【インタビュー】イン・フレイムス「心から湧き上がる音楽を書くだけ」

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ニュー・アルバム『アイ・ザ・マスク』をリリースしたイン・フレイムスから、メインのソングライターでありギタリストであるビョーン・イエロッテに話を聞いた。

『バトルズ』のリリース以降、ツアー続きだったことからほとんど曲が書けず曲作りモードになかなか入れなかったというイン・フレイムスだが、しばらくツアーをストップさせ可能な限りリラックスした環境を作ったことで、様々なアイデアが浮かびクリエイティヴなアルバム制作に臨むことができたという。ミックスはクリス(ロード・アルジ)、プロデューサーは『バトルズ』同様ハワード・ベンソンが担っている。





──ニュー・アルバム『アイ・ザ・マスク』はどのような作品になりましたか?

ビョーン・イエロッテ:音楽的にはいつもと同じだと思う。メロディックでギター中心でアグレッシヴ…これらのコントラストが俺たちのアプローチだからね。ここ何作ではなかなかできなかったアンダースとの共同作業もできたから、新たなレベルでの作品に仕上がったんじゃないかな。

──今回ブライス・ポール(B)、ターナー・ウェイン(Dr)というふたりの新メンバーが加わっていますね。

ビョーン・イエロッテ:実は今回のアルバムではベースは全て俺が弾いているんだ。それにターナーもドラムをプレイしたのは1曲だけで、残りはジョー(リカード)が叩いているんだよ。ジョーの状況は良くなかったけど、アルバムではプレイするという決断になったんだ。

──今回の作品から『Come Clarity』を思い出すという意見が散見されますが、いかがですか?


ビョーン・イエロッテ:結局は好みの問題じゃないかな(笑)。『Come Clarity』が出た時と同じように、俺たちの音楽を聴いているファンもいるだろうからね。でも、どうだろう…わからないな。結局イン・フレイムスはいつでもイン・フレイムスだから。俺たちは決して過去を振り返って何かを探し求めたりはしない。常に前に向かって、旅を楽しんでいるし、俺たちは自分たちが何を持っているかわかっているからね。でも過去の作品と比べられるのはいつものことで、そのことについて俺たちができることはないし、どうでもいいことさ。俺たちは心から湧き上がる音楽を書くだけで、それをファンが気に入ってくれればさらに素晴らしいことだけれど。

──「また『Come Clarity』みたいな方向性に戻ろう」というような考え方はないんですね。

ビョーン・イエロッテ:それはないよ。俺たちはツアー中に曲を書かないし、過去を振り返ることはないし、常にベストな作品にしようと取り組んでいるだけだよ。

──『アイ・ザ・マスク』というタイトルは、どういう意味ですか?

ビョーン・イエロッテ:アルバムのタイトルは収録曲のひとつから採られているんだけど、これは本当の自分を仮面の裏側に隠したり守ったりすることについてなんだ。例えば、写真を色々撮っても、みんなに見てもらいたいものしか公表しないだろ。色々なレイヤーを持った歌詞の内容なのだけど、ソーシャルメディア…特にインスタグラムなんかが良い例だよね。パーフェクトに見える飲み物とかさ、そんなものばかりを載せているわけで、みんな自分を守っているのさ。

──アートワークも同じコンセプトですか?とても怖いですが。

ビョーン・イエロッテ:ブレイク・アームストロングに描いてもらったんだ。彼はここ何作かの作品を手掛けてくれているけど、今回はデモの段階から関わってもらったんだよ。彼は俺たちが入っていたスタジオのすぐ近くに住んでいたから、来てもらってデモを聞かせてコンセプトについて話し合ったんだ。そこからは早かったよ。何枚かのスケッチを描いてから仕上がりを見せてくれた。彼の描いた絵から、俺たちがインスピレーションを受ける部分もあったと思うよ。


──イン・フレイムスの音楽性に変化はありますか?

ビョーン・イエロッテ:これについてはずっと変わっていないよ。俺たちはメロディック・メタル・バンドさ。ただデス・メタルにもルーツを持っていて、同時にメロディックなロックやメタルも俺たちのルーツになる。スコーピオンズ、アイアン・メイデン、レインポーやディープ・パープルも俺たちの一部だからね。

──メタルにハマったきっかけを覚えていますか?

ビョーン・イエロッテ:父親がメタルヘッドなんだよ。だから母親のお腹の中にいる頃から、ブラック・サバス、ディープ・パープル、レインボー、ヴァン・ヘイレンなんかを聴いていたのさ。生まれてからも、こういったバンドを聴いて育ったからね。他に選択肢がなかったんだよ(笑)。

──そこからデス・メタルのようなエクストリーム・メタルを聴くようになったきっかけは?

ビョーン・イエロッテ:色々とハードロックやヘヴィメタルを聴いていくうちに、メタリカやスレイヤーなんかを見つけたんだ。従兄がデス・メタル・ファンでいろんなバンドを教えてくれたんだ。モービッド・エンジェル、ナパーム・デス、マレヴォレント・クリエイションとか、あんな演奏やヘヴィさというのはそれまで体験したことがなかったから、とても興奮したよ。それでモリサウンド・スタジオで録音されたものやスコット・バーンズがプロデュースした作品を買いあさった。それが高品質の証だったからね。

──イン・フレイムスは、デス・メタルにメロディを採り込んだ最初期のバンドのひとつですよね。


ビョーン・イエロッテ:あの頃には、イエテボリにはああいうスタイルのバンドがすでにいくつもいたけど、アンダースと俺がイン・フレイムスに入ったのは1995年で、それからイン・フレイムスはプロジェクトというよりバンドになったんだ。それまでにイエスパーがやっていたことも気に入っていて、俺もだんだんと曲作りに参加するようになっていった。それでどんどんと進化していった。『The Jester Race』と『アイ・ザ・マスク』を聴き比べてもらえば、その違いはすぐにわかると思うよ。

──その後イン・フレイムスの音楽性は大きく変化していきましたよね。

ビョーン・イエロッテ:故意の路線変更というのはやったことがないんだよ。俺たちはただ俺たちの書きたいと思う曲を書いてきただけだから。俺たちのやりたいと思う領域をただ冒険しただけ。レコード会社の言うことを聞いたこともないし、ファンの要望に応えたこともない。もちろん俺たちは、自分たちの作品のクオリティに絶対の自信を持っているから。

──そんなあなたのお気に入りのアルバムを3枚挙げるとすると?

ビョーン・イエロッテ:どんなバンドでもいい?うーん、レインボー『Rising』。アイアン・メイデン『Live after Death』。あとは『Van Halen II』かな。

──最後に日本のファンへのメッセージを。

ビョーン・イエロッテ:日本が大好きだってバンド内では毎日話しているくらいさ。ニュー・アルバムも出たことだし、遅かれ早かれ日本には行きたいと思ってる。一か所だけでなく、たくさんの都市でプレイしたいね。大好きな国だから。

取材・文:川嶋未来
写真クレジット:William Felch


イン・フレイムス『アイ、ザ・マスク』

2019年3月1日発売
【100セット限定ビョーン&アンダース直筆サインカード付きCD】 WRDZZ-843 / ¥3,500+税
【CD】 GQCS-90690 / 4562387208777 / ¥2,500+税
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
1.ヴォイセズ
2.アイ、ザ・マスク
3.コール・マイ・ネーム
4.アイ・アム・アバヴ
5.フォロー・ミー
6.(ディス・イズ・アワ)ハウス
7.ウィ・ウィル・リメンバー
8.イン・ディス・ライフ
9.バーン
10.ディープ・インサイド
11.オール・ザ・ペイン
12.ステイ・ウィズ・ミー
《ボーナストラック》
13.ノット・アローン

【メンバー】
アンダース・フリーデン(ヴォーカル)
ビョーン・イエロッテ(ギター)
ニクラス・エンゲリン(ギター)
ブライス・ポール(ベース)
ターナー・ウェイン(ドラムス)
ジョー・リカード(ドラムス)

◆イン・フレイムス・レーベルサイト
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