新作『スラム!』が大好評のカート、この週末は新宿で大騒ぎ
新作アルバム『スラム!』を引っさげて来日中のハードロック・バンド、カートが話題を集めている。彼らは、まさに新たなロックスター候補生というべきカート・ロウニー(Vo)とミカ・ノーティネン(B)というオーストラリア出身の若者たちを軸としながら、アメリカのテネシー州ナッシュヴィルを拠点に活動しているバンド。ナッシュヴィルは古くからカントリー・ミュージックの聖地として知られているが、だからこそスタジオやライヴハウスなども豊富で、音楽関係者や凄腕ミュージシャンも多い。今回の日本公演でカートとミカのふたりとステージを共にしているハンター・ロヴァン(G)、リッチー・ショール(G)、クリストファー・ウィリアムズ(Dr)も彼らがそこで出会ったミュージシャンたちで、クリストファーはアクセプトでの活動も並行中だ。
◆KAATO (カート) 画像
彼らは2017年の春に『KAATO』と題されたアルバムを発表。同作に触れた普遍的ハードロック愛好家たちの多くが“これは掘り出し物! 逸材発見!”と好意的に受け止めたはずだが、同時に、プロデューサーのミッチ・マロイの力量によるところが大きいのではないかと感じた人たちも少なくなかったことだろう。が、彼ら自身の実力とセンスが同作を輝かせていたことは、同年中に二度にわたり行なわれた日本でのライヴハウス公演でも見事に実証されることになった。しかも、カートとミカのセルフ・プロデュースによる今作『スラム!』はいっそうダイナミックスに富んだ仕上がりで、どこまでも伸びやかなカートのハイトーン・ヴォイスにも磨きがかかっており、彼ら自身の成長を見てとれる。また、彼らの音楽には、80年代メタルというよりもむしろ70年代的な感触が伴っている。たとえばそれは、“新時代到来に向けてアップデートされたクラシックロック”などとも形容できるものではないかと思う。
通算三度目となる今回のジャパン・ツアーについては、すでに大阪、名古屋での公演が終了しているが、この13日(土)と14日(日)には新宿・ZIRCO TOKYOでの二夜公演が控えている。この機会に是非、彼らの躍動感あふれるライヴ・パフォーマンスに触れて欲しいものだし、各日に彼らとステージを共にする気鋭の国内バンドたちの演奏にも注目したいところだ。
また、東京公演第一夜にあたる4月13日の午後には、同じ新宿にあるROCK CAFÉ LOFTにて筆者の企画によるイベント『白昼のクラシック・ロック狂騒会』が開催されるが、同会場にKAATOのメンバーたちが来場することも決定。KAATOファンを自認する人たちはもちろん、まだ『スラム!』を聴いていない方々も、まずその場で彼らの音と素顔に触れたうえで、ライヴ会場に足を運んでみてはどうだろう?
取材・文◎増田勇一
■<The KAATO Slam! Tour Japan 2019>
4月07日(日) 名古屋・大須 RAD HALL
4月13日(土) 東京・新宿 Zirco Tokyo
4月14日(日) 東京・新宿 Zirco Tokyo