶大な人気を誇るジェイクだが、パーマネントなバンドとして完全復活を遂げ、ニューアルバム『PATINA』でも円熟したギタープレイを聞かせてくれている。
来日公演では、オープニングからジェイクのモチベーションの高さが伺えるプレイに、オーディエンスも大歓迎で応えていた。レッド・ドラゴン・カーテルの楽曲はブルージーでありながら、そのスリリングなリフ、バッキングはジェイクそのものであり、骨太な音色と会場の出音も素晴らしい。マラカスやタンバリンを効果的に使いながら伸びやかな歌声を聴かせたダレン・スミス(Vo)は、ハーレム・スキャレムではドラマーとしてお馴染みであり、スキッド・ロウでも活躍したフィル・ヴァローン(Dr)のドラムソロコーナーではツインドラムも披露、観客とのコミュニケーションやアンソニー・エスポジート(B)をフィーチュアするのも上手い。
バッドランズの楽曲も披露され、擬似ディレイやネックベンド等、往年のジェイク・フェイクが次々と炸裂したプレイでは、その立ち姿をもふくめ、今なお健在なギターヒーローの姿をみせてくれた。
東京公演の直前に行ったジェイクの単独インタビューでは、ステージ上の姿とは違った穏やかで静かな面持ちで正直な気持ちを語ってくれた。
──4年ぶりの来日ですね。
ジェイク:歳を取ったよね(笑)。でもナチュラルでしょ?日本は大好きだから、とても嬉しくてワクワクしているよ。
──ニューアルバム『PATINA』は、1stアルバムに比べバンドっぽくなったと思います。ご自身ではいかがですか?
ジェイク:そうだね、1stアルバムは細切れに作った感じが凄くあるんだ。プロデューサーのケヴィン・チャーコがドラマーを連れてきて、それからベーシストを連れてきてって感じだったし、ヴォーカルも色々な人がやってくれた。アイアン・メイデンの初代シンガーのポール・ディアノも参加してくれたけど、彼はイギリスに住んでいたから実際に会ったことがないんだ。一緒にアルバムを作ったのに、それってあり得ないよね?そういう事にも違和感があったから、今回は昔ながらのやり方で、みんなで一緒に作ったんだ。だからバンドらしさも出たと思うし、よりまとまりのあるものになった。
──同時にあなたのルーツも感じました。バッドランズや2005年のソロ作品『Retraced』を思い起こすような。
ジェイク:『Retraced』も全員が集まって作った作品でやり方が同じだったから、自然でオーガニックなものだったよね。あまりコンピューターを使った無機質なものにしたくなかったし。バッドランズもそうだし、もちろんオジーもね。アルバム作りはそうあるべきだと僕は思うけど、レッド・ドラゴン・カーテルの1stアルバムはケヴィン・チャーコが世界的に有名なプロデューサーなので「彼とやってみたらどんなかな?」と思ってやってみたかったんだ。
──今回はマックス・ノーマンですが、久しぶりの彼との仕事はいかがでしたか?
ジェイク:マックスは素晴らしい。彼に会ったのは25年ぶりくらいだったんだ。僕はもともとあまり社交的じゃなくて、SNSもやっていないし、人と交流を続けるタイプじゃないんだ。今回はベースのアンソニー(エスポジート)がマックスに声をかけてくれたんだけど、奇しくも僕の初めてのオフィシャルな作品となった『BARK AT THE MOON』(オジー・オズボーン)のプロデューサーだったし、アンソニーにとっても彼の初のオフィシャル作品がリンチ・モブなんだけど、それもマックスによるものなんだよ。未だにマックスは素晴らしいアイディアを色々と持っているし、一緒に仕事が出来てとても楽しかったよ。
──今作では、どんなギター・サウンドになりましたか?
ジェイク:これまでとは全然違うんだ。今までは最高のギターサウンドを探して、それが見つかるとアルバム全編をその音で通したけど、今回は各曲の各パートそれぞれに合った最高のサウンドをひとつひとつ探して作ったんだ。ギターも1952年のテレキャスターから1957年のストラトまで使ったし、アンプも10台くらい、キャビネットも6台、ペダルについては100個くらいの中から色々と組み合わせて、自分の中にあるイメージと全く同じ音になるまで試行錯誤を繰り返したよ。もの凄い時間がかかったし、もうこれ以上はできないと思えるほどこだわって作ったから、これで気に入ってもらえなかったら、それは僕の事が嫌いだということだよ(笑)。
──ヴィンテージのストラトもトレモロレスですか?
ジェイク:そうさ。過去にもトレモロは使わない宣言をしていたし。でも過去に縛られたり制約されたくもなかったので、実は少しだけ使ったんだ(笑)。「Ink & Water」では、ちょっとサーフっぽいサウンドにしたかったのと、ジャジーな感じにもしたくてね。でもライブでは相変わらずトレモロは使わないよ。
──シーンに復活されてから、オジーと話す機会などはありましたか?
ジェイク:1987年くらい以来、話していないな。会いたいとは思っているけど、ブラック・サバスの再結成ツアーの時にケヴィン・チャーコのゲストとして行くはずだったんだけど、シャロンがNGを出したみたい。僕としては何も問題はないけど、シャロンは思うところがあるんじゃないかな?残念だけどね。
──『BARK AT THE MOON』や『THE ULTIMATE SIN』を振り返ってみて思う事はありますか?
ジェイク:『BARK AT THE MOON』は、マックス・ノーマンではなくてジョン・ボン・ジョヴィの従兄弟のトニー・ボン・ジョヴィがミックスをしたんだ。当初は大嫌いで(笑)、弱っちくてフィルターが掛かったようなサウンドだと思っていたんだけど、こうして年月が経つとあれも良いアルバムだったかなと思えるようになったよ。『THE ULTIMATE SIN』は、ロン・ネヴィソンだったけど、彼はハートとかを手掛けていたし凄くポップな音に仕上げていたから、『THE ULTIMATE SIN』の方はリミックスすればもっとヘヴィなサウンドにできるんじゃないかな。今聴くと、『BARK AT THE MOON』の方はあのままでもいいかなと思えるよ。
──オジーとまたプレイしたいと思いますか?
ジェイク:やりたいとは思うけど、多分それはないんじゃないかな?実は、これまでも2度オジー側から「またやらないか」というオファーはあった。それに対して「『BARK AT THE MOON』に僕の名前のクレジットさえ入れてくれたらいいよ」と答えたら、2度ともそこで話が止まってしまったんだ。僕はお金の事ではなくて、自分がこの作品を書いたという証としてクレジットを入れて欲しいんだけど、そこはどうしても通過できないところみたい。だからこれからもないんじゃないかな。でもオジーとまたやれたら楽しいと思うし良いものができると思うよ。
──最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
ジェイク:ずっとどんな時もサポートしてくれてありがとう。未だに僕の音楽がみんなに何かを語りかけているものであれば嬉しいし、また日本に戻って来たいよ。
取材・文:Sweeet Rock / Aki
写真:Takumi Nakajima
<JAKE E LEE's RED DRAGON CARTEL~ PATINA Japan Tour 2019 ~>
2019.4.17 Shibuya Club QUATTRO
1.Wasted
2.Havana
3.Punchclown
4.Speedbag
5.Bitter
6.Chasing Ghosts
7.3 Day Funk(BADLANDS cover)
8.The Luxury of Breathing
~ Drums solo ~
9.Crooked Man
10.Spiders in the Night(Ozzy Osbourn cover)
11.Ink & Water
12.Highwire(BADLANDS cover)
13.Feeder