【インタビュー】大野雄大、今できる全てを詰め込んだ意欲作『この道の先に』

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■それは僕の人生だから周りと比べる必要はまったくない
■自分に対して書いてみようと思ったのがきっかけです


――そして今回、自身で作詞作曲に関わったのが3曲。アルバム・タイトルにもなった「この道の先に」は、どんなイメージで作ったんですか。

大野:これは1年半ぐらい前に、地元の友達や周りを見た時に、みんな結婚して子供も3、4人いて、独立して社長になっていたり、家を買っていたり、そんな周りと自分を比べた時に「ヤバイな」と思ったんです。結婚もまだ考えてないですし、もう30歳になるのに大丈夫かな?って不安を抱えたりして、負の連鎖になっちゃう時があって。でも自分は大好きな歌でお仕事させてもらっていて、ステージに立って歌って踊っている時がすごい幸せだし、それは僕の人生だから周りと比べる必要はまったくないなと思った時に、自分に対して書いてみようと思ったのがきっかけです。こういうふうに悩んだり壁にぶち当たっている人は、きっとたくさんいるだろうなと思ったし、仕事、家族、学校と何でもあてはまるなと思って、そういう方にぜひ届いてほしいなと思って書かせてもらった楽曲ですね。

――すらすら出ました?

大野:“なんか今日はうまくいかないことばかり、日頃の行いが悪いからかって自分を慰める”という、最初と最後のフレーズがあるんですけど、これはメロディと一緒に歌詞が出てきたんですよ。小室哲哉さんが昔、「歌は歌詞とメロディが結婚してないとダメなんだ」というようなことをおっしゃっていたんですが、僕は一緒に出て来ることってなかなかないので、まさに「これに近いことなのかな」って思いました。これもお酒を飲みながら作ったんですけど、疲れてどうしようもない時にさらっと歌えてあたたかい、みたいな曲がいいなと思っていて、楽しかったですね、この曲を作るのは。

――今の自分を象徴する1曲。

大野:そうですね。曲調はまったく違うんですけど、「Changin’」も同じ方向を向いてる楽曲です。僕は、この曲はちょっと明るい気持ちになれる楽曲かなと思っていたんですけど、川畑さんにうかがったら「俺はこの曲、泣けるんだよね」とおっしゃっていて。若い頃、夢を追いかけ始めた頃の葛藤をすごく思い出すとおっしゃって、なるほどと。そこでこの曲との向き合い方が少し変わりました。

――そこが10歳の差かも。そういう人生ソングがあって、片方に恋愛ソングがあって。「いつかまた会えるなら」は切ないロスト・ラブソング、ですかね。

大野:と、いうふうに聴こえるように書いたんですけど、この曲は実は、ずっと飼っていた死んじゃった猫に向けて書いた楽曲です。聴き手によってちゃんと恋愛にとらえられるように書きました。なので本当は「君」は「猫」なんです。猫のアツシです。母の初恋の相手の名前ですね。父は名前の由来を知らないんですけど。

――お父さん、切ない(笑)。それはさておき。

大野:死んだのが7月16日で、幼馴染の親友の誕生日だったんですよ。淋しがりやの性格だったんで、忘れられないように友達の誕生日に逝ったのかなとか思ったりしますね。ノンフィクションで書きましたが、ただ一か所だけ、“失くしたモノはもう戻らないと君は口癖のように言っていたね”というところは、実際には言ってないけど、僕は猫と会話することが多かったので、これはペットを飼ったことのある方ならみんなわかることだと思いますね。初恋の時にも「どうかな?」とか、猫に相談したりしたので。そういった時に、こんなこと言ってるんじゃないかな?って感じたことを書きました。


▲Solo Album 『この道の先に』

――そしてアルバムの最後を飾る「MY DEAREST」。これは家族に向けての歌かな。

大野:そうです。親や祖母に向けて。自分の家族構成や、今までのストーリーや、伝えたい気持ちをバーッと殴り書きしたものを作家さんにお渡しして、書き上げていただいたものをまた自分で書き直す、そういうやり方で書かせていただきました。実家は神奈川なんですけど、東京に行くことが多くなって、家にあまり帰らなくなりはじめたぐらいの時の気持ちですね。「アルバムめくるその笑顔はとても穏やかで」というのは、愛知県のおばあちゃんの家でアルバムを見た時に、親戚が集まっている写真があって、小さい僕を抱っこしているおばあちゃんが写っていたり、そういう経験はきっとみんなあるだろうなと思ったし、すごくあたたかいなと思ったので。この曲で一番リアルなのは“あなたに貰ったこの時間、いまほら感じているから笑い話にしてごまかすけど”というところ。昔さんざん迷惑をかけていた時のことを、親とお酒を飲んだりすると「あの時はほんとに大変だったわよ」みたいな笑い話になるけど、実際は親のことを泣かせてしまっていたし、暴言を吐いたり、家出したりしていたので。でも今は“本当にありがとう”という、その気持ちをリアルに書きたかったんですね。ここが歌っていて一番きつくなるところですね。

――ぐっときますね。これはいろんな世代に届く歌詞。このアルバムが、グループのファンはもちろん、どんな人に届くといいなと思いますか。

大野:そうですね、少なからず…Da-iCE自体が、アーティストなのかアイドルなのか僕にもわからないし、人によって見方が違うと思うんですね。アイドルと思う方はアイドルと思ってくださるし、アーティストと思う方はそう思ってくださるし、と思っているので。うーん、なんだろう? でも、より歌を聴いてほしいと思うのがソロですかね。「この道の先に」のミュージック・ビデオは、ほとんどカメラ目線がないんですよ。カメラを見ながら歌うのが実はあまり得意ではなくて、格好つけるのが性に合わないというか、すごくナチュラルな状態のミュージック・ビデオになっていて、「これが僕です」という感じになってます。人見知りで恥ずかしがり屋の面もあるんで。…あれ、質問何でしたっけ。

――あはは。どんな人に届いてほしいかと。

大野:年齢は問わないです。本当にたくさんの人に聴いてほしいと思いますね。親ぐらいの世代の方も、まさに青春真っ盛りの方々にも、同世代にも聴いてもらいたいです。ソロだと、リアルしか歌えないところがあるので、どの世代の方にも共感していただきやすいかなと思っています。

取材・文●宮本英夫


リリース情報

Solo Album 『この道の先に』
2019.04.03(水)発売
※HMV・Loppi限定盤(CD+DVD)
¥2,800 (税込) PROS-1912
【CD】
1. この道の先に(作詞: 大野雄大 作曲: 大野雄大、TAKAROT 編曲: 清水武仁)
2. Changin’ feat. 川畑要(CHEMISTRY)(作詞作曲: 谷口尚久)
3. 僕らの不確か(作詞・作曲: 坂詰美紗子 編曲: 大久保薫)
4. あなたに逢いたくて~Missing You~ (作詞: 松田聖子 作曲: 松田聖子、小倉良 編曲: 堀倉彰)
5. いつかまた会えるなら(作詞: 大野雄大 作曲: YU-KI 編曲:TAKAROT)
6. Desperado (作詞作曲: Glenn Lewis Frey, Don Henley 編曲: Atsushi Naruse)
7. MY DEAREST (作詞: SOU by COZMIC CODE、大野雄大 作曲: YU-KI、大野雄大 編曲: KASUMI by COZMIC CODE)
【DVD】
この道の先にMusic Video & The making of この道の先に

ライブ・イベント情報

<ソロアルバムリリース記念ライブ>
2019年4月5日(金)
神奈川・新江ノ島水族館相模大水槽前特設ステージ
料金:6,800円(1F スタンディング2F 全自由席)

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