【ライブレポート】韻シスト、大阪野音で初の主催野外フェス「Good Vibesすぎるで!」

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関西からヒップホップシーンを牽引し続ける韻シストが満を持して贈る野外パーティー<OSAKA GOOD VIBES>の記念すべき第1回が、4月29日(月・祝)に開催された。大阪城野外音楽堂はあいにくの曇天であったが、開場するや否やDJ STYLISH a.k.a. 鎮座DOPENESSがDJブースからグッドミュージックを送り出し、空模様をもろともしない“陽気な”パーティーピープルたちは胸を躍らせていた。

◆ライブ画像(全11枚)

▲DJ STYLISH a.k.a. 鎮座DOPENESS

ライブアクトのトップバッターを務めた新世代のヒップホップクルー踊Foot Works。オートチューンを全面に活かしたPecori(Rap)のメロディアスなフロウ耳を惹きつける。「NDW」ではサビの「やまない雨に打たれてる」というリリックが、今にも雨が降り出しそうな曇り空を演出に変えて見せた。徐々に会場を温めながら6曲を演奏し、歪ませたギターの音色をあえてステージに残したまま5人は颯爽と姿を消す。目撃者たちはどよめきに近い歓声を上げた。

▲踊Foot Works

再びDJブースに登壇したDJ STYLISH a.k.a. 鎮座DOPENESSは、The Internetの「Dontcha」からPrincceの「Kiss」まで、新旧のソウル / R&Bナンバーを織り交ぜてオーディエンスを踊らせた。

ライブアクト2組目に登場したSANABAGUN.は、総勢8人で放つ音の重厚感と迫力を遺憾なく発揮した。定番曲「板ガムーブメント」、ロックサウンドの「三種の神器」、高岩遼(Vo)の高速フロウが冴える「Black Diamond」などを立て続けに演奏。降り出した雨がフロアのボルテージを上昇させ、ボサノバナンバー「P・A・N・T・I・E」では「P! A! N! T! I! E!」という大合唱が起きた。「ゴールデンウィーク楽しんでいけよ!」という岩間俊樹(MC)の一言とともに「人間」へ。「休みは働く為のものじゃない!」「さぁ!布団へ帰ろうぜ!」 連休の序盤に集まった約3,000人の叫びが、大阪城野外音楽堂に清々しく響いた。

▲SANABAGUN.

SANABAGUN.の興奮を引き継ぎ、DJブースにはKenKenが降臨。「すでにGood Vibesだ!この日を覚えておきましょうね」と言ってMichael Jacksonの「Remember the Time」をかけるなど、粋な選曲が光る。

▲KenKen

続いてNulbarichは、雨の野外というロケーションを忘れさせるような濃密で芳醇なライブを展開。人気の「It’s Who We Are」で始まり、メロウな「On and On」と「Ring Ring Ring」を続け、フロアは広く左右にスウィングする。 「Juice」のサビでは観客たちが拳を上げ、「Super Sonic」ではギターの歯切れ良いカッティングに誰もが自然と身を揺らす。JQ(Vo)が「今日は特別なセットリストにしました」と語ったライブは「Sweet & Sour」で締めくくられた。レインコートのフードを外し雨を浴びながら歌う観客たちの笑顔は、なんとも晴れやかだった。

▲Nulbarich

韻シストのショーを目前に控え、SPIN MASTER A-1がテクニカルなスクラッチを交えながら、盤石のDJプレイで人々を大いに沸かせた。イラストレーターのBOXER JUNTAROが客席の後方で製作したライブペインティングがステージに運び込まれ、いよいよ舞台が整ったようだ。

▲SPIN MASTER A-1

ラストアクト・韻シストのライブはチルな「Daily A Life」でスタート。会場全体をグルーヴィーに包むTaku(G)、Shyoudog(B)、TAROW-ONE(Dr)と、ステージ前方を縦横無尽に躍動するBASI(MC)とサッコン(MC)。待ちわびた光景にフロアの熱気は加速した。「STILL NO.1 CHAMPION」「PARTY SIX」「とまらない」が続く。「ここまでは熱くお届けしましたけど、ちょっとクールにいきましょうか。」 始まったのは「COOL&SWAG」のリミックス。音数をそぎ落としたアレンジに、2MCの紡ぐラップがいっそう映えた。



再び熱を帯びた「OLD SCHOOL LOVIN’」と「gimelou」、Shyoudogの柔らかなハスキーボイスが心地良い「Dear」、鎮座DOPENESSとチプルソを呼び込んで披露した「HOT COFFEE feat. 鎮座DOPENESS & チプルソ」。まさにバンドの長い軌跡を辿る、新旧を織り交ぜたセットリストだ。本編ラストナンバー「Don’t Leave Me」では盛大なハンドグラップが起き、楽曲の終盤ではフロアの前方から後方までが一斉に飛び跳ねた。「Good Vibesすぎるで!パーリーピーポー!」 集まった観客一人一人を称え、5人はステージを後にした。

すぐさま発生したアンコールに応じた韻シストは「On & On」を届け、終幕を前にサッコンが感慨深げに語る。「去年20周年を迎えて、21年目にフェスができるなんて幸せなことです。すべての仲間たちがこの最高な瞬間を作ってくれました。あと数日で平成が終わって令和になりますけど、その新しい時代を迎える今年の8月に、韻シストは新しいEPを出します。」 思いがけない嬉しい知らせに、観客たちの笑みが弾けた。

最後にはこの日訪れたすべての人がバンドの一員となり、「雨は誰のせいでもない」と、一夜限りの特別な「Don’t worry」をシンガロング。共にステージを踏んだ出演者全組を呼び込んだあと、観客とともに集合写真を撮影し、韻シストによる初の野外フェスは終始ピースな雰囲気を纏ったままフィナーレを迎えた。メモリアルな1日を経て、新作のリリースを筆頭に今年の韻シストはさらなるGood Vibesを巻き起こすに違いない。


TEXT:河嶋奈津実
PHOTO:EL CURI-NHO

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