【インタビュー】ゼブラヘッド×BACK-ON「自分たちのやりたいことをやる」
メロディアスかつパンキッシュなサウンドで世界各国のオーディエンスを湧かせっぱなしのゼブラヘッドと、そのポップセンスは変わらぬまま2人体制でさらに攻めた世界を切り開くBACK-ONによるスペシャルな対談が実現した。
ゼブラヘッドは9thフルアルバム『ブレイン・インベーダー~脳内ジャック』を、BACK-ONはデジタルEP『CHOP KICK TURN』を3月6日という同日に発表したレーベルメイトであるが、そういった面だけの縁ではない。
ラップとヴォーカルというスタイルが共通することからもわかるように、BACK-ONは結成当初、ゼブラヘッドに強い刺激を受けており、特にKENJI03(Vo、G)はライヴにも足繁く通っている熱狂的なファン。対談の中でも話題になったが、ファン時代にゼブラヘッドのMV「Into You」の撮影にも参加した経験もあるほどだ。
そんな熱い想いをBACK-ONのメンバーがぶつけつつ、お互いの新作についてはもちろん、世界中で活動を展開する両バンドならではのエピソードも飛び出した対談をお届けしたい。
――この対談ですが、KENJI03さんがゼブラヘッドの大ファンだということがキッカケで実現したんですよね。
KENJI03:そうなんですよ。高校のときオレンジカウンティのサウンドに影響を受けたんですけど、その中でもゼブラヘッドはパンクの要素もヒップホップの要素もあって、物凄く衝撃的だったんです。そういうバンドをそれまで聴いたことがなかったし、自分たちもこういうバンドになりたいと思ってBACK-ONを結成したから。
TEEDA:僕自身、そこまで音楽に詳しい人間じゃなかったけど、KENJI03から「オレらが目指すバンド像って、ゼブラヘッドが近いと思うんだよね」と教えてもらったんです。そう言われてライヴ映像を観たら、アリさんが上半身裸で凄い腰パンでラップをしてて、「これだ!こういう風になりたい」と感じたし、刺激を受けましたね。
アリ:アリガト。
――ゼブラヘッドのみなさんは、自分たちの音楽に影響を受けたバンドと会う機会も多いと思いますが、率直にどう感じますか?
アリ:僕なんかはビースティ・ボーイズを聴いて育ってきて、他にもレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやラグワゴンとか、誰に影響を受けたかっていうのはよく考えるんだけど、自分たちが誰かに影響を与えてるっていうことはあんまり考えなくて。だから、そういうことを言ってもらえると、僕たちも歳をとったのかなと思う(笑)。
ベン:オレはまだ21歳だけどね(笑)。
KENJI03:ハハハハ(笑)。僕も同じようにビースティ・ボーイズ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、ラグワゴンを聴いてきましたけど、ゼブラヘッドで初めてミクスチャーっていうスタイルを知ったところがあって。大げさに聞こえるかもしれないけど、ゼブラヘッドがいなかったら今の僕たちの形はなかったんじゃないかと思うぐらい。だから、ホントに感謝してるんですよ。
アリ:そう言ってもらえてありがたいし、クールなことだね。(BACK-ONの)曲を聴いたけど、独自のスタイルを貫いてるよね。
KENJI03:ありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しいですね。ただ、まだ緊張してますけど(笑)。
――でも、KENJI03さんはゼブラヘッドのメンバーにこの距離で会ったのは2回目なんですよね。
KENJI03:実はそうなんですよ。
アリ:どういうこと?
KENJI03:日本で「Into You」のMV撮影があったじゃないですか。そのとき、僕はいちファンとして参加してまして。ダイブしてステージに上り、アリさんの首にゼブラ柄のスカーフをかけたら、ちょっとだけ嫌そうな顔をされた、っていう(笑)。
アリ:ははは(笑)。あのときはみんなに「好きなことをやってね」と言ったんだよね。
KENJI03:その後、フロアにダイブして戻っていったんですけど、ゼブラヘッドのDVD『BANZAI MOTHER F**KER!』に1秒だけ僕が映ってます(笑)。
――両バンドとも新作が発売されたばかりということで、そちらについてもお話していただけますか?
KENJI03:今回、カバー曲を収録したEP『CHOP KICK TURN』をリリースしたんですけど、いちばん影響を受けた90'sの洋楽から選曲しようと2人で話し合ったんです。で、真っ先に思いついたのが「Wannabe」。もちろん、スパイス・ガールズのオリジナルも知ってましたが、やっぱりゼブラヘッドがカバーしてたことが印象に残ってて。これをBACK-ONでやったらアガるだろうなと。
アリ:いいね!
KENJI03:ただ、そこに引っ張られ過ぎるとよくないから、制作中はゼブラヘッドを聴くのをずっと我慢してたり(笑)。もう1曲は「WILD THING」。子供のころからずっと映画『メジャーリーグ』が好きで。
マッティ:オレも大好きな映画だよ。高校で野球をやってたときは(主演の)チャーリー・シーンと同じ背番号99番だったからね(笑)。
KENJI03:チャーリー・シーンが登場する場面で流れるあの曲は今でもテンションがアガるから、自分たちがやったらどうなるか、興味があったんですよね。
アリ:新作(『ブレイン・インベーダー~脳内ジャック』)は、3年半もかかって、今までの中でいちばん制作期間が長かったけど、非常にハイエネルギーでヘヴィになったかな。意識としては、あんまり考えすぎないようにして「これはシングル用だな」「みんなが好んで聴いてくれるかな」とか抜きにして、単純に自分たちがいいなと思う曲を書きたかったんだよね。正直な気持ちを追求したから、より誠実な曲たちになっていると思うよ。まだリリースしたばっかりなんだけど、ありがたいことに好評で。やっぱり、人がどう受け取るかを心配するのではなく、自分たちがプレイしたいか、聴いて楽しいのか…そこが大事だということを学んだよ。
――自分たちのイマジネーションへ誠実に向き合うということは、同じミュージシャンとして頷ける部分ですよね。
TEEDA:そうですね。誰かの為に、とやっちゃうと、エゴが出過ぎるというか。何を伝えたいのかわからなくなるし、自分たちがどういうバンドなのかということさえ、見失いそうになるんです。自分たちのやりたいことをやるっていうのは、凄くポジティブじゃないですか。そうやって生まれた曲なら、聴いた人も「このバンドは楽しそうだな」って感じてもらえるだろうし。
エド:その方が(自分たちも)楽しいからね。
――せっかくの機会ですし、お互いの新作について感想をいただけますか?
アリ:ヴォーカルの声とラップのリズムがいいね。あと、2人の掛け合いが生むコントラストも素晴らしいよ。自分たちもそうだし、そういうスタイルのバンドは多いんだけど、他とは違うユニークさがある。
ダン:オレはギタリストだから注目しちゃうけど、ギターもよかったね。素晴らしかった。
KENJI03:例えば「イチ、ニ、サン、シ」とか、ゼブラヘッドらしいノリも健在だけど、よりヘヴィでストイックな印象を受けました。同じレールの上だけど、新しい要素を足していっているし、新境地が見えたのかなとも思いました。どうして『ブレイン・インベーダー~脳内ジャック』というタイトルをつけたんですか?
アリ:今のアメリカは混線してるというか、ニュースやSNSもそうだけど、常に誰かの意見を無理やり詰め込まれるような状態でもあって。新作が完成したとき、そうやって"脳内ジャック"されるようないろんな意見があるけど、やっぱり「相手が何を言おうとしてるか理解しないと、その先がないな」と思ったんだよね。あと、アートワークが出来上がってきたとき、このタイトルが非常にマッチしてるんじゃないかとも感じたし。
KENJI03:そうだったんですね。今の話を踏まえて、もう1回聴き直してみます。聴こえ方がまた変わってくると思うな。
アリ:違う視点でね。
KENJI03:ホントに凄くカッコいい作品でした。
アリ:僕ももう1回、ワクワクしながら聴き直すよ。
KENJI03:ありがとうございます。
――自国のみならず、世界各国でライヴをしてきた両バンドですが、シーンやオーディエンスの違いを感じることはありますか?
TEEDA:やっぱり、海外はそう頻繁に行けるわけじゃないから、熱狂的に迎えてくれますよね。それこそ、Tシャツをフロアに投げたりすると、すぐ散り散りになっちゃうぐらい。あと、僕らは日本語でやってるのに、それを覚えて一緒に歌ってくれたりもして。凄く嬉しいですね。
ベン:それはよくわかるよ。日本に来ると、ファンは1秒目から疲れ知らずでずっと騒ぎ続けてくれるし。
KENJI03:そのひとりが僕です(笑)。
ベン:でも、曲と曲の間になると「何を言ってくれるのかな?」って待っててくれるね。他の国だと全然そんなことがなくて。叫び続けてたり、ビールをかけ合ってたり、曲が終わっているのにクラウドサーフが始まったりするから(笑)。
――特に印象に残っている、自国以外のライヴはありますか?
TEEDA:ブラジルの空軍基地ですね。
ダン:オレたちは行ったことがないな。
TEEDA:僕らも初めてだったんですけど、到着したら「あれ?ここ基地じゃねえか?」って(笑)。
――どういう環境なのか知らなかったんですね。
TEEDA:そうなんですよ。お客さんも1万人ぐらいいて、めちゃくちゃ盛り上がった。あと、「Departure」という、飛び立つイメージの曲をやったとき、真横をジェット機が離陸してロケーション的にも最高だなと思いました。
エド:思い出に残るというと、まずポーランドで行われた<ウッドストック>。どういう状況か予想ができなかったんだけど、行ってみたら敷地が凄く広くて、グルっと歩こうとしたら2時間ぐらいかかる(笑)。60万人が集まったライヴだったし、(バンドを)長くやってるから緊張なんてしないんだけど、さすがにあのときは緊張したな。
ベン:あと、ウクライナでやったライヴだね。オレたちのライヴ中、急に電源が落ちて真っ暗になったんだよ。というのは、電源担当のスタッフが酔っ払って発電機の上に倒れて壊しちゃったんだって(笑)。
ベン:ウクライナの言葉はわからないし、ライヴを観ようと集まってる人は「なんでプレイしないの?」となってね、どうしようかなと思ったら、オレたちの前に出てたチアリーダーが近くにいたから、ステージに呼び込んで一緒に踊ってなんとか30分つないだんだよね(笑)。
――日本でのライヴで印象深いモノは何かありますか?
ベン:やっぱり、それは2006年の<サマー・ソニック>だね。始まったときは晴天だったのに、急に天候が変わって雷まで落ちた。メタリカの前だったからそれだけでもテンションがアガるのに、そんな劇的なドラマみたいなステージだったからよく憶えてるよ。
KENJI03:<サマー・ソニック>で言えば、結婚する前に今の奥さんと一緒にゼブラヘッドを観に行ったんです。2011年だったかな。彼女はいわゆるロックフェスにあんまり行ったことがなくて、ノリを知らなかったんですけど、背中をポンって押して(ゼブラヘッドが)始まった瞬間にできたサークルの中に入れたんです(笑)。それがめっちゃ面白くて。奥さんもおもいっきり楽しんでた。
ベン:それでも結婚してくれたの(笑)?
KENJI03:She is crazy!
エド:そのリアクションで「彼女しかいない!」と思った?
KENJI03:もちろん!
ベン:じゃあ、もし楽しんでくれなかったら、置いてっちゃった?
KENJI03:そうだったかもしれないですね(笑)。
――では、最後に今後の活動についてお話していただけますか?
TEEDA:まず『CHOP KICK TURN』を引っさげて、ツアーをまわります。この作品はBACK-ONの新しい挑戦なので、ぜひ聴いてライヴに来て欲しいですね。あと、今年中にフルアルバムを出したいと考えてて。その為の曲作りとレコーディングを終え、夏の終わりぐらいからワールドツアーもできたらいいなと思ってます。
ベン:この後は、オーストラリアとヨーロッパのツアーを交互に4回か5回やって、夏は各国のフェスに参加しますね。
アリ:大事な<サマー・ソニック>も。できれば日本でもヘッドラインツアーをどこかでやりたいなと考えてるよ。
KENJI03:僕らも、いつか対バンできるように頑張ります。今日はずっと緊張してて…シミュレーションはしたんですけどね、やっぱりダメでしたね(笑)。
ベン:会ってみたら「こいつら、ただの酔っ払いじゃねえか?」って思わなかった?
KENJI03:想像してた通りだったから、もっと好きになりました(笑)。
取材・文:ヤコウリュウジ
BACK-ON「CHOP KICK TURN」
1.WILD THING
2.Wannabe
3.黑色小丑~Clown~
4.梦想~Carry on~
<CHOP KICK TURN TOUR>
@名古屋アポロベイス
[問]サンデーフォークプロモーション:052-320-9100 全日 10:00~18:00
2019年3月22日(金)
@仙台enn 3rd
[問]GIP http://www.gip-web.co.jp/
2019年3月30日(土)
@大阪VARON
[問]YUMEBANCHI:06-6341-3525(平日11:00~19:00)/ www.yumebanchi.jp
2019年4月7日(日)
@渋谷WWW
[問]H.I.P.:03-3475-9999 / www.hipjpn.co.jp
ゼブラヘッド「ブレイン・インベーダー ~脳内ジャック」
3年5ヶ月ぶり、通算9枚目、そしてavex移籍第一弾となるオリジナル・アルバムは世界に先駆け日本先行リリース。
1.ウェン・ボース・サイズ・サック、ウィアー・オール・ウィナーズ
2.アイ・ウォウント・レット・ユー・ダウン
3.オール・マイ・フレンズ・アー・ノーバディーズ
4.ウィアー・ノット・オールライト ~俺たち、まじ大丈夫か?
5.ユー・ドント・ノウ・エニシング・アバウト・ミー
6.チェイシング・ザ・サン
7.パーティー・オン・ザ・ダンスフロア
8.ドゥー・ユア・ワースト
9.オール・ダイ・ヤング
10.アップ・イン・スモーク
11.イチ、ニ、サン、シ
12.テイク・ア・ディープ・ブレス(アンド・ゴー・ファック・ユアセルフ)
13.ベター・リビング・スルー・ケミストリー
14.ブレット・オン・ザ・ブレイン
15.<日本盤ボーナス・トラック> フォロー・ミー (日本語・ショート・ヴァージョン)*日本語カヴァー
◆BACK-ONオフィシャルサイト
◆ZEBRAHEADオフィシャルサイト
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