【ライブレポート】H ZETTRIO、平成最後＆令和最初の＜こどもの日スペシャル＞

新元号を迎え、期待と希望に溢れた今年2019年のGW。バンド結成以来、全国規模で精力的に展開し続けるH ZETTRIOが、毎年GWに実施している全年齢対象のスペシャルライブ＜こどもの日スペシャル＞を4月27日に大阪、5月5日に東京で開催。またとない長期休暇を家族と過ごす人々に一味違った興奮を届けた。

◆ライブ画像（全20枚）

まずは＜H ZETTRIO こどもの日スペシャル in 大阪野音 -Virtual World （Jazz）-＞と題し、＜こどもの日スペシャル＞初の大阪公演となった4月27日。少し肌寒くもあったが、晴れ渡る空の下、H ZETTRIOと同じように鼻を塗った大勢の家族連れが大阪城公園に集まった。

スペシャルライブは家族連れが心おきなく楽しめるよう、途中休憩を挟む2部構成になっているだけでなく、親子で楽しめる趣向がいくつも凝らされている。この日は芝生エリアに出店ブースが設置され、会場はポップコーンとわたあめの香ばしく甘い香りで満たされていた。

開演時間になるとH ZETTRIOが颯爽と登場。割れんばかりの拍手の中、H ZETT M（Pf）が鍵盤ハーモニカを弾き始める。どこかで聞いたことのあるメロディは「ゆかいな牧場」のフレーズだ。演奏しながらコミカルに動きまくるH ZETT M。本来ならばかなり難易度が高いであろうその技が、いとも簡単かのように繰り広げられる。H ZETTRIOのパフォーマンスの真髄を表すかのようなオープニングに観客が引き込まれる中、リズムセクションのH ZETT KOU（Dr）、H ZETT NIRE（B）がグルーヴを重ねはじめ、聞き覚えのあるメロディが斬新なジャズに進化していった。


子供も大人も一気に魅了してライブが幕を開け、そのまま立て続けに「Make My Day」へ。春の心地よい風の中、スピード感溢れるリズムセクションの上をピアノがキャッチーに駆け回る。そして、今年元旦にリリースされた「Journey」でさらに解放感が増していく。

「Mysterious Superheroes」「晴天 -Hale Sola-」と勢いよく盛り上げ、聞かせどころとして「どこか遠く」をパフォーマンス。H ZETT NIREがこの日のために選曲したという「It’s a Small World」のカバー、tvkテレビ神奈川『SPEED MUSIC - ソクドノオンガク』で公開されたばかりの「およげ！たいやきくん」のカバーも披露された。



15分の休憩を挟んだ後半は「炎のランニング」から。最高のテンションで盛り上げて「Lovely」に入ると、H ZETTRIOの背後にあったバックドロップが落ち、舞台いっぱいに映像が映し出された。昨年のツアーファイナル、日比谷野音でも観客のド肝を抜いた超大画角の映像演出の再来に観客の盛り上がりが最高潮に達する。未発表の新曲も織り交ぜて美しい映像と共に繰り出されたパフォーマンスに、会場は踊りながら楽しむ親子の姿でいっぱいとなった。



そして5月5日東京・新宿区立 新宿文化センターにて開催された＜H ZETTRIO こどもの日スペシャル in 東京新宿 -Virtual World （Jazz）-＞。東京公演は野外ではなくホールが会場で、開場時には緞帳の前にせり出したステージにすでに楽器がセッティングされていた。照明が落ち、大きな歓声が上がる中、会場横の通路からのH ZETTRIOの突然の登場に観客が湧く。ショルキーや、ウクレレベースというコンパクトな楽器を使ったセッションが始まると、それらが次第に聞き慣れたメロディへと変化し、おもむろにH ZETT Mが弾きだしたメロディが「こいのぼり」だとわかると子供たちの歓声と笑い声で会場が満たされていった。この＜こどもの日スペシャル＞は“子供も大人も大声で笑って、騒いでOK！”という粋な計らいがあり、子供連れの親たちも気兼ねなく自由に楽しむことができるのだ。



緞帳の前に設けられたステージという、普段よりも観客に近いところでパフォーマンスをするH ZETTRIO。ショルキーで白熱するH ZETT Mに目を奪われていると、いつのまにかドラムのH ZETT KOUとベースのH ZETT NIREの姿が見えない。すると緞帳が開き始め、本来のドラムとベースサウンドが響き始め、逆光の中に二人の姿が見えると割れんばかりの拍手と歓声が起こった。H ZETT Mも後方のピアノへと移動し、「Make My Day」でH ZETTRIO本来の楽器でのパフォーマンスが始まった。


「Journey」から「Next Step」、「Trio, Trio, Trio!!!」で盛り上げ、大阪でも披露されたカバー2曲、「夢と希望のパレード」「Neo Japanesque」「MESHI KUTTE YEAH!」など人気曲で畳み掛ける。前方に設置された楽器との行き来を繰り返すうちに、H ZETT Mが前方のドラムを叩きだすというスペシャルな場面もありながら、1部が終了。2部にはステージいっぱいの映像演出が用意され、客席からは驚きの声が上がり、二重三重の仕掛けで圧巻のパフォーマンスを繰り広げた。

驚きの演出で観客を魅了した2公演を終えたH ZETTRIO。2019年は毎月1日に新曲を配信リリースし、7月から年末までにかけて全国ロングホールツアーに出る。また、漫画『囀る鳥は羽ばたかない』劇場版アニメの音楽を手がけることも発表されている。


Photo by Yoshihiro Mori（大阪公演）
Photo by Yuta Ito（東京公演）